ハワイのパーティで歳のころは40歳くらいかなと見える 日本人女性に会った。
アメリカ人の友人が「日本人女性が来ているから話してみる?」と言って紹介してくれた。
その女性、日本生まれの日本人だったのだがアメリカ人と結婚してアメリカ市民権を得ているので厳密にはもうアメリカ人だ。
「久しぶりに日本語を話せるなんて嬉しいわね!」と言った。東京のキリスト教系の女子大学を出て外資系の会社で働いていたそうだ。他の女性社員に比べて、彼女は英語ができたので、アメリカから出向で来ていた男性たちと接することが多く、そのうちその中の一人と結婚することになった。
東京に住んでいたり、アメリカのロスアンジェルスにも住んでいたことがるようだが、旦那さんが仕事をやめたとかで、故郷のアイオワに帰って二人で暮らしていたそうだ。
アイオワといえば、アメリカでも田舎で、いわば農村地帯、そこで何をしていたのかも聞いていない。「アイオワに18年間もいたのよ!」「日曜日に教会に行ったり、せいぜいスーパーに買い物に行っていたくらいで、のんびりしていたといえば聞こえはいいが、本当に田舎暮らしで退屈そのものだったわ」と言った。「まあ、お金のかからないところでした」
今はハワイに住んでいる。友人によると、彼女は離婚してハワイに来たとのことだ。名刺を渡され、ぜひオフィスに立ち寄ってくださいと言った。本気のようだったので、ダウンタウンに行った序に彼女の働いているというところに行った。
30階もあろうかというほどの大きなビルの中に彼女の仕事場があった。受付に名刺を出して彼女に来訪したことを伝えてもらった。パーティの時とは一転して黒の上下のフォーマルな服装だった。
「本当に来ていただいたのね!」とうれしそうだった。エレベータで彼女の事務室に行った。広くてりっぱな部屋だった。
どうも日本語と英語ができるということで、彼女の仕事は日本の企業のリサーチをしたり、翻訳をしたりのビジネスコンサルタントのようだ。
「ハワイは一年中暖かくて、さわやかな潮風に吹かれて、何処に行っても寛げて最高だわ!」
離婚後の彼女の生活が、湿っぽいものでなくて何よりだという気がした。
「ただ大きな問題があって、ハワイはとにかく物価が高いのよ!」
同じアメリカでありながらハワイの生活は以前に比べてかなりのギャップを感じているようだ。「とにかくハワイは物価が高いのよ! 家賃も想像を絶するくらい高いし」と言った。そういえば、ハワイで自給できるものは牛乳ぐらいで、他はすべてアメリカ本土から運んでくる。運搬料がかかるし高いはずである。
それにしても、離婚してアメリカ本土からハワイに移ってくる日本人女性が多い。結婚した時は親に反対され、それでも無理に外国人と結婚してみたものの、生活環境の急変、文化の違いなどから軋轢が生じてついには離婚に至るケースが多いようだ。事情があっていきなり日本には帰れないで、何とかハワイまでやってくる。
ある女性は、「ここに来ると海の向こうに日本があると思うと安心します!」と言った。