しかし、目を開け。そして驚け! その焼けつくような砂の中から一本の木が生え出たのである。そしてつぼみをつけ、花が開いた。それはばらであった。そのかたわらに、一本のゆりの花が品のある頭をたれていた。しかも、なんという奇蹟であろう。それらの花の香りが広がるにつれて、荒野は肥沃な土地と打って変わり、ここもかしこも花におおわれ、レバノンの栄光と、カルメルやシャロンの威光も現れた。そこはもはやサハラ砂漠ではなく、パラダイスである。もはやそこを死の陰の谷と呼んではならない。骸骨が白日の下に横たわっていた所には、見よ、復活が宣言され、死者は立ち上がり、その力強い腕は永遠のいのちに満たされたからである。イエスがその最初に生えた木であり、主の臨在によってすべてのものが新たにされた。
それにもまさってさらに驚くべきことは、人の個人的な救いである。愛する読者よ。私がはるかに見ると、あなたは一人の赤ん坊であり、着物も着ず、産湯も使わず、自分の血で汚れたまま、野獣の食になるのを待っていた。しかし見よ。一つの宝玉が神によってあなたの胸の中に投げ込まれた。そのためにあなたはあわれみを受け、神の摂理に守られ、自分の汚れを洗いきよめられ、天の家族の一員とされ、額には美しい愛の印が置かれ、頭には忠実の環が置かれた。あなたはかつて捨てられた孤児であった。しかし、今は神の王子である。おお、荒野を変えて園となし、荒れすさんだ心に喜びの歌を歌わせる無限の力と恵みとを、口をきわめて賛美せよ。