疾風の如く!

美人画と弓道に生きる日々。

『椿三十郎』

2008年12月29日 | Weblog




TVをつけると、「椿三十郎」をやっていた。

リメイク版の織田裕二のやつだ。


せっかくだから見たが、キャラを完全コピーしとる(笑)

織田裕二が出てはいるが、かつて黒澤明が演出し、三船敏郎が演じたまんまだ。



黒澤映画の椿三十郎のイメージは、(俺が思うに)野に放たれた「大虎」だ。

頭は冴え、剣の腕も立つ、体も頑健、度胸も肝も満点な野を行く虎。

例えれば、ユンケル皇帝液を100万本も飲み干したような、

核兵器を10も20もぶら下げた強壮無比なゴジラのような男なのだ(笑)。


その「大虎」椿三十郎を、男っぷりのいい三船が見事に演じていたが、

リメイク版の椿は、どっかの兄ちゃんでしかなかった(笑)。


黒澤「椿」では、敵役が仲代達矢だったが、こちらも血走った危険な香りがぷんぷんしていた。

こちらは、囲い込んだ羊の群れの血と肉を思う存分すすりたい狡猾な「狼」のような役だ。

いわゆる、危険な男の香りに満ちた底冷えのする「凄み」があったんだが・・。

リメイク版の豊川にはそれがない。「凄み」がない。飢えた「緊迫感」がないのだ。



要するに、黒澤の「椿三十郎」には、及びもつかないものだった。

「モナリザ」を現代風に描きなおしたところで、どうにもならん。



ただ、脚本は見事に踏襲していたので、そこは立派な出来だった。

殺陣も変えていたが、それも「凄み」がない。

ただ一点、血の流れる音だけは良かった。

斬った後で、ドクドク、ドビュルル・・というしたたる音が耳に残った。

黒澤の「椿三十郎」を超えていた点は、唯一そこだけだ。



傑作とされる古典的名画を、現代風に描き直したらどうなるか、その「試み」は評価する。


★黒澤作品を見よ!!
http://jp.youtube.com/watch?v=HQLNBE9-N1w&feature=related




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2 コメント

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見逃しましたぁ~っ! (ゲタ坊)
2008-12-29 05:06:19
黒澤映画の椿三十郎、とても好きな映画なので織田裕二リメイク版を観たかったです。見逃しましたぁ~っ!(泣)昔の役者さんは、ホントに凄みがありまたよね。殺陣も剣術の心得があるみたいにリアルに切れた感じで斬ってました。(笑)
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ゲタ坊様 (トリトン)
2008-12-29 21:16:05
織田裕二も頑張ってたと思うんですけど、相手が悪いです。
リメイク版なりのなにかがあればもっと面白かったんでしょうけどねー(笑)。
新キャラなんか入れても仕方ないし、難しいです。

まあ、相手が世界の黒澤ですから。
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