マディと愛犬ユーリ、親友のクリスティ、それにハワイのこと

ハワイに住んでいたころ、マディという女の子が近所に住んでいて、犬のユーリを連れて遊びに来ていた。

" Bookstore in Kahala " ( 思い出の本屋さん )

2015-03-13 18:59:15 | カイルアの街

 

 

 

 

 ハワイのカハラモールに、お気に入りの書店「ノーブル・アンド・バーンズ」があった。カハラモールの屋上の駐車場部分の右端に、オフィスビルに隣合せてその書店はあった。
 バスでカハラに着くと、先ずは、まっすぐこの書店に急いだものだ。
 ところがこの前、久しぶりに「ノーブル・アンド・バーンズ」を訪ねて行ったところ、取り壊し作業のさなかだった。
 「ヱツ!」と思わず立ち止まり呆然としてしまった。
 この本屋にはよく行っていたので思い出がたくさんある。トシにとって単なる書店ではなく、その時々の自分の歴史にかかわっていたのである。それが目の前で無残に取り壊されていた。
 
 ここにはマディと何度となくやって来た。
 マディが、床のカーペットに座って何時間も本を読んだ。
  "  Go home, right?  " (もう帰ろう!)と言っても「ううん…」とか生返事をして動こうとはしなかった。
 マディが気に入っていたのは、英語版:日本の童話で、One Inch Boy「一寸法師」、The Crane Lady「鶴の恩返し」、Mito Komon「水戸黄門」などだった。
 ストーリーが、幻想的で、自らが夢の世界に浸れる気持を楽しんでいるようだった。描かれている挿絵も素晴らしく、マディは、"  How wonderful !  " (素晴らしいわ!)とか感心していた。

  麻雀仲間の小児科医の女性ともここで待ち合わせをした。
 カハラで時々マージャンを一緒にしていたが、当日彼女が勤める病院から
 "  Six at ' Noble & Barns ', OK ?  " (6時に本屋さんで待ってていて!)とか電話をかけてきた。
 彼女は、仕事柄忙しく、約束の時間にやって来ることはなかなかなかったが、バス停で待ち合わせるとか、どこかの店頭で待ち合わせるより、「ノーブル・アンド・バーンズ」で待ち合わせるほうが、本を立ち読みして時間を過ごせるし、はるかに楽だった。少々に時間のずれは気にならなかったのである。

 ブライアンは、読書家で本には興味を持っていたので、日曜日など「ノーブル・アンド・バーンズ」で待ち合わせ、一緒に本を探したり書店の中にあるコーヒーショップでコーヒーを飲みながら語り合うことも多かった。
 彼がまた、時間通りには来なかった。
 約束の時間より早く来ることはなく、たいていの場合遅れてやってきた。それも1時間遅れなどしょっちゅうだったのである。
 彼が遅れてきても、全く気にはならなかったのは、書店の中は楽しみがいっぱいで、立ち読みしたり、コーヒーショップでコーヒーを楽しんだ、"  Bargain  " (バーゲン)本の山から、これと思う掘り出し物を見つけたりしていた。
 彼が現れると、遠くから人目もはばからず、大声で、"  Sensei !  "「センセーイ!」と叫んだ。周辺にいる人たちが一斉に眼を上げ注目しても、気にする風がなかったのである。

 本を買うだけなら別にカハラの「ノーブル・アンド・バーンズ」でなくても、ほかにたくさん書店はあるし、アラモアナ・ショッピングセンターにも「ノーブル・アンド・バーンズ」はある。
 アラモアナの「ノーブル…」もしょっちゅう行っていたし、立ち読みしたり、店内のコーヒショップで、よくコーヒーも飲んだ。
 しかしカハラの店には、私的なかかわりが多く、その一つ一つをあれやこれや思い出してしまうのである。
 マディ、小児科の女医さん、ブライアン、そのほかの友人の多くはハワイを離れてしまった。