ノンノちゃんはこれから先どうするのだろう。というのは、仕事は順風満帆で問題ないのだが、ひとつ気になるのは、彼女は料理ができないのである。
夕食は、どこかのレストランで食べるか、「ホールフッズ」で出来合いを買ってくるかである。日本のように近くにラーメン屋があったり、定食屋があるわけでない。1キロほど離れたところにメキシコレストランがあるが、それだとやはり車で行かなくてはならない。それに彼女はメキシコ料理を好きのようでもない。毎日外食だと身体的に考えても栄養のバランスからして健康的に思えないのである。
朝6時半になるとキッチンでガサガサと音がする。夏はともかく冬場では外は真っ暗である。出勤の支度をして立ったままでトーストをかじりコーヒーを飲んでいるノンノちゃんがいる。
" Morning!! " (おはよう!)
" You wanna coffee? "(コーヒーを飲む?)
" Sure! " (もちろん)
一緒にコーヒーだけお付き合いをする。軽い朝食が済むと地下の車庫に降りていき車のエンジンをかける。電動のシャッターを開け車を動かし出て行く。いつも思うのは、研究室の仕事なのに、しかも彼女は管理職なのに朝の出勤が早いのである。
コーヒーを沸かしたりトーストを焼くぐらいはできるようだ。もともと彼女はシカゴの裕福な家庭に生まれた。そのせいかまるで料理をしない。
一度パーティを開いたとき、ノンノチャンがキッチンにやってきて、何かを作り始めた。大きな冷蔵庫と冷凍庫があって、中にはいっぱい物が詰まっている。絶えず誰かがやってきて、勝手に料理を作っているのだ。
ノンノちゃんが作っているのは、春巻きみたいなものだった。餃子の皮を伸ばして、ミンチ肉、アスパラ、ニンジン、パクチーなどを詰め込んでいた。タイ料理かなあ。
" Your mom taught it to you? " (お母さんから習ったの?)
" Mom never cooks! " (ママは料理をしないの!)ということだった。
シカゴにいた時、ベトナム人の女性が料理をしに通って来ていて、その人から戯れに習ったもののようだ。
" Taste it! " (食べてみて!)というから味見したら何となく東南アジアの香りがして、味もまあまあだった。
大皿に盛ってパーティで出したら、みんなが、ノンノちゃんが作ったのなら " I don't wanna eat. " (食べたくないわ)とか言いながら敬遠されていた。
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