富山マネジメント・アカデミー

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アメリカが世界経済の機関車役を回復する(校正・補正)

2017年02月04日 | Weblog

TMA講師代表の研究:アメリカがリーマンショックにより、経済不調となり、それに代わり救世主となったのが中国共産党による過剰な財政支出であった。この結果、世界の大恐慌は回避されたが、今度は、中国経済の生産力主義を原因とする過剰生産により、資源価格が下落し、グローバルな景気後退が起こった。在庫を作りすぎという初歩的なミスを犯した。

アメリカは、リーマンショックの段階ですでに社会インフラの設備更新の期限が切れていたのに、そのまま抑制的な財政運営をつづけ、本来に備えている社会インフラの設備投資が遅らされてきた。トランプ大統領の選挙基盤は、自動車産業の停滞と関係していることだけが強調されているが、実はアメリカでは、IT産業が第三次産業からより高次なコンテンツへ、さらに小売業のIT化に向い、日本では、逆に第一次産業(鉱業)と第二次産業のロボット化を生み出している。富山でも、消費市場ではトイザらス、コストコの進出を許しているが、他方で、アメリカの送電線の要にある変電所の変電設備の素材の多くは富山県内で生産されている。ITからモノづくりへ進んだ日本に対し、アメリカではITから第三次産業の高度化が進んだ。ただ、日本にはIT技術の核心ではないが、その周辺技術では欠かせない技術がある。

ここで日本の産業界は、依然として人力を頼りにする高度な工場を中国などアジアに置きながら、アメリカ市場向けの商品をアメリカで最終製品として提供できる技術を磨いてきた。アメリカの飛行機産業と日本での部分生産との関係を例にあげることができる。

ここへきて、トランプ政権がマスコミに噛みつかれやすい問題児を演出するなかで、世界からのパートナーの再選択を推進し、アメリカの財政投資の産業設備更新に協力関係を構築できる企業の再選別を進めている。こうした方向軸は、すでにアメリカに頭脳中心を移している三菱UFJ、野村証券、住友系の製造業など、IT活用の最先端では、好循環が期待される。反対に落後していく典型は、神戸製鋼である。

富山県では、アメリカ市場への対応力を完備しているのは、YKK、不二越、スギノマシーン、キタムラ機械などである。日医工など薬業界はその端緒に過ぎないが、すでに始まっている。いよいよ富山県による「アメリカ村」に着手しないと、次の世界史の波に乗りおくれることになる。トランプ政権は、想定される以上に現実主義である。第一、アメリカの政権の動態で極端の左右されるような日米経済関係は構造としては考えられない。あるとすれば、ストックマネーの流動性に左右されるマネーフローの面である。

 

 


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