肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ニュー・ワールド』、観ました。

2006-04-25 21:45:18 | 映画(な行)

ニュー・ワールド

 『ニュー・ワールド』、映画館で観ました。
17世紀初頭、アメリカ大陸に上陸したイギリス人の冒険家ジョン・スミスは、
ネイティブ・アメリカンの族長の娘ポカホンタスと出逢う。勇気と希望に満ち
溢れたスミスと、ピュアで情熱的なポカホンタスは、異なる言葉と文化の壁を
越え、恋に落ちるのだが…。 
 生涯監督本数、僅か3本にして「伝説の監督」と呼ばれるテレンス・マリック。
前作『シン・レッド・ライン』から6年ぶり新作は、“並の監督(?)”なら
「お久しぶりね」と言いたくなるが、かつて20年もインターバルをあけた彼の
前歴を考えれば、“たった”6年でテレンス・マリックの新作が観れる幸福‥‥
それくらいの“広い心”と、“開き直り”が必要だね(笑)。
 さて、映画は、これまでのマリック作品同様に、深淵な哲学を思わせる台詞
まわしと、神秘的で且つスケールの大きさを感じさせる映像美……、そして、
何より、スクリーン全体から放つオーラは、観る者を酔わせ、唸らせるには
充分過ぎる。さすが、テレンス・マリックらしい格調高い作品に仕上がった。
でも、どうなんだろう…。憎しみも、妬みも、エゴもないニュー・ワールド‥‥、
そこに辿りついたイギリス人男性と、先住民女性の“運命的な恋”を描きつつ、
押し寄せる「文明」と持ち込まれた「争い」によって、世界が動き、愛が変わり
始める物語中盤までの流れから‥‥、一転、ある理由によって主人公男性が
その場を去ってしまった後のパートでは、ほとんど“別の映画”と思えるほどに、
“ヒロインの心の描写”が主となって進行する。むしろ、“その後のパート”が
あるからこそ、映画全体が散漫になり、本来のテーマが見え辛くなってや
しないのか??、残念だが、ボクにはやや“蛇足”気味の印象を受けたけどね。
 総括としては、ストーリーに拘って観るよりは、あくまでビジュアル重視で
観て欲しい。もしも、この世に“良質の物語さえ圧倒する映像表現”がある
のだとしたら、それはこの作品と『天国の日々』において他ならない。
これは映画館の大スクリーンで観てこそ語れる映画、、後にTVサイズのDVDで
観たとしても、それはこの作品の魅力の半分も知った事にはならないと思う。

 



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