今朝の散歩も終わって、帰ろうとした瞬間、
はるか150Mくらいの対岸から、美しい笛の音が聞こえてきた。
近くにいた犬が、ヒョイと顔をあげて見ると同時に、
俺は、その音色の冴えにハッとして、その場でクルッと背を返して歩いていき、
そして、川べりに座り込んで聞いていた・・・。
雅楽の中のどれか・・龍笛かなにかはわからないが、
本当に古式ゆかしい、高く澄んだ笛の音色に、我を奪われて聞き惚れてしまった。
吹いていたのは男性だが、あまりに遠いので、年齢もわからない。
ただ、こちら岸にも、はっきり聞こえてきたから、けっこうな響き方だったと思う。
終始、おだやかなゆったりした音色で、「幽玄さ」というものを感じさせる。
目を閉じていると、弓やら舞やら、霧のかかった湖上の美しい姫やら、
谷間の村や、昔の人の暮らしやら、竈(かまど)やら侍やら、
いろんなイメージが浮かんできて、思いつくままにその世界に浸っていたが、
結局、その人が、笛を箱にしまい帰路につくまで、ずっと座って聞いていたのだった。
それほど、美しい笛の音は、俺の心をとらえて放さなかった。
尺八を吹く人も、こちら岸では見かけるが、笛はむこう岸か・・・。
どこのどなたかは知らないが、ああいう美しい笛を奏でる人もいるんだな・・。
今朝は、美しい和の音色に出会えたことが、嬉しい。
やっぱり、俺って、すっごく日本人なんだな・・。