この日は
包む行為の研究に取り組みました。
その前に・・・
鉛筆を扱った画材研究の
その後をレポートします。
上の写真は
4H~8Bの鉛筆を用い
書く・描くという意識ではなく
面を作った図です。
仕上がった面は濃淡だけでなく
かなり質感が異なる結果となりました。
物質としての存在感が
それぞれに際立ち
画材の範疇を越えた印象を受けます。
こちらは、異なる硬さの鉛筆を
同じ手で2本握り書いた図です。
文字の影を見るような・・・
不思議な空間が生まれたように見えました。
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この日の本題について・・・
美術史上で<包む>というと
まずは
クリストとジャンヌ=クロード夫妻の
活動が思い浮かびます。
夫妻の計画段階も含めた一連のプロジェクトは
1960年代に芸術の概念を拡張させました。
包むことで存在を変容させる
・・・と短文では解説しきれない
様々な要素が付随したプロジェクトです。
ちょうど数日前
ご夫妻亡き後、甥っ子さんが
パリの凱旋門のプロジェクトを実現させたと
ワールドニュースで流れました。
彼らのプロジェクトが
今なお継続していることを知り
嬉しく思いました。
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次に
<包む事例2>として
河口龍夫さんを紹介。
氏の展覧会図録にある
「封印された時間」として制作された
化石の拓本を見ました。
太古の地層に眠る化石たちは
言い換えると
地層に包まれているとも言えます。
時を超えて見える図像から
私たちは何を読み解けるでしょうか。
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最後に
<包む事例3>として
内藤礼さんを紹介しました。
こちらは
クリスト夫妻とは逆で
作品が布に包まれています。
30年程前に私は偶然にも
美術館内に設置されたテントの中で
作者が小さな世界を構築している
現場に遭遇した事があります。
その包まれた空間には
<神は細部に宿る>
・・・と言うにふさわしい世界が
あったと記憶しています。
***
包む行為の研究のための実習では
河口さん、内藤さんの手法を模しました。
下の写真は
種子が付着したスコップを
鉛シートで封印した河口作品です。
実習では同じく鉛で
そして
内藤さんと同じくガーゼで
何かを包むことにしました。
まずは材料の特質を
確かめることから・・・
薄い鉛シートは見た目より
重くて
なめらか
弾力性があって
加工しやすい・・・
ガーゼは
ガーゼの用途を外した
扱いを考えてみる・・・
とりあえず
手あたり次第に包んでみる・・・
鉛とガーゼを合わせてみる・・・
次回の実習では各人の着眼点から
包む行為の研究を進めます。
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徳永写真美術研究所
大阪・鶴橋にて
写真・写真表現・シルクスクリーンetc.
表現の研究活動をおこなっています。
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