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トンガ族と家畜。

2015年09月23日 | TICO ザンビア

ザンビア事務所の柳下です。

 

今回の記事では、私たちTICOが活動をする地域に多く住む、トンガ族と家畜の深いつながりをお伝えします。

 

ザンビアには、約72の部族があります。

部族と言っても、上半身裸で布を腰に巻いている、というような感じではなく、外見は我々と特に変わりはありません。女性は、チテンゲという布を、巻きスカートのようにまとい、よごれ除けのように使っています。

↑上の写真で、白い矢印が差している女性全員チテンゲを巻いています。ちなみに、私もよごれ除け、防寒グッズ、レジャーシートとして愛用しています。柄が派手なほど汚れが目立たないので、日本では絶対に身にまとえない柄を選んでいますw

 

少し話がずれてしまいました。

 

72の部族は、それぞれ異なる言語を持っているので、主要言語として7つのローカル言語と英語が用いられ、部族が違っても会話ができます。以前は、部族によって違う風習や儀式があったようですが、今では大きな違いはあまりないと言われています。

よく聞くのは、「ベンバ族は多弁だ」とか、「トンガ族は働き者だ」とか、「〇〇族は成人の儀式の時に割礼がある」というような話です。食文化も多少の違いはありますが、基本的に白トウモロコシの粉で作ったシマを主食とし、副菜と一緒に食べられています。

主食のシマとザンビアの言語については、過去ブログを参照ください→収穫シーズンで大忙し!ザンビア語とはなんぞや?

 

ザンビアの国旗には、

"One Zambia, One Nation"(ザンビアには、沢山の部族があるけれども、我々は一つであり、一つの国家である。意訳by柳下)

というスローガンが書かれています。

 

面白いことに、普段の何気ない会話の中で、「One Zambia」と発言すると、まったく関係の無い話をしていても「One Nation」とすぐに返ってきますそれだけ、このスローガンは大切にされています。自分と同じ部族出身の人を優先する、という不公平さはどうしてもあるようですが、大抵の人は、このスローガンに対し誇りを持っているように見受けられます。

 

さて、前置きが長くなってしまいました。本題に入りたいと思います。

南部州に多く住む【トンガ族】は、古くから農耕文化に長けていたそうです。牛にすきを引かせる光景は、今もなお健在です。

トンガ族以外の部族の人に「トンガ族とはどんな部族か」と、質問をすると、「良く働く」「農業をしている」という答えとともに、必ずと言っていいほど「家畜を非常に大切にしている」といった答えが返ってきます。

でも、家畜って、どこにでも居そうな気がしませんか

 

確かに村へ行くと、牛やヤギ、鶏、七面鳥に常に遭遇します。そしてたまに豚やロバ、馬もいます。

ですが、他の部族が住む村へ足を運んだことの無い私にとっては、比較対象もなく・・・

 

そして次第に、なぜ家畜の価値が他の部族と異なるのかと、私は不思議になりました。


そこで、家畜への見方について、他の部族と何が違うのかをいろんな人に聞いてみました。

 

 

回答を聞いてわかった衝撃の事実とは・・・・(・・・って言うほどの衝撃はありませんが)

 

なんと、トンガ族は基本的にニワトリ以外の家畜を自分では殺めないそうです。そして、飼育している家畜の中では、基本的に鶏肉以外は家で絞めて食べることはないらしいのです。

 

 

・・・・でも、6月29日に行った橋の完成式典では、ヤギ肉が出ました。も食べると、どこかで聞きました。

一体どういうことなんだ・・・!!

 

 

家畜は、売ればもちろんお金になるんです。

ですが、牛やヤギ、豚などの家畜は容易く仕入れられる金額でもないので、売った利益で子牛や子ヤギを買うっていうのも考え難い

 

では、なぜ家畜を仕入れ、育てるのか。一体トンガ族にとって家畜とはなんなんだ

 

 

トンガ族では、お葬式などの大きな行事に限って、他の部族にお願いをしてヤギや牛をさばいて食べるそうです。最近では、人によっては自分でさばく人も居るそうですが、基本的にトンガ族以外の部族に頼むことが多いとのこと。

そして、家畜は彼らにとっては銀行預金と一緒。どうしてもお金が無くなったら売りに出します。ただし、売る順番は最高年齢の者から。

若い方が美味しそうな印象がありますがw

 

そこでTICOオフィスで働くローカルスタッフ6名に、こんな質問をしてみました。

 

「2000K(日本円で約4万円)を拾ったら、まず一番に何をする?」

 

スタッフ1: 家を建てる建築資材を買う!

スタッフ2: 旦那が決めるけど、子どもの教育費かしら?

スタッフ3: 車を購入するための貯蓄にしたい。

スタッフ4: そうだなぁ、子どもを連れて豪華な食事をしてみたい。

スタッフ5: 学校へ行きたい。

スタッフ6: ヤギを20頭買って、将来の貯蓄にしたい。

 

さぁ、どの人がトンガ族かおわかりでしょうか????w

 

 

いや、まさかこんな結果になるとはゆめゆめ思わず

 

笑い転げてしまいました

 

そう、その通り、スタッフ6がトンガ族のスタッフです

 

 

これは、きっと偶然だったのでしょうが、他の部族が認めるほど、トンガ族は家畜を大切にしているそうです。

 

現在、TICOが進めている活動の中に、ディップタンクという施設の建設プロジェクトがあります。この施設は、ダニを媒介して感染してしまう病気から牛を守るためのものです。

 

深く掘られた穴にダニを駆除する薬が入っており、そこに向かって、勢いよく・・・・・

 

 

バッシャーーーーーーン

 

と飛び込む仕組みになっています

 

 

現在建設中のディップタンクの詳細は、またの機会に記事にしたいと思いますが、以前TICOが支援していたディップタンクの現在の様子を少しだけご紹介して終わりたいと思います

 

タンクの入口付近には牛飼いが棒を持って、牛をタンク出口へと誘導しています。

 

真剣な眼差しで、激しく牛を追いやる少年。

 

         

牛が居ないと時はこんな感じ。          牛が居る時はこんな感じw

 

残念ながらしぶきをあげている写真は上手く撮れませんでしたが、

ムォオオオオオーーーー!!という牛の鳴き声と、バッシャーーーン!!!!という水の飛び散る音で辺りは結構な騒がしさです。

 

 

早く新しいディップタンクが完成して、この心地よい音を聞きたいな~と一人、妄想しては微笑むのでした。

 

文責:柳下(ザンビア事務所)