ここへきて、南北対話による朝鮮戦争の終結は、全ての今後の国際交渉の大前提条件となることが確実である。朝鮮戦争の企画者は、南朝鮮つまり韓国内での共産主義者が、アメリカの支配を嫌い、金日正に持ち掛け、スターリンに相談、毛沢東が同意すれば、北朝鮮軍の南下を認め、南朝鮮に左翼政権を創るという流れで起きた戦争である。そこへ、在日米軍を基地にして、アメリカの参戦が加わった。だから、筋としては、左翼政権化した韓国政府からの「朝鮮戦争終結」提案は、北朝鮮の側が受け入れる条件があり、問題は民族自決権の次元にあるので、このワンピースが埋まることが大前提である。それと、中国がアメリカとも、韓国とも、朝鮮戦争を完全に終結しているので、外のツーピースはすでに埋まっている。最後は、アメリカが停戦に合意したが、北朝鮮の体制を存在的に承認するか、核兵器を含む武力で消滅させるか、という最終判断を引き延ばしてきた事情がある。問題は、アメリカの外交戦略の不決断により、北朝鮮に核武装する口実を与えてきたのである。この問題は、アメリカの決断、つまり武力で金政権を消滅させるというマッカーサー案を完全に抹消するか、あるいは、南北の停戦同意から、南北の終戦合意を肯定するかの2者択一である。そのあとは、韓国社会を自壊させ、金体制の傀儡政権が韓国で維持できると読むから、北朝鮮はそのベクトルで進む。また、韓国の左翼政権は、韓国経済の浮揚には統一民族感の高揚がいると、いわば同じ床で同じ夢を見る関係が成立する。つまり、反共主義者には不都合な事態へと急速に進んでいる。
日本の場合、国民のコンセンサスは「経済主義」という蜜が欲しいだけであるから、朝鮮戦争の開始でも蜜を味わい、終結でも、また蜜を味わえたらよいと構えられる。それだけで十分という構えで十分である。ただし、北朝鮮との戦時賠償は、必ず再燃する。しかし、その蜜を味わうのも日本企業の一部という仕組みである。