(キャンパスには、たくさん屋台がある。テーブルに書物やノートを並べて、学生たちは勉強に余念がない)
ブライアンの奥さんは、料理が得意である。
ブライアンも、そこはアメリカ人、" My wife is a good cook. " ( 女房は料理が得意です )と人前で自慢している。
彼女が作るレシぺはアメリカンで、肉料理、たとえば、ステーキ、シチュウから魚のソテー、ホイール焼き、カルパッチョ、ハワイの新鮮な野菜料理など得意分野は多様である。
学生時代、ロスアンジェルスで、老人夫婦の家で夕食を作るアルバイトをしていたようで、その時に前日と異なった料理をということで、毎日違った料理を考えていたことが、彼女のレシぺの範囲を広くしたようで、ただ広いだけでなくおいしい。
いつも忙しい彼女は、長年で身に付けたのか、料理を作る時間が素早いのだ。
ブライアンとトシが喋っているところに、ワインと人参スティックかボイルド・アスパラなど持ってきて、自分もワイングラスを片手に、あちこち動きながら話に加わっている間に、いつの間にか料理ができ上がってしまう。
台所から、
" Bring these dishes to table ! Brian! " ( ブライアン!料理をテーブルに運んで! )と大きな声が聞こえてくる。
ブライアンは、そさくさとテーブルにクロスやナフキンを敷き、キャンドルに灯をともし、皿を並べ、中央にワインボトルを置くなど準備をする。
ブライアンは、昨年結腸 ( colon ) の手術をしてから、その後はアルコール類を飲まない。
ブライアンのお母さんが、サンフランシスコ近くのブドウの産地で有名なソノマに住んでいたこともありワインの知識が豊富で、どこからか由緒ある高級ワインを買ってきて、ワインに関する知識を披露しながらコルクの栓を抜くときが楽しみのようなのだ。
ブライアンが飲まないのに、トシが飲むのは気が引けて、
" I think I should refrain from drinking . " ( 僕はのむの遠慮しとくよ )と言っても、
" You should enjoy drinking without me. That' OK ! " ( 僕抜きで楽しんで! それでいいから )
ということで、もう遠慮をしないで飲むことにした。