レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

年功序列って?

2012-09-06 05:00:00 | 日記
さてカルチャー・ショックですが、こちらに在住する日本人の皆さんが体験する最もポピュラーなものは「目上を敬う」という感覚の「不在」でしょう。
30年以上も日本で生まれ育った私は、目上の人に対して(内心はともかく)それなりの敬意と礼儀を持って接するということは当たり前のことでした。正直言って、日本にいた頃から度を超した「年長敬い」には不満を持っていましたが、それは個別に悪い具体例(敬える点のない年長)に直面した時のことであり、一般論としては受け入れていました。と、いうか骨にしみ込んでしまっていました。

ところが、ここアイスランドではそのような通念というか習慣がありません。12、3歳の子供たちが教会の牧師(日本では「先生」が付きます)さん -それも自分たちの父親よりも年配とおぼしき- をファースト・ネームで「トマス!」とかあっけらかんと呼んでいるのを目撃した時は唖然としました。これは、しかし、ショック第1段階です。

第2段階は自分自身が子供たちから「トシキ!」と呼ばれることです。私の経験から、また個人的な感情から言うと、小学生等が無邪気に言う「トシキ!」はそれほど抵抗なく受け入れられます。難しいのは大学生になったばかりなような若造が対等な感覚で「トシキ!」と言ってくる時です。

これはかなり受け入れ困難な場合もあります。いつもというわけではありませんが、例えば日本語を学んでいる学生とのやり取りの場合、自分が学んでいる立場ということを忘れて「対等」になられたのではまともなやりとりはできません。もちろん、逆に変な教師風を吹かせて横柄に学生に接するような教師も困ったものですが。

そしてショック第3段階。自分自身が目上の人をファースト・ネームで呼ぶことです。これには私は大分苦労しました。苦労というよりは慣れるのに時間がかかったというべきか。別に悪いことをするわけではないし、むしろ文化に溶け込もうとしてるのですが、骨身にしみ込んだ「ニッポン」がブレーキをかけてしまうのです。

前述の牧師のトマスさんですが、歳は私よりも一回り上。しかもそんなに陽気で開けっぴろげなアメリカン・タイプではありません。むしろサイかカバ・タイプ。小学生の子供たちが「トマスー!」とか平気で呼ばわっているのに、こちらはいざとなると「シェーラ・トマス」と牧師さんようの敬称をつけちゃったりして。

今では相当慣れましたが、自分自身の年齢が上がってきたことも多分に影響していると思います。
あまりガッチガチに「目上を尊重せよ」というのをルールにしてしまうのは、人間関係をいびつにしてしまうと思いますが、目上の人に対して「対等だもん」としか考えられないのも逆に人間関係文化の貧しさと思います。ニッポンに1ポイント!
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 当たり前のこと....?? なのか?? | トップ | サッポロ北街ひとり日誌 (1) ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事