ラーメン店がアメリカにでき始めたころは、店によって " Lamen " とか 、また " Ramen " のように、綴りが違っていた。今では、一般に " Ramen " で認知されて来たようだ。
" Udon "(うどん)は、今でもアメリカでその存在さえ知らない人が多い。マディソンでパーティを開いたとき、メニューにうどんを加えたことがある。
小皿にうどんを取り分け、ネギ、蒲鉾、甘い油揚げをのせて、スープを注いで食べるというものだったが、皆さんの反応は今ひとつで、必ずしも好評ではなかった。
" sticky " (歯にくっ付く)、 " like rubber "(ゴムみたい)とか言って、味がないというのが感想で、特に子供は、はっきりおいしくないと言っていた。
ハワイで、かつてワイキキでもうどん店があったのだが、なかなか定着しなかった。辛うじて日本人の旅行者が立ち寄ってうどんをすすっていたが、うどん店そのものが立ち消えになっていった。
ハワイには、もともと「サイミン」という麺料理がある。どちらかというとうどんよりラーメンに似ていて、これは結構ハワイのローカルの人たちには人気である。
" Saimin "と書くのだが、「細麺」と書いて嘗て移民してきた日本人、特に沖縄から来た人たちが中国のめんにスープを添えて沖縄で食べていたそばに似せて作ったのだと聞いたことがある。
キナウに住んでいた時、自宅からペンサコラ通りを降りて、キング通りに行くと道に沿って何軒かのローカルの人たちが行くレストランがあった。
メニューにサイミンがあって時々注文した。ラーメンのようだと言いたいが、かなり違っている。豚骨出汁でも醤油出汁でもない。エビがベースのだし汁に細麺がはいっていた。トッピングに鳴門やネギ、それにチャーシュウやスパムなどが入っていたりする。ちょっと薄味で、そのためか小皿に醤油と辛子が出てくる。
醤油と辛子をいきなりサイミンの中にぶち込んで食べている人もいれば、麺を小皿に取り出し醤油と辛子に絡めて食べている人もいる。
最初のころはどうかなと思って食べていたが、しかし何度か食べるうちに、結構美味しく感じるようになってきた。
「うどん」はアメリカ人の舌には合わないのではないかと思っていたが、ハワイに " Marukame Udon "(丸亀製麺)が出来てから、その思いを変えた。
クヒオ通りの丸亀うどんには何時行っても店外に人の行列ができるほどの人気である。それも日本人ばかりでなく、むしろ一見して日本人以外の人たち、オーストラリア人だったり、アメリカ本土から観光で訪れたと思える人たちが列に並んでいる。
正直いってうどんが日本人以外の人たちにこれほど受け入れられるとは思っていなかった。
彼らがうどんを食べている様子をそれとなく観察すると、日本人が食べる様子、つまりうどん麺をどんぶりに入れトッピングとして、その上に天ぷらや丸天などをのせて食べ始めるのでなく、いきなりたくさんの天ぷらを別皿に盛ってきて、それらをうどんと分けて食べているのである。
それで美味しければ、まあいいかと眺めていたが、いずれにしても彼らがうどんを気に入って食べているのは間違いない。
その丸亀製麺は、ホノルルのダウンタウンにまた新たな店を出した。