マディと愛犬ユーリ、親友のクリスティ、それにハワイのこと

ハワイに住んでいたころ、マディという女の子が近所に住んでいて、犬のユーリを連れて遊びに来ていた。

" Living in Hawaii like local people " ( ハワイで生活する )

2016-05-19 09:30:50 | ハワイ

 

 

 
 1960年代から70年代初めのころは、日本はまだ戦後を引きずっていたころで、大学を出た人の初任給が12,000円ぐらいだった。皆さん貧しく個人では海外に旅行に行くなどできない状態だった。
 ひとつには、日本にはドルが不足していて、国外に持ち出す事が出来る米ドルは規制され一人当たり30ドルまでだった。今のお金に換算すると3,000円ぐらいでこれでは何もできない。1ドルが360円のころで、サンフランシスコでアイスクリームが1ドルだったので、日本から持ち出した30ドルはアイスクリーム30個分だったのである。
 当時アメリカに留学してくる人たちは、私費ではなく、公的な機関から派遣された人たち、あるいはアメリカの大学から奨学金を受けた人たちがほとんどだった。手持ちの30ドルを持ってアメリカにやってきても、目的地にたどり着けるバス代にもならなかったのである。
 
 ペンシルバニアの大学にいたころは、ミールクーポンが支給されて、カフェテリアで食事をする限り飢えることはなかったが、だんだん大学の食事にも飽きてくる。日本食を食べたいと思っても周りに日本料理を出す食堂がなく、日本の食材を売っているところもない。
 ちょうどその頃日本の大学から派遣されてきていた教授の家族と知り合った。夫婦と小学生の男の子が一人の家庭だったが、日本人がいないところでもあり、お互いが懐かしみ合う感じで、よく食事に招れた。
 今でも思い出すのは、奥さんが作ってくれたみそ汁の美味しかったことだ。「カレーを作るから夕食に来ない?」と電話がかかってきたときなど本当にうれしかった。
 僅かな金額だが定期的に銀行に振り込まれていた。そのお金で日常で必要なものを買ったり、衣服を整えたりしていたが、街の小さなレストランにも行った。中国人が経営する「スージーウオン」という中華料理店で「ワンタンスープ」と「チャーハン」を食べた。何となく日本の食事に似ていて、それを食べると元気が蘇るようだった。

 日本人は、ほんの数日間海外旅行に出かけたときでも、日本食を恋しがり現地の日本レストランを探して廻る。
 日本食を食べたければ、日本に帰ってくればいくらでも食べることができるのにと思ってしまう。日本食にこだわるのはなぜなのだろうか。   
 ひと昔前では海外に行っても日本料理店はなかなか見つからなかった。しかし今は世界中どこにでもラーメン、うどん、すしなどの日本食があり和食にこだわる人にとって困ることはない。ハワイでも、夕方になるとラーメン店の前には、日本人の行列ができている。和食のレストランを覗くとお客は日本人ばかりだ。

 ロスアンジェルスから成田に飛ぶ飛行機の中で会社の出張から帰るという紳士と隣り合わせになった。トシが、本を読んでいたり、そうでなければ居眠りしたりで、そんなことで彼と話が弾んだわけではない。成田に着く2時間ほど前に機内食で蕎麦がが出てきた。彼はそれを貪るように食べていたが、
 「やはり日本人はソバですね!なんか涙が出そうにうれしいですね!」
 余程うれしかったのだろう。成田に着くまでの短い時間だったが、その余韻からか彼は饒舌になりやたらトシに話しかけてきたのである。

 毎年夏になると家族でハワイにやって来る家族がいる。2人姉妹の小学生を連れて、ハワイで1か月近くを過ごしている。
 最初のころはハワイに憧れてやってきて1週間ほど楽しんで帰っていたが、今やハワイの生活にどっぷりである。女の子供たちは、海岸で珍しい貝殻を拾ったり、デジカメでハワイの花々を撮って整理したり、海で魚たちを観察したりしている。父親は、言ってみれば自由業で、自分の事務所をほかの人たちに任せれば時間の余裕はあるようだ。
 日本から「ひとめぼれ」だか「秋田こまち」だかをわざわざ持ってきて、スーパーで日本の食材を手に入れて日本でと同じような生活をしながら楽しんでいる。ハワイで売っているカリフォーニア米も結構おいしいと思うのだが、重いコメを日本から運んでくる。

 ウイスコン州マディソンは、アメリカで一番住みやすいことを標榜している。立派な教育機関があり、人々の所得もいい、医療施設が優れている、犯罪が少ない、交通網が優れていて「全米で一番住みやすい街」に選ばれた。
 至る所に高級レストランがある。フレンチ、イタリアン、ギリシャ、ネパール、インド、中華、日本食などさまざまである。週末になると、人々は着飾ってレストランを訪れる。 本物のフレンチやイタリアンを食べることができる。ネパールレストランでは厨房でネパール人が働いている。中華料理はもちろん中国人が作っている。世界中の、本物の料理を堪能出来るのである。
 アメリカでは、いろんな国の、しかも本物の料理を楽しむことができるのである。わずか数日間のアメリカ訪問であれば、ここは日本食を忘れて世界の料理を食べるのはどうだろう。