TMA講師代表:今後、日本国の成長戦略として、第4次産業革命、すなわちロボットとITが挙げられている。こうした第4次産業革命に向け、富山の製造業がどこまで対応できるのか?それは、ほぼ富山県機電工業会と、お隣の石川県の全製造業を網羅した工業会との差異で説明できる。
富山県機電工業会には、「貴族主義」があり、情報系企業の加盟を排除してきたことが挙げられる。この点、石川県庁の政策・制度のサポートは、産業連関の思想を徹底し、建築・土木・鉄工などから最先端の情報機器産業まで、産業連関の諸表をベースとする「総合工業会」の理想形に近いものになっている。
富山県では、プラスティクスの産業も、機械・電機ではないので、機電工業会から排除されている。それとともに、YKKに対する妬みがあり、経済同友会、商工会議所、そして、機電工業会から、富山で最大の世界規模のYKKを排斥してきた。
僕が、富山大学経済学部の経営学科への、TMAの寄付講座の開講には、YKKさんに是非と思ったのは、こうしたYKKへの妬みの震源に過去の富山大学経済学部が関係していたからだ。
僕が何故、「富山新聞」を基地に、マネジメント科学の普及を推進するのか、それは北国新聞とのダブル・タイトルの新聞、つまり石川・富山の2県体制であるからだ。大学も金沢が頂点にある。今後、この2県体制の東部地区を担うのが、富山県である。
残念ながら、第4次産業革命の推進力は、富山側にはない。金沢が基軸となる。これは、YKKに対する過去の妬みの負債が大きく、さらに、産業技術の先端性にむけた富山大学の知的リーダーシップが欠けてきたことに由来する。県立大学も、富大の第2工学部の地位に甘んじてきた。
富山の企業でもロボットが作られているが、メインの道筋から外れている。例えば、癒しロボットのパロでしられる日本抵抗器。不二越は、油圧系のロボット。ITが、WEBの技術と連動し、モノづくりの過程のの「見える化」、さらには、「マネジメント展開の同時的な見える化」に成功するには、石川県の製造業の産業連関が大いにものをいう時代となった。富山県でも、YKK副社長の大谷氏を機電工業会の会長就任にともない、多くの新しいチャレンジが生じているが、石川県のような総合的な工業会へ脱皮するには、大変な壁が待ち受けている。