TMA講師代表の分析:県下の大学に学ぶ学生さんが、富山の企業を就活の選択肢として選ぶために具体的過ぎるアドバイス。
ある県外企業の募集広告に、月額25.1万円(想定残業手当30時間含)(賞与込想定年収約370万円)とあった。実質、月単位に直すと、30万、一日当たり1万円という初任給が提示されている。三交代(24時間)、8時間単位であるが、残業が当初から月30時間だから、25日勤務として、毎日1時間以上の残業が想定されている。これは初任給の提示である。基本は、技術要員。
募集広告の場合、こうした待遇条件の提示は必要条件ではあるが、十分条件ではない。かなり詳しい業務内容の説明があるが、この分野の求人が過熱しているとき、この企業の絶対優位は、どこにも存在していない。勤務地に近い居住者しか魅力はない。YKKのように居住環境まで提案されていない。実は、同じ職種、同じ業務の場合、富山の企業は、この企業よりも賃金の水準は低い。それでも成り立つのは、すでに住環境を確保し、自宅に居住スペースがあるので、住のケアーのためのコストも安い。企業が富山に立地する場合には、三交代勤務に耐えられる住環境をすでに確保している条件を備えている、と想定できるケースが確率的に高い。
では、働く側の選別のポイントは、教育訓練の機関としての企業の「技術の差別化」と「技術の教育力」、それにリスク管理への備えを見抜く必要がある。また、その企業の市場占有率も大事な指標である。題材にした県外企業には、資本構成にうえで、国際的・国内的な市場占有率があり、金融機関のサポート関係が薄い。
学生さんの一部は、賃金と勤務条件に注目するが、それは富山湾岸社会主義のモノの見方である。富山大学生の優秀な学生は、企業の「技術の差別化」と「技術の教育力」、それにリスク管理への備えを見抜いている。富山の企業がさらに良いのは、おばちゃん力。職場がうまいこと回る無形のペースメーカーたちが、職場の緩衝材となっている。男女共生社会が日本で一番進んでいる富山県には、おばちゃん力という無形の人間関係の融和剤が隠されている。
決して、初任給の水準ではおさまらない職場環境というものがある。それが企業文化だと考えておいた方がよい。就活の際、こっそり「おばちゃん力」を確かめて欲しい。