カパフル通りをワイキキ方面から山手に向かって散歩をすることが多かった。
ぶらぶら歩きながら、途中でスターバックスに立ち寄り、コーヒーを楽しみながら新聞を読んで、ひと休みした後で、また歩き出す、そのようなことが気持ちを癒してくれたのである。
ワイキキから13番バスに乗ると、動物園の手前で、海の方向でなく山手に向かってバスは走り始める。
左手にジェファーソン小学校、アラワイ運河、ゴルフ場を見ながら、右手には、中華、イタリアンピザ、ラーメンなどのレストラン、マラサダの専門店など、いかにもローカルなレストランというか食堂が並んでいる。
バスは山手に向かって行く。
しかし、ジッピーズレストランの手前からバスは右折して、今度は一気にダイアモンドヘッドに向かって丘を登り始める。
丘に登っても仕方がないので、いつもは、ここでバスを降りて、カパフル通りを歩くことにしている。
8月に市バスの路線変更があっった。
13番バスに乗り続けると、UH Manoa 、つまりハワイ大学まで行けるようになったのである。
トシにとっては便利で、カパフルの街で、好きなところで乗り降りできるし、ハワイ大学にも行くことができる。
スーパーなどによって買い物をしても、重い荷物を抱えて運ぶのが嫌だった。しかし、バスを利用できるようになって、重い荷物が気にならなくなったのである。
カパフル通りがH1ハイウエーに突き当るところにあるロングスドラッグスまで行って、気軽く買い物が出来るし、途中にあるセーフウエイに立ち寄り、大きな買い物をしても、持って歩くのでなくバスで運ぶことができるようになった。
夕暮れどき、道の両側にあるレストランが、ぼちぼち明かりを灯し始める。
ローカルの人たちが、三々五々何処からともなくやってきてレストランに入っていく。
人気のあるレストランの前には列が出来ていたりする。30分、一時間の入店待ちをする人たちが外に並んでいる。
ウイスコンシンのマディソンでは、冬場は零下7度から10度まで下がるのが普通である。店の外で待つなど考えられないが、ハワイでは、一年中温暖で、雨が降るわけでなし寒いわけでもないので、外で待つのも苦にならないようだ。
カップルで来る人、家族で来る人たちは、お喋りしながら順番を待っている。
トシは、この待つのが苦手で、ティムやサラと一緒にレストランに行くと、決まって並んで順番待ちをするようなところに行っていた。
彼らに言わせると、並ぶようなレストランは、「安くて、美味しいのだ!」ということになるが、トシにとっては、少々美味しくなくても、並んでいる間が手持無沙汰で、もったいないような気がしてくるのだ。
本を出して読むのもどうかと思うし、落ち着かないそんなトシをティムとサラは気を遣ってくれた。ひたすらトシが関心を持つだらろう話題を振り向けて話しかけてくれた。
( DO NOT FEED BIRDS: 鳥に餌をやらないで下さい!)