マディと愛犬ユーリ、親友のクリスティ、それにハワイのこと

ハワイに住んでいたころ、マディという女の子が近所に住んでいて、犬のユーリを連れて遊びに来ていた。

" easy-going bus drivers " (のどかなバスの運転手たち)

2017-02-18 17:00:32 | ハワイ

 

 

  ハワイでバスに乗っていた時、そのバスが田舎道の公園の側で急に止まった。女性ドライバーが、シートベルトを外して立ち上がった。
 運転席の近くに座っていたトシと目が会って、微笑みながらウインクして下りて行った。彼女は木立の中を走りながら姿を消した。バスには乗客が10人ぐらい乗っていたが、ドライバーの行動を訝しがるでもなく、穏やかに乗ったままだった。
 5分ぐらいして彼女が再び同じ道を走ってきた。息を弾ませて、乗降口を登るとき、トシに囁くように、"  I went for a pee.  " (おしっこに行ったのよ!)と言った。のんびりした風景を見ながら、何かほっとする心和む瞬間だった。

 マスイさんが眠っている妙法寺に行くとき、何処にあるのか知らなかったので大学のサロンで、そこにいた人たちに訊いてみた。誰も知っている人がいないようだったが、一人の女性が、「ちょっと待って!」と電話帳を持ってきた。「ヌアヌと書いてあるから、4番バスで行けるわよ!」と言った。
 早速、大学の傍のメトカフの停留所でバスを待った。
 バスは山間の道を曲がりながら進んだ。ついにはダウンタウンに出てメイシーズ百貨店の裏で止まった。お客は全員が降りてドライバーも降りた。一人取り残されて、それでもじっとしていた。ここでドライバーが交代するようで、別のドライバーが乗ってきた。お客もぼちぼち乗り始めていた。ドライバーに、
 "  I wanna go to Myohoji Temple. "  (妙法寺に行きたいのですが) 
 "  Is that a Japanese temple?  " "  I don't know.  " (それは日本のお寺ですか?)(わかりませんね)
 それでも乗客に向かって「だれか妙法寺を知っている人いますか?」と訊いてくれた。
 バスは走り出した。街を抜けて丘に向かうようだった。大きな木が連なった並木道を進んだ。バスが石油スタンドの横で泊まった。もちろん停留所ではない。ドライバーが車を降りて、スタンドの中に入っていった。すぐに戻ってきたが、"  I got it.  " (わかったよ!)と言った。
 再びバスは走り出した。しばらく進むとまた止まった。
 ドライバーがトシに、「右の木立の道を進むと妙法寺があるはずだ」と言った。
 昭和の初め頃だったら日本もこのような風景が見れたかもと思った。

 ロスアンジェルスでウエストウッド行のバスに乗っていた。
 前に何度か乗った時は、高速道路を走って短時間で到着した。このバスは、どうやら別ルートのようで、住宅地の中を蛇行しながら走っていてやたら時間がかかっていた。しまったと思ったがどうにもならず、とにかく目的地に着けばいいやと我慢することにした。
 バスが停留所でないところに止まった。ドライバーがプツープツー!とクラクションを鳴らした。
 その時民家から可愛い女の子が脇にバスケットを抱え飛び出してきた。ドライバーが運転席の窓を開けた。
 「パパあ!」とか言ってそのバスケットを差し出した。どうも父親の弁当のようだった。ドライバーは満面の笑みで、"  My sweet bebe!  " (僕のカワイ子ちゃん!)とか言ったようだった。
 何ともほっとするような光景だった。