マディと愛犬ユーリ、親友のクリスティ、それにハワイのこと

ハワイに住んでいたころ、マディという女の子が近所に住んでいて、犬のユーリを連れて遊びに来ていた。

  " The whodunit I've left in an airplane " (飛行機に忘れてきた推理小説)

2013-09-10 15:14:41 | ハワイの料理

 

(4)

 

 ( カイムキノ町の小さなレストランが連なっている辺り )

 シュミットさんとメキシコ料理を食べたのを覚えている。
 彼女が運転する車で、海岸線をドライブしていて、どこかで食事をしましょうかということになった時、「ヤマダサン、何がいい?」と訊かれた。
 特にこれというのを思いつかなくて、「なんでも!」と言ってしまった。
 「近くにメキシコレストランがあるのだけど、メキシコ料理など、興味がありますか?」「もちろん!」
 ということで、彼女が知っているというメキシコレストランに行くことになった。

 場所は、パールリッジの街をちょっと外れたところだった。
 「確かこの辺りよ!」というのだが、郊外の道をあちこち巡りながら、シュミットさんも、場所をよく思い出せないようだった。
 もともとシュミットさんは、どちらかというと方向音痴で、運転していても、急に徐行を始めて、自信無げに「ここかなあ?」とか言いながら、目指す場所を見つけ出すことができないのである。
 ようやく件のメキシコレストランを探し当て、「やれやれ!」という気持ちで入っていった。
 何を食べたかは、よく覚えていないが、ひき肉、チーズ、トマト、香味野菜などが入ったナチョス、それにアンチラーダ、もう一皿は、アボカド、トマトソース、バジル、豆、チーズなどを巻いて食べるトルティーヤだったような気がする。

 シュミットさんに出会ったのは、ハワイから日本に帰るときの飛行機の中だった。お互い一人旅で、隣り合わせの座席だった。
 初めは、軽く挨拶を交わしただけだった。
  "  Hello ! Nice to meet you ! ( どうも!こんにちは!)
  "  Are you alone ?  " (おひとりですか?)

 その後はお互い関心を示すわけでなく、ごくおとなしく本を読んだり、居眠りしたりで自分のプライバシーの領域を守っていた。
 ハワイを発って5時間くらい経ったころか、 ちょっと退屈してしまって、何となく窓の外を見ていたら、
 " You're reading all the time. " (いつもご本を読んでいらっしゃるわね)
 と言って、ニコッと笑いながら話しかけてきた。
 飛行機の中では、勿論難しい本を読んでいたわけでない。カハラモールのBarns & Nobleという本屋で、バーゲンで買った推理小説だった。
 イギリスの作家の作品で、家族全員が素人探偵で、身近で起きた犯罪に首を突っ込み推理を巡らせながら問題を解決するといった、どちらかと言えばユーモア溢れる、微笑ましいお話だった。
 飛行機を降りるとき、座席に置いていた毛布にくるまった本の存在をすっかり忘れていて、結局持って帰らなかったのである。
 途中までしか読んでなかったので、ちょっと名残惜しい気がしていた。

 機内誌を家に持ち帰って読んでいたら、アンケート用紙が挟まっているのに気づいた。
 何の気なしにアンケートに答えていたら、余白に意見、感想を書く欄があって、そこに、「実は、機内に読みかけの本を忘れてしまった」ということをそれとなく書いてしまった。
 別に返事など全く期待してなかったのだが、後日JALから丁寧な封書が届いたのである。
 びっくりしたのは、空港の遺失物係や掃除の担当係などに問い合わせて、かなり念入りに探してくれていたことである。
 結果は見つからなかったということだったが、こんなに親切にしてもらったことを、こちらとしては恐縮してしまった次第である。
 元はと言えば、忘れたこちらが悪いのに、本を探すために、かなりの労力を注いでくださったことに心からお礼を申し上げたい気持だった。

 


" How about Mexican food ? " (メキシコ料理はいかが?)

2013-08-25 08:56:30 | ハワイの料理

 

(2)

 

(アラモアナフッドコートのメキシコ料理)

 ハワイに着いて、先ずはしなくてはならないことは、*市役所に行って、バスの定期の手続きをすること、2番目に、*マスイさんの墓参りをすること、そして3番目は、
 *メキシコ料理を食べに行くことである。
 
 別にメキシコ料理が、ほかのどの料理より好きということではない。今の日本では、どこに行っても、フレンチ、イタリアン、中華、エスニック料理などのレストランがあって、好みによってどこの国の料理でも食べることができる。
 しかし、アメリカでよく行っていたギリシャ料理、地中海料理、メキシコ料理などレストランは、トシが住んでいる九州ではなかなか見つからないのである。
 
 若い時、友人たちと誘い合ってよく行ったメキシカン・クジーンがなんとも懐かしいのである。  メキシコ料理も様々で、店内でマリアッチの演奏がある高級なものもあるし、そこらで立ち食いするようなごく手軽いものまである。
 どちらかというとメキシコ料理は、身近で庶民的で、安いというイメージがある。腹がすいたら何となくメキシコ料理を思い出してしまう。タコスをほうばりながらメキシコビールのコロナを飲めば、満足だ。
 
 ハワイに行ったら、まずメキシコ料理にありつきたいという気持ちがあって、つい馴染みのローカルなレストランの入って行くこともあるし、それこそアラモアナにあるフッドコートに行くこともある。
 フッドコートは、いつ行っても人で溢れていて、空席が見つからないほど混み合っているが、そんなところでも気にしない。
 どこかに空いた場所を見つけて、アンチラーダを運んできて、テーブルに座る。
 メキシコ料理の何が気に入っているかと言えば、何でもいい。ケサディーヤ、アボカド・サラダ、チリベルディ、チーズディップ、アンチラーダ、トルティーヤ、タコスなど、どれでもいいのである。そのすべてに、日本にいた時は、味わいたくても、その機会がなかったメキシコ料理の漂う香りが目の前にある。

 ハワイにいたころ、友人たちと何かの記念日などにウオードセンターにある「コンパルドス」に行っていた。
 ここはメキシコレストランでもハイクラスで、中の造りなどラテンの雰囲気があり、時間によってはマリアッチの音楽が生で聴くことができた。
 ここに行っていた理由が、仲間内の学生がウエイトレスのアルバイトをしていたからである。
 予めその学生に電話で予約を入れておくと、海が見えるいい席を確保してくれたのである。そればかりか、最初にビールかマルゲリータを注文すると、近くの席のお客に料理を運んできたときに、さりげなくビールやマルゲリータを無料でもってきてくれた。

 いつかカハラのチリズというメキシカンレストランの屋外テラスで食事をしていたら、隣の席にあの有名なミュージカル「南太平洋」「さよなら」「ハワイ」の原作者ジェームス・ミッチェナー夫妻が食事をしていたことがある。
 彼であることを確認するために、こっそりトイレに行く風をしてレストランの中に入っていき、カウンターにいたマネジャーに尋ねてみると、「間違いなくジェームス・ミッチェナーさんです!」と教えてくれた。
 新聞記事から彼の年齢を計算したら、その時は76歳だった。二人の会話の中で、一緒に座って食事をしていた女性を、盛んに「マリ!」と呼んでいたのでその女性はまぎれもなく奥さんのマリのようだった。
 奥さんは、日本人か、あるいは日系人ということで、3番目の結婚相手だということだった。おそらくミッチェナーさんより10歳くらい若く見えた。
 "  Do not feed birds !  " (小鳥に餌をあげないでください!)と立札がテーブルに置かれていたが、そんなことに気づかないのか、パン切れを摘まんで小鳥たちに与えていた。何か話に夢中のようだった。

 新聞を読んでいて、奥さんの名前が、Mari・Yuriko・Sabusawa (マリ・ユリコ・サプサワ)というのだと知った。食事の時、奥さんのことを「マリ!」と呼んでいたのを思い出した。
 "  Is Mari a Japanese or a Nikkei ?  "  (マリは、日本人なの、それとも日系アメリカ人なの?)と友人に訊くと、
  "  I don't know, but she speaks a fluent English.  " (わからないが、英語は上手だよ)
  "  I know that, actually I heard her speaking  English in such  a fluent way.  "
    (それは知っているよ、マリが流暢に英語を話しているのを聞いたから)