TICOブログ

TICO最新情報をお届けします。

10月5日の地球人カレッジ

2013年10月18日 | 地球人カレッジ
*テーマ:「ザンビア妊産婦保健プロジェクト活動終了報告ー地域のお母さんを地域のみんなで守るー
                       ナースとボランティアグループの活躍 」
*日時:10月5日(土) 19:00~21:30
*参加人数:36人(発表者、ネットでの参加者含む)
*場所:さくらcafe
*発表者:田村幸根(TICOザンビア事務所 保健医療専門家)
     アイビーチヨタ・ムクンバ(ザンビア共和国モンボシ診療所 看護師/助産師)

ザンビア事務所田村です(引き続き徳島から更新しています!)

9月に終了した「安全な妊娠/出産支援事業」プロジェクト。
ザンビアから来日中のアイビー看護師をスペシャルゲストとして迎え、活動終了報告を行いました

まずは、田村から今回のプロジェクトの概要を簡単に説明しました。
なぜ「お母さん」に焦点を当てたプロジェクトなのか。
妊産婦の死を防ぐために地域の住民ボランティア(SMAG:安全な妊娠・出産を支援するボランティアグループ)とモンボシ診療所看護師によりどのような試みが実施されていったのか。
活動先であるモンボシ地域で実際に起こった産後死を事例に出しながら説明させていただきました。

事業の成果としては、大きく2点挙げられます。

�事業開始から3年で施設での出産件数が2倍以上に増えました。
         (開始前10.4件/月⇒2013年1月~9月23.1件/月)
�4回以上妊婦健診を受診した産婦の数が15%増えました。 
         (事前(N=110)事後(N=120)のアンケート調査による)


詳しくは次号の会報でもお伝えしますのでぜひご覧ください
プロジェクト後に、みなさんにご報告する場と時間が持てたことが個人的にもとても嬉しかったですご支援いただいたみなさまありがとうございました

事業報告後には、アイビー看護師から、「アイビー看護師のナース人生」と題した講演を引き続きおこないました。
アイビー本人から語られるザンビアの現状に関するお話は、参加してくださった方々の心に強く印象に残ったようです。
将来医療の道や海外で働きたいという志をもつ高校生や大学生の参加も多くあり、熱心に質問をする姿が心強くも感じました。

今月26日(土)には、池住義憲さんをお招きしTICO20周年イベントが開催されます。
みなさん奮ってご参加くださいね~

文責:ザンビア事務所(田村)

ザンビアからアイビー看護師がやってきた!

2013年10月16日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所田村です(現在日本からブログ書いています!)

このたび、9月23日(月)~10月12日(土)まで実施していたザンビア人看護師/助産師の
日本での母子保健研修が無事に終了しました


母子保健研修では、TICOの本拠地である徳島県を中心に、
病院、助産院といった医療施設、県庁や保健所といった行政等への見学、視察を行いました。
小学校や高校では講演、交流をするなど毎日タイトなスケジュールの中
彼女の目を通して日本を見、様々なことを感じていたようです。

↑真剣な眼差しで「徳島の周産期医療の現状」プレゼンを聞き入るアイビー看護師

徳島県健康増進課や徳島県つるぎ町立半田病院では、日本の少子高齢社会の人口構成の話から現在の産科医、助産師不足の話まで日本の課題についても触れていただきました。
合計特殊出生率が6.4人という多産の国、ザンビアからきた(日本は2012年で1.4人)アイビー看護師から
「子どもが少なくなってきているのに助産師が減るのは問題なのか?」
「不妊治療とは具体的にどのような方法なのか?」
といった質問があがりました。
日本の少子化対策を含め、出産そのものだけでなく妊娠から育児までのトータルケア、
そして医療の質を保つためにはこれまで以上に数が必要になってくるということ。
改めて日本の現況についても考えさせられる研修になりました。


初海外、初飛行機、初生魚、初めての海、初、初とお初続きで興奮気味であったアイビー看護師。
研修を終わるころにはお辞儀も板についてきて、きれいな日本語で自己紹介ができるようになったりと、日本の生活や文化、食も楽しんでもらうことが出来ました。

↑TICOがお世話になっている方のお宅にホームステイ。ザンビアの主食であるシマを一緒に作りました。

ホームステイ先では、そこにいるみなが誰に指示されることなく
自分のやることを見つけて動き、無意識的にも協働して仕事を行う様子は
彼女の目に驚きとして映ったようです

日本は国民皆保険により支えられた仕組みがあり、どんな田舎であっても医療設備、医薬品が揃っているという点で圧倒的な違いを感じ打ちのめされた様子もありましたが、彼女がモンボシ診療所で現在行っている看護活動は決してそれに劣るものではないと思います。
ザンビアで、モンボシ診療所で「出来ることを確実に、適切なタイミングで行うことが出来る」ということがザンビアの医療を支え、質を高めていく一歩であると思います

今後、彼女がザンビアに戻りどのようにモンボシ診療所で今回の研修を生かしてくれるのか。
最終日には、TICOにて、研修を終えてのレポートや活動計画等を発表してもらう時間を作りました。
今後仕事に戻り、日本に滞在していたときには気づかなかった点や、
改めて自分の仕事を振り返り、研修の成果が発揮されていってくれればと期待しています。


ご協力いただいた研修先のみなさま、ご支援いただいたみなさま、本当にありがとうございました

↑TICO代表吉田とアイビー看護師。さくらcafeにて

文責:ザンビア事務所(田村)

握手をして分かること

2013年10月14日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所の瀬戸口です。
こちらは雨季が近づいており、毎日暑いです

更新がすっかり滞っているうちに、
2010年から実施してきた安全な妊娠/出産支援事業が先月終了し、
今月5日、徳島で成果報告会が開かれました。 
詳細は12月発行の会報に載る予定ですので、お楽しみに


さて、今日はザンビアでの挨拶から。

こちらでは、あいさつをするときに握手をします。
1回握るか、3回握るか、が主流です。
3回握るというのは、まず普通に1回、
そしてその手を完全には離さず少し上にスライドさせて再度握り(腕相撲の時の手の握り方とでもいいましょうか)、
最初のポジションに戻してもう1回握ります。
(うーん、説明が難しい)

年配の方の場合は、プラスひざまづき、
もっと偉い人(チーフ)になると、寝ころんでごあいさつすることもあります。


私たちと一緒に活動をするのは、ほとんどが村の人たちですので、
あいさつをするときにぎゅっと手を握ると、女性も男性も皮膚の厚いがっちりとした手をしています。
力仕事をしている人の手だなぁと思います。

ですので、たまに役人などのホワイトカラーの人たちと握手をすると、
そのやわらかさに、びっくりしてしまうのですが、
村の人たちには、あなたの手はやわらかい、とよく言われるので、同じ感じなんでしょうね。
おかげで家事をしない、出来ない女だと思われてたりします


そして、このあいさつは基本的に全員とします。
その場に10人いれば、10人と「おはよう」とか「元気?」とか言いながら、
全員と握手をします。

この、"全員"と握手をする、という習慣、
すっかり当たり前のように思っていたのですが、
先月、ザンビアに遊びに来た友人に指摘され、改めて気付きました。

そういえば、赴任した当初、邪魔してはいけないと会釈とアイコンタクトで済まそうとしたら、
「あいさつしなさい!」とおばちゃんにたしなめられた(?)ことがありました。
今思えば、ものすごく日本流な対応でしたね
相手が忙しくしていても、目が合えば、割り込みOKなんだと思って
対応するようにしています。

もちろん、ケースバイケースではあるのですが、
あいさつってやはり大事ですもんね。


文責:ザンビア事務所(瀬戸口)

9月の地球人カレッジ

2013年10月07日 | 地球人カレッジ
*テーマ:「いま、ふくしまで始まっている新しい未来」
*日時:9月21日(土) 19:00~21:30
**参加人数:23人(発表者、ネットでの参加者含む)
*場所:さくら診療所デイケア室
*発表者:鎌田 千瑛美 (一般社団法人ふくしま連携復興センター 理事) 
       戸田 光司 (一般社団法人みんな未来センター 代表理事)


今回の地球人カレッジでは、福島で発表者お二人が取り組まれている活動、
今の福島の現状についてのお話していただきました。



鎌田さんは、福島県南相馬市出身の方で、震災時は東京で会社勤めをされていましたが
これをきっかけに故郷に戻られ、復興支援に従事されています。

現在、多くの場所で除染作業が行われ、放射線の度数自体は下がったようですが、
除染作業で撤去された土は、行き場を失い、福島の美しい豊かな自然の中で、
まとめられ、放置されている現状が続きます。
まだまだ放射線の影響で、川で水遊びさえできない場所もあるといいます。

鎌田さんはまだ20代の未婚の女性で、実際、子どもをおもちだったり出産を控えた方々
が福島を離れる状況を目の当たりにし、特に未婚の若い女性は、自分の将来の妊娠、
出産についてとても悩んでおられるといいます。そして、そういった女性たちが集い、
思いを共有できる場を作ろうと、任意団体「peach heart」を立ち上げられました。
peach heart 、福島の女性が放射能と付き合いながらもより良く生きていけるよう、
おしゃれなマスクづくりなどを行い、実際に販売もされています。


毎日福島についての暗いニュースが流れていて、落ち込むこともあるけれど、
福島は恋愛の「きゅんきゅん、どきどき」する気持ちでもっとハッピーになれるんじゃ
ないか?という面白い発想で、鎌田さんは、「きゅん」を大切にしたいとおっしゃっていました。

戸田さんは埼玉県出身の方で震災後、福島に復興支援に携わろうと移住されました。
福島県は本当に人情溢れる、人と人とのつながりが濃い温かい町だと戸田さんは言います。
戸田さんは、放射線の影響で子どもたちが外に出られなくなってしまったことを問題視し、
子どもの遊び場を作ろうと、「みんな共和国」を立ち上げました。
最初は屋内で始まった企画は大反響だったようです。その後、なんとか外遊びをさせて
やれないかという思いから、子供たちの保護者らと力を合わせ、自分たちで公園の除染作業、
放射能測定、情報開示、参加者を募り、大盛況を収めました。
震災後、暗くなってしまった福島で「明るい未来を描いていかなければ!」という思いから
今も、福島の地域の方々のために様々なイベントが企画されています。


お二人の共通していることは、「重く、暗い問題を、重く、暗く考えるのではなく、
楽しい!おもしろい!という発想に変えなければ、続かないし自分が疲れてしまう。」

ということでした。

メディアでは、政府や東京電力を責めるだけの暗い話題が続きます。その中で、私たちは本当に
未来を見ているでしょうか
今回の発表は、福島の明るい未来が垣間見えた非常に素敵なものでした


文責:齊藤芙美(ボランティア)

TICO合宿に参加して(jaih-s合宿)

2013年10月01日 | 地球市民教育
この5月に実施されたjaih-s(日本国際保健医療学会学生部会)の合宿について、
以下のとおり報告がありましたのでご紹介させていただきます

報告者:福岡女子大学国際文理学部食・健康学科3年 松崎凜子さん



【日時】2013年5月2日~4日
【場所】TICO道場(徳島)
【参加者】11名
【プログラム】
5月2日 TICO集合
5月3日 *農作業 麦畑の草取り 朝食のための野菜の収穫
      ~朝食~ 
     *TICOについてのお話
      ~昼食~
     *ワークショップ(ラクの物語)
      ~夕食~ 
     *懇親会
5月4日 *農作業 畑の草むしり 朝食のための野菜の収穫
      ~朝食~
     *さくら診療所の見学
     *ワークショップ(宇宙ステーション)

私にとって初めての四国は今回のTICO合宿の参加だった。約1か月前のキックオフミーティングから8期後半の
運営委員をさせていただくことになったのだが、その時に、紹介されていたこのTICO合宿。
TICOってどんなNGOなのか、どんなところでどんなことを学ぶのか、正直よくわからないまま、「何か面白そ
うな合宿があるらしい。」ということで参加を決めた。また、国際保健医療に興味がある友人は少なく、
その中で、同じ興味をもって頑張るjaih-sの運営委員のメンバーと一緒に「国際保健医療」について学ぶことが
できる機会があるという思いで、参加を希望した。
農作業体験
 1日目の夜に到着した私にとっての初めての活動は、農作業体験をすることから始まった。早朝、眠い目をこ
すりながら国際保健医療と農作業体験ってどんなつながりがあるのだろうかと少し疑問に思いながら道路
をまたいで反対側にある畑に向かった。道場の近くでの農作業体験ということで、家庭菜園のような畑かと思い
込んでいたが、案内されたのは大きくて立派な畑。今日は麦畑の草取りということで、約30分、せっせと
草取り行った。麦が列になって植えられている間には雑草がびっしり生えており、抜いても、抜いてもなかなか
前に進むことができなかった。農作業の後は、朝食の食材として畑の野菜を収穫し、参加メンバーで道場のキッ
チンを借りて朝食を調理した。
ラクの物語
 午前中は「ラクの物語」という貧しい女性とその子供の命の話を用いたワークショップを行った。ワークショ
ップをすることは初めてのことではなかったが、今回のワークショップではポストイットに書いたそれぞれの言
葉がどのようにつながっているのかということを突き詰めて考えていく作業に焦点を当てていた。突き詰めれば
突き詰めるほど、女性の置かれた状況がどのような原因で生じているのか、その根本にあるものは何なのかと考
えていくのが難しくなる一方で、これが現状でもあると改めて感じさせられた。また、メンバーと話しながら作
業をすることを通して新たな視点をえることが出来たり、自分の考えを伝えることができた。確かに、ワークシ
ョップの話は一例であり、話を進めるときはA4サイズ1枚の情報しか与えられていない。しかし、一人の女性に
ついて考えるだけでも、文化や習慣の違いや生活環境や経済状況など、最初の原因は何なのか、何が根本なのか
と考えると、堂々巡りになってしまう。また、このような状況で何を変えればうまくいくのか、自分に何が出来
るのかということが見えなくなってしまいそうになった。そんな時に、ワークショップをするメンバー内での多
分野や多職種との協働を考えることで自分にできることや協力してもらいたいことなど、一人では変えられない
状況とそれを変えるためにはどう協力していくかということを考え、これは机上での話であると自覚しつつも、
現場に出て考えるときにはこのような視点が需要になることを痛感した。
宇宙ステーション
 最終日の午前中には、宇宙ステーションで人間が生きていくためには何が必要かということを考えた。宇宙船
の規模は何でもいい、どんな宇宙船にするかは自由という設定で2つのグループに分かれ自由に議論を行った。
エネルギーは何にするのか、通貨を作るのか、政治はどうするのか…生き延びないといけないという条件で、
より良い宇宙船、持続可能な生活にするために熱く話し合った。
「自給自足の生活をするなら農業を始めないといけないね。」「農薬はどうする?」
「エネルギー源は何にしようか。」「原子力は危ないんじゃない?」
私たちが最後の人類で生き残りをかけたとなると、考えも慎重になり、どれだけ持続可能な生活ができるかとい
うことに焦点を当てるようになった。
その時の吉田先生からの質問に私ははっとした。「じゃあ、何で、農薬や原子力を使わないの?」
その答えに私は「やっぱり、取り返しがつかなくなると思うので…」とあいまいな答えしかできなかった。
宇宙ステーションでは「取り返しがつかない」からやめようと思うことを地球では平気でやってしまう、地球
では「取り返しのつくふり」をしている自分に気が付いて、「はっ」としたのだった。
地球のことなんて、規模が大きすぎて普段考えることもなく、こんなことを友人と話したら照れくさいような話
を持続可能な宇宙ステーションを考えるということに置き換えて真剣に話すことで、国際保健医療の分野を志し、
世界の命を考えるにあたって、地球のことを考える視点も必要だということを感じた。
自分にできること
 3日間の合宿を通して、国際保健医療に興味があると言いつつも普段はあまり考えることのない、地球規模の
問題について考えることで、新たな視点を得ることができた。今の自分にとって、国際保健医療に興味を持ち世
界の命に貢献したいと願う一方で、資源を大切にしていなかったり、環境に配慮した生活をしていなかったこと
をふりかえると、矛盾してしまっていた気持ちになった。
 また、お話の中で、与えられたことをがむしゃらにやる、日本の最先端を学び一流になってから途上国に行っ
た方がいいというお話もあり、今の自分をふりかえった時に、あれもこれも興味がある、ちょっとやってみて違
うなと思ったことは力を抜いてしまうなど、目の前のことなのに目の前のことに一生懸命になれていない自分が
いることに気づいた。
 熱い仲間と国際保健医療や地球規模の問題、将来について熱く語る中で、今の自分に足りないことや伸ばして
いきたいことを見つけ、さらに新たな視点を得るとこができ、素敵な時間を過ごすことができた。
また、地球規模で国際保健医療に考えることや多職種との協働が重要となることなど、新たな視点を得ることが
できた。
この合宿で得られた学びや経験を、今後の活動や自分の進路に活かしていきたいと思う。