テレビのドラマシリーズ「ハワイ・ファイブーオウ」( Hawaii Five - O ) を見ていたら、見覚えのある風景が出てきた。
レストランで食事をする場面だったが、テーブルの並び方、背景の風景、立ち並んでいる木立の様子、トーチの形、位置などから、まさしく我々が食事をしたレストランで、それも、どうも、あの時食事をした同じテーブルのようだった。
その場面を見て、「エツ!」という感じで、びっくりしてして思わず立ち上がったほどである。
その日、知り合いの人から電話がかかって来て、ディナーに招待された。
てっきり、どこかの家の食事だろうと思い、「ありがとう!」と気軽く応じた。
極くラフな服装で出向いたのである。
待ち合わせの場所に立っていると迎えの車が来て、トシの横に止まった。車の窓から、見知らぬ人が、 " Sensei? " ( センセイですか? ) と声をかけてきた。
" Yes ! " ( そうです!)と言ったが、なぜ「センセイ!」と呼んだのだろう。
車の後部座席に乗り込んで、どこかの家に行くものだとばかり思っていたら、着いたところが、「カヌークラブ」だったのである。
もちろんメンバー、あるいは、メンバーが連れてきた人しか入れないところである。、トシは、ひとりで来ても入ることができないのだが、メンバーに招待されたということで、カウンターで手続きをしてテーブルに案内された。
ちょうど夕暮れ時で、西の空は、まさにハワイアンサンセットで、大きな太陽が水平線に沈んで行くところだった。
周りを見渡すと、着飾った紳士淑女たちが、テーブルを囲んで食事をしながら談笑していた。
トシは、アロハシャツに、短パン、スニーカーといういでたちだったが、幸いにも、我々メンバー全員が、女性を除きラフなスタイルで来ていたので安心した。
唯、今から一緒に食事をする人たちは、大学の先生を除くと初めて会う人たちばかりだった
われわれのメンバーは、後からやって来た人たちも含め、女性が3人と、男性は、判事だという人、弁護士が一人、大学の先生、トシ、それにもう一人で、結局男性が5人と女性が3人、8人がテーブルに座った。
トシがなぜ招待されたのかわからないままで、しかも初対面の人たちが多くて緊張していたのだが、そこはアメリカ人、そんなことには意に介せずの様子で、彼らは、しゃべりまくっていた。
横に座っていた女性が、
" Isn't it funny ? We have two Mikes here. " ( 面白いと思わない?ここに2人マイクという名前の人がいるのよ!)
たしかにマイクと言う人が二人いて、お互い " You, Mike ! " (ねえ、マイク!)とか呼び合っていたのである。
トシの左側には女性が、右側には男性が座っていたが、女性3人がだれの妻なのか帰り際までわからないままだった。
" We'll use ' hashi ' out of respect for Sensei ! " ( センセイに敬意を表して箸を使いましょう! )と誰かが言った。
そして、ウエイターを呼び、人数分の箸を持ってくるように言ったのである。食事の間、ずっと、彼らは、箸で食べ続けた。ハワイのアメリカ人たちは、箸を使うのに慣れていて、だれでも上手に箸を使うことができる。
今日のメンバーは、男性は、判事、弁護士、教授、トシ、それにもう一人いて、
" What is he doing ? You know the man sitting there in the opposite side. " ( 彼は何をしている人ですか?向こう側に座っている人ですが )
と横の女性に訊いた。
" He is a businessman. He has a factory in China and can speak Chinese. " ( 彼はビジネスマンで、中国に工場を持っていて、中国語が話せますよ )