マディと愛犬ユーリ、親友のクリスティ、それにハワイのこと

ハワイに住んでいたころ、マディという女の子が近所に住んでいて、犬のユーリを連れて遊びに来ていた。

" A V.I.P. and his wife " ( ある有名人と奥さん )

2013-10-20 20:10:15 | ハワイの思い出

 

 

 (よく通っていた州立図書館の前)

 

 ホノルル空港でワイキキまで行く空港シャトルバスに乗り、適当な座席を見つけて、出発の時間を待っていた。
 多くの人たちが、スーツケースなどの荷物をもって移動しているのが窓から見えた。
 バスの中を見渡すと、数人がパラパラに座っているぐらいで、これから乗ってくる人たちを待っていた。
 そのうちバスに順次お客が乗り込んできて、空席を埋めていった。
 日本人の若い男性のグループが乗ってきて、トシの座席前方に散らばって座った。
 金髪の逞しい体格の男性と連れ添うように美人の女性が乗ってきて、男性は、若者たちの前の座席に座って、奥さんは、そのまた前の席にひとりで座った。
 日本人の若者たちが興奮した様子でザワザワ騒いでいて、仲間内で話し始めた。
 どうもその金髪の男性のことを話題にしているようだった。
 映画俳優でも歌手でもなさそうで、トシには心当たりがなかった。
 そのうち若者の一人が、みんなを代表する形で、恐る恐る金髪の男性に話しかけたのである。
 中学校の時に習った英語を思い出しながらか、もどかしそうに、たどたどしく話しているようだった。彼のほうもにこやかに返答していた。
 
 トシは、この人に見覚えがなかったし、はて誰だろうと思いながら見ていたのである。
 頃合いを見て、前の座席に座っている若者に、「あの人は、誰ですか?」と尋ねてみた。
 「リック・フレアですよ!プロレスラーの」と言った。
 後で思い出しても、確かにリック・フレアだと言ったように覚えている。当時は、プロレスにあまり興味がなくて、リック・フレアという人も名前も知らなかったのである。
 「リック・フレアを知らないのですか?ジャイアント・馬場やジャンボ鶴田と闘ったあの人ですよ!」
 一見したところでは、端正な顔立ちで、鼻が曲がっていたり、傷だらけの顔をしているようでなく、レスラーには見えなかった。

 ずいぶん後になってから、WWEなどのテレビ中継で、彼が出てくるのを見た。
 当時リング上で、彼が、" Fourteen times! Fourteen times! " と叫んでいたのは、14回世界チャンピオンになったのだぞ!という意思表示のようだった。実際には、もう16回世界王者になったそうだ。
 アメリカ人にしては、大型のごつごつした体格でもなく、身長も高いほうではない。
 必殺技の「足4の字固め」などが得意で、相手をギブアップさせていた。
 貴公子然とした風貌ながら、戦い方が汚くて、隙を見て、相手の急所攻撃や目つぶしなど平気でやっていて、”もっとも汚いレスラー” (The dirtiest player in the game )などと呼ばれていた。
 彼の面白い技というか、" Face-first-bump ” (顔面受け身)というのがあって、相手に攻撃されて、その場でバタン!と倒れるかと思いきや、リングの中央までよろよろ歩いてきて、忘れたころに、急に顔からドン!と倒れ込む独特の見せ場があって、そのようなとき、観客は一斉に立ち上がって喜んでいた。

 今の奥さんは、5人目だそうで、あの時見たきれいな女性は、何番目の奥さんだったのだろうか。
 日本の若者たちと、声高に談笑していても、奥さんのほうは、ひとつ前の席で、走りゆくバスの窓から、我知らぬ顔で外の風景を見ていた。
 幼年期は、施設で育ち、養子として育てられたが、レスラーとして成功してからは、自家用機で遠征先まで移動をしていたようで、当然お金持ちだった筈だ。
 あの時、ホノルル空港から、リムジンに乗ってもおかしくないのに、なぜシャトルバスに乗っていたのか、今でも疑問に思っている。

 

 

 


" Grandma's native town " ( おばあさんの故郷 )

2013-10-14 07:26:00 | ハワイの思い出

 

 

 

 

 トシにとって空港シャトル・バスについては、いくつかエピソードがある。
 たまたま乗り合わせた乗客が話しかけてきた。30歳ぐらいの男性だった。
 いきなり、" Nama-Asahi is superb, isn't it? " (アサヒの生ビールは美味しいですね!)とか言われて、びっくりした。
 当時は、スーパーに行くと、日本からの輸入ビールを売っていたが、黒茶色の長い瓶ビールで、確か日本で買うより半額くらいで買えた。
 安いのは、おそらく税金のせいで、はるばるアメリカまで持ってきても、あちらで買うほうが売値が安くなるのだろう。
 現在では、ハワイのスーパーやコンビニで、日本のビールは、どこでも売っている。

 この人、ハワイに住む日系の3世だと言っていた。
 生まれて初めて、念願だった日本への旅行を実現して、その帰りのようだった。
 両親は、もう日本語をほとんど話さないらしいが、3世の彼は、片言の日本語を話すようだった。
 小さい時から、「おばあさん子」で、夕暮れ時、おばあさんに手を引かれながら散歩をしていて、日本語で会話の相手をした。
 おばあさんは、英語がよくできなかったので、彼とは日本語を交えながら話した。
 物心ついたときには、おじいさんはもういなかったので、家族の中でなんとなく日本語を話せるのは、彼だけだった。

 おじいさんとおばあさんは、和歌山の漁村の生まれだった。
 長男が実家を継いだので、次男である彼は、ゆくゆくは家を出て働くはずだった。汽車の機関手になるか、警察官になるか、大都市に出て働くかの選択肢が頭の中にあったが、その頃役場がハワイ移民を募集していることを知って、思い切って移住することを決心したようだ。
 おじいちゃん、おばあちゃんが、1世、父母が2世、彼は、3世だった。
 小さい時から、おばあちゃんから、故郷の和歌山のことはよく聞いていた。
 「ウサギ追いし彼の山・・・・」の歌を寝床のそばで歌ってくれた。
 彼には、おばあさんの故郷の風景がまるで自分の故郷のように感じられた。
 小川のせせらぎ、秋の紅葉、学校の遠足など繰り返し話を聞いていて、わがことのように思い出していた。 神社に大きなクスノキがあることも知っていた。秋になると庭の渋柿を収穫して軒下につるし、干し柿にして食べたことなど自分の体験のようだった。
 もうそのおばあさんもいない。

 いつか日本に行って、祖父祖母が体験した故郷の生活を見てみたい気持ちがあったのだが、今度ようやく日本に行くことができて、いま日本から帰る途中だということだった。
 勿論おばあさんの故郷を訪ねた。神社は、思ったより小さかったが、クスノキはまだあった。学校は、移転して、コンクリートの建物になっていた。墓参りもした。
 おばあさんの故郷は、彼にとっても心の故郷だった。

  " I climbed Fuji-San this time myself, you know !  Mt.Fuji commanded such a good view.  "  "  Grandma often talked about Mt.Fuji.  "
 ( 一人で今度富士山に登ったのですよ! 上から見る景色が素晴らしかったです。富士山のことをおばあさんはよく話していました )

 


" The shuttle comes in front " ( シャトルバスは玄関まで迎えに来てくれる )

2013-10-07 14:48:17 | ハワイの思い出

 

 

 

 日本から飛行機でハワイに着いて、入国手続や税関手続を終え、さあハワイだ、とターミナルビルを出ると、懐かしいハワイの風が頬をかすめていく。
 何とも心地のいいハワイの風だ。ハイビスカス、あるいはプリメリアの香りか、また海辺からそよいでくる潮騒の香りか、まさにハワイの香りである。
 
 トシの場合、ホノルル空港からワイキキまで移動するのに、所謂 Airport Shuttle (空港シャトルバス)を利用している。
 荷物があるし、バスには乗れない。タクシーがあるが、割高だし、空港バスで十分である。
 シャトルバスは、民間のタクシー会社やツアー会社が経営している。
 ミニバンと言われるもので、日本で言うマイクロバスのような、乗客がせいぜい20人までくらいの小さなバスである。相乗りで、知らない人たちが乗ってくる。
 ただ、トシが気に入っていたのは、Roberts Hawaii (ロバーツハワイ)の大型の観光バスだった。
 大きくて乗り心地が良く、定員は、おそらく50人ぐらいと思うが、乗っているお客は、多くても20人ぐらいで、車内が広々していて、手足を伸ばすこともできて快適だった。
 お客さんは2階部分に乗り、階下は、荷物のストアになっていた。
 乗車するときに、行先を告げておけば、ホテルやコンドミニアムの玄関につけてくれて、荷物もドライバーが、取り出してくれる。チップに1ドルか2ドル手渡せば、それでいい。

 ロバーツハワイのバスには、そのような掲示はないが、ミニバンなどに乗ると運転席に、これ見よがしに日本語で、「料金にチップは含まれていません」と書かれた札が貼っている。
 日本人は、チップを手渡さないので、掲示しているのだと思うが、英語の国なのに日本語で書かれているのが、なんか当てつけみたいで、感じはよくない。
 バスを降りて、荷物お運転手が取り出しれくれた時、それこそ courtesy (感謝の気持ち)として、1ドル、あるいは2ドル渡せばいいのだが、日本人は、チップの慣習に慣れていないので、つい渡しそびれることがある。
 しかし、よく見ていると、アメリカ人でも、チップを出すかと言えば、そうではない。半分くらいの人が、知らんふりで去っていくから、我々もそんなに気にすることはないように思う。

 料金は、ロバーツハワイも、そのほかのバスも、ついこの間までは、片道が、8ドルで、往復を買うと、15ドルだった。
 今は、値上げされて、片道が14ドル、往復が26ドルにもなってしまった。
 それに悪いことには、気に入っていたロバートハワイが、空港シャトルから撤退してしまって、今はもう運行していないのだ。残念だが仕方がない。

 往復券を買った場合、帰りの半券を大切に保存して、帰国の前日に、シャトルバスのオフィスに、次の日に迎えに来てもらう時間の確認電話をしなくてはならない。
 飛行機が出発する2時間前には、空港に到着しなくてはならないので、余裕を持って3時間前くらいに空港に着くように、電話をして確認を取る必要がある。
 日本と違って時間に几帳面というわけでないから、当日取り決めた時間通りにバスがやってこない場合がある。
 20分過ぎてもバスの姿が見えないときなど、2時間前に空港に着けるだろうかとひやひやの気持ちでバスがやってくるのを待つことがしばしばだった。
 携帯電話を持っていないので、フロントに行って電話を借り、シャトルバス会社に電話をする。
  "  The bus is already out, will be there in a moment.  " (もうバスは出ていますから、もうすぐ着きます)みたいな返事が返ってくる。