三たび安倍政権に大勝利をもたらした要因は何だったのだろうか?最大の敗因は最大野党が公示日直前に消滅し、その後立憲
や無所属議員などに分裂して野党勢力が結集どころか分散してしまったことに尽きる。せめて自民の過半数割れに近い数字まで
与党を脅かす選挙にして欲しかった。私自身9月29日に当ブログで書いた時点では小池さん、前原氏のウルトラCに期待した
ものです。しかしその後の小池さんの独善的、奢りとも思える「さらさらない」「排除します」発言が一気に有権者の興ざめを
呼ぶと共に立憲民主党の誕生や野党同士で対立候補を刺客として立てるような強権で完全に自滅状態となった。
その後は漁夫の利を得た自公政権が悠々と乗り切った寂しい選挙戦となってしまった。今回の野党大敗北の戦犯は小池、前原の
二人に帰す。
野党側のオウンゴールで大敗した今回の結果は保守、リベラル両派共に深く反省し、早急に戦後処理、体制の再構築に取り組まねば
ならない。今回の選挙で安倍政権が勝利したからと言って森友学園、加計学園問題疑惑(問題というより国家権力の乱用疑獄)は
何一つ解明されていないし、財政垂れ流しのアベノミクスの功罪や正当性を問う大事な追及作業は待ったなしでやらねば野党の
皆さんに一票を投じた多くの有権者の期待にに応えることは出来ない。
もう一つ注目すべきは今回の選挙で18歳、19歳が選挙権を得た初の衆院選だったが、出口調査でどの政党を支持するかという
問に何と39.9%が自民党と答えたとの事。(23日日経新聞記事)どういう理由かは判らないが、この現象にある識者は「仕方が
ないから自民党」という空気を感じると。又別の識者は今回の与党大勝利の大きな要因を「選挙前に北朝鮮によるミサイル発射などの
危機があり、それを乗り切れるのは安倍さんであろう。そんな状況下で野党が混乱をきたしたのだから今政権を変えてはいけない」等
の意識が働いたのではないかと。
両見解ともその通りだと思う。世界がグローバルな今の時代、外交的にも政権の持続性と安定は確かに重要である。しかし質の悪い政治が
続いての安定ほど国民にとって不幸なことはない。政権選択の選挙には目先よりも将来を見据えた大局観をも持って若者には臨んでほしい。
もう一つ与党が選挙戦に有利な憲法上の欠陥と選挙制度の問題に言及しておかねばならない。このブログでも何度も書いているが同じ様な
議院内閣制を採用している多くの先進国の中で今では唯一日本だけが時の総理に「いつでも自分の都合の良い時に解散する権利がある」と
解釈し、現にその権利を乱用している。という事実である。今回の突然の大義ないと言われた解散総選挙が正にこのことである。
この解散権に関する条文は憲法第7条第3項が根拠法と解釈されているが、どう見ても時の総理に解散権があるとは書いていない。あると
すれば解散権は天皇にあると解釈するのが妥当と思う。解散に関しては憲法第69条にちゃんと書いてある。「衆議院が内閣不信任決議案を
可決したときは衆議院を解散するか又は内閣は総辞職しなければならない」とある。
要するに衆議院の任期は4年なのだから任期内でちゃんと仕事をし、むやみに大義もないのに解散することは許されないのが憲法の精神なので
ある。2012年、2014年、2017年とここ5年で3回も総選挙を断行して1回700億円とも言われる血税を使って果たしてどれだけの政治改革
ができたのか。これこそが問われなければならない。この部分は即刻憲法改正して明確に安易に解散出来ないようにする必要がある。
もう一点は大政党に有利な小選挙区制の見直しである。自民党の様に得票率が少なくても議席数では大量に取ることが出来る小選挙区制は
そろそろ見直す必要がある。比例による議席数を増やす案もあるが、無所属候補に極端に不利なところを修正する必要がある。ドイツなどは
政権交代がし易くなるように野党に有利な選挙制度にしているとも聞く。米国の様に2大政党による政権交代可能な制度は多様な価値観を
大事にする日本にはなじまないのでこの際選挙制度の改革について国民的な議論をする必要があるのではないか。憲法改正の議論もあるが
この民主主義の根本である選挙制度の改正こそ急務ではないか。
先に意外にも若者の多くが自民党支持という記事を紹介したが、今の時代が若者にとって本当に生き易いとでも思っているのかと聞いてみたい。
就職率がアップしたとはいえ非正規労働が圧倒的に増え、安定した収入も得られず、結婚すらなかなか考えられない状況や格差の拡大による
厭世思想の蔓延、学校現場や職場でのいじめやパワハラによる児童や社員の自殺が頻繁に起きている荒廃した日本の現状がこれでいいのかと
考えれば矢張り基本となる教育や全ての根幹をなす曲がった政治の歪みから正さなければ世の中は良くならない。そう思うなら一強独裁に近い
今の政権が続くことがこれからの若者にとって希望が持てる社会になるのか良く考えて投票行動しなければ日本の将来は明るいものにならない。
期しくも本日厚労省が発表した報道によると40代の世帯主で年収が300万円未満の世帯数がこの20年間で1.5倍に増えたという。
アベノミクスの成果で株価が騰がったからとて世の中全体の所得水準が上がったことにならない。むしろ庶民の生活実感は厳しくなるばかり。
ましてや我々の貴重な年金資金を株に投入して株価を上げ、いかにも景気が良くなっているかのように喧伝するのは国民を欺く行為であろう。
年金資金という公的資金を株に投入したり日銀によるETFの買い上げ行為は健全な株式市場を歪めるばかりで邪道としか言いようがない。
所詮金持ちや大手ファンドによるマネーゲームの世界でほんの一握りの富裕層以外誰も喜んでいない。庶民には全く縁遠い世界の話である。
年金は毎年減らされ続け、諸物価は騰がる中、なけなしの預貯金金利はマイナス金利政策のおかげで利息収入も限りなくゼロ。格差は広がる
ばかりの庶民いじめのこんな歪んだ経済政策が今後も続けられてはたまらんし、こんな政策がいつまでも続けられる道理も無いし、早晩破綻
するに決まっている。結果そのつけを払うのは我々弱い国民である。
正に「まっとうな政治、まっとうな経済運営の実践」こそが常道であり健全な政治手法である。安倍総理は今回の選挙結果と今までの政治
手法を反省してのことか「謙虚に」をことさら強調しているがその信念いつまで持ち続けることやら。直ぐに忘れて今まで以上に強権政治を
断行していくのではないかと懸念している。皆さんよくウオッチしていきましょう。懸案の森友、加計疑惑についても今度こそ逃げずに真相の
徹底解明のために関係者の証人喚問実行と国民に納得いく説明をして貰いたい。