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地球人カレッジ 11月

2010年11月15日 | 地球人カレッジ
*と き:11月13日(土)19:00~21:00   
*参加人数:26名(ネット中継での参加者含む)
*ところ:吉野川市山川町 さくら診療所デイケア室
*講演者:饗場 和彦さん(徳島大学総合科学部教授)
*テーマ:ニュージーランドはなぜ良い国か~翻って日本社会は~

ニュージーランドに短期滞在(3ヶ月)してみて分かった良さ
自然、歴史、社会の仕組み、国民性、生活などの魅力を紹介していただいた後、
そこから見えてくる日本社会の問題についてお話しいただきました。


「今日の講演の6割はニュージーランド観光案内です」と口火を切られた饗場先生。
現地で実際に撮られた写真を交えて、自然・文化の魅力について言及されました。

印象に残ったのは、
人口の15%を占めるマオリの人のための専門テレビ番組があること(もちろんマオリ語)や
都市部でも川や公園をコンクリートで固めず緑豊かであること、です。

政治については、政権交替が定着していること、
反核政策を取り、原発を否定したり、アメリカとの同盟を破棄するなど独自の政策を取っていること
をお話しされました。



また、滞在先のクライストチャーチ市(人口30万)は、
徳島市と同規模の都市で鉄道が発達していないため、バスを徹底的に活用できるような交通網を整備し、
1日2回(通勤・通学)使うと3回目以降は無料になり、
平日で10回分(5日間×2回)使うと休日は乗り放題というシステムを運用しています。
そのおかげでバスの利用客が増え、いろんなところにバスで行けるようになったことで、
饗場先生のような短期滞在者を始め車がない人でも一切不便を感じないようになっているそうです。
これは、徳島のような地方都市でも検討する価値があるように思いました。


続いて、後半はニュージーランドから日本社会を見たときわき上がってくる疑問について、です。
その疑問というのは、「なぜNZの人はあれだけしか働かないのに、こんなに生活レベルが良いのか」ということ。

これは、この国に滞在する日本人なら必ず抱く疑問だそうで、
きっちり定時にあがって、6時から家族で食事、土日は完全オフ、
日本のように色々な産業があるわけでもないのに、生活水準は先進国並み
なので、何か秘訣でもあるのか、と思ってしまうほどなんだそうです。

しかし、疑問を裏返すと「なぜ日本人はあんなに働くのに、この程度の生活なのか」
つまりNZが秘訣を持っているのではなく、日本が問題を抱えている、ということになるのではないか、
と饗場先生は言います。
実際、2008年の調査では、労働時間は先進国では最長の基準である一方、
労働者が生み出す付加価値を示す「労働生産性」は最低クラスという結果が出ています。

そこで極端に生活レベルが下がらないのであれば、必要な仕事だけして、後は余暇を楽しむという選択肢もありではないか、とおっしゃっておられました。
日本人は「勤勉」と言われるが、無駄な仕事まで「勤勉」にしているのではないか?という耳の痛いお話でした。

※講演を視聴する※

文責:事務局(瀬戸口)


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