公共図書館を邪魔にスル自治体が増えてきている。逆に、貴重な蔵書を廃棄したという怒りを露にスル輩もある。大学の図書館には、学術図書で、利用者の少ない貴重書を保存する役割がある。地方都市の公共図書館は、経営指標として、住民人口1人当たりの年間貸出冊数は、5冊であればよい方だ。神戸の甲南大学の学生1人当たりの数値に近い。これより低いのが、近畿大学、さらに神戸学院大学である。富山市民の平均読書指数は、甲南大学なみであれば優秀である。YKKの現社長の大谷さんは、甲南大学出身である。教養指数は、明らかに富山市民全体で甲南大学大学水準を維持できればよい。ただし、このデータは城址公園に図書館の本館があった時代の話である。富山市立図書館の強みは、地域分館の数が同規模の市と比べて多いことである。経営効率は低い。しかし、少ないが安定した利用者を岩瀬地区、八尾地区、大山地区、呉羽地区で確保しているので、平均学力は、甲南大学2年生の程度である。つまり、高卒+2年、20歳の水準にある。蔵書構成は、理工系、産業系の分野が多いので、富山市民は理系市民であるといえる。5冊平均、1冊あたりの平均単価を800円と仮定すると、1人当たり年間無利子での知財のご融資は、4000円となる。図書館は、知財の銀行である。富山市立図書館の本館は、富山第一銀行の本店ビルと共存し、「キラリ」ビルを構成している複合施設である。美術館の部門もあり、イベント型の集客に寄与している。富山の「キラリ」ビルは、富山市民の資産と知財の総合銀行という稀に見る包括性と多様性を実現している。ここに公共交通の利便性が加味され、さらに自動車文庫の活動が中山間部へ及ぶと、過去には考えられない知識水準の高い市民が生まれる。すでに、大学進学率は50%を超えている。また、デジタル図書を軸とする未来型の情報図書館も、丁寧な制度設計をしして、国会図書館のもとで、あえて蔵書をもたない図書館の時代が来る。今は、その歴史的な過渡期にある。
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