TICOブログ

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11月地球人カレッジ♪

2015年11月16日 | TICO ザンビア

*テーマ:「ザンビアで住民とともに橋を架ける〜完成までの軌跡を辿って〜」
*日時:11月14日(土)19時~21時
*場所:さくらcafe *参加人数:15名
*発表者:大東 優馬さん(京都大学大学院 工学研究科 博士後期課程 )

 

ザンビア事務所の柳下です

 11月14日(金)に、地球人カレッジを開催しました。


 

今回のテーマは、『ザンビアで住民とともに橋を架ける〜完成までの軌跡を辿って〜』

(画像をクリックすると拡大します) 

NPO法人道普請人さんより大東優馬(だいとうゆうま)さんをお迎えし、橋建設プロジェクトの完了報告をしていただきました

 

8月にこちらのブログで「私の村に橋ができた。」という題名で記事を書かせていただきましたが、その橋建設のプロジェクトで実際に村人と働かれていた方が、今回の講師である大東さんです。また、嬉しいことに、2014年の施工を担当していただいた芝村裕人(しばむらひろと)さんも参加者としてお越しいただきました

本当にありがとうございました!!!この場をお借りして、改めて御礼申し上げます

 

さて、今回の報告会では、プロジェクトの背景からおもしろ話まで、中身がぎゅうぎゅうに詰まったお話をしていただきました。

少しだけご紹介させていただきます


 

 このプロジェクトは、2013年7月に開催した地球人カレッジから始まりました。当時、村人から挙がっていた橋建設の支援要請に対し、TICOは、比較的ローコストでその要望に応えられないかと、様々な方法を模索していました。その時、地球人カレッジに講師として来られていた木村先生(京都大学教授/NPO法人道普請人代表)の話を聞き、橋建設についてTICOが問い合わせをしたところから始まりました。

 話は見事に進んでいき、同年(2013年)10月、木村先生と芝村さんがザンビアへ視察に訪れました。この際、マケニ村とルピア村の間を流れるモンボシ川に橋を架けることが決まりました。

 2014年8月から工事が始まることとなり、道普請人さんのもと、TICO現地スタッフを介して工事に関わる作業員の確保や作業中のルール作りなどが、村人とともに行われました。橋ができることで利益を受けるであろう村を、マケニ村、ルピア村、ムエンバ村、シブワト村、ンジョブ村の5か村とし、それぞれの村から毎回6名参加する計算で作業工程が作られました。期間は75日。参加者には昼食が振る舞われることになりました。 

 そして2014年8月。遂に施工がスタート。大東さん、芝村さん、そして村人たちのリーダー的存在であるArea Development Committee(ADC=地域開発委員会)が、工事に参加する村人たちのリーダーとなり、作業を進めていきます。芝村さんが工事監督となり、川沿いに張ったテントで、ADCメンバー二人とともに生活していました。最初は、沢山の村人が工事に参加していたものの、少しずつ参加者が減っていきました。

 8月の参加者目標人数210名に対し、参加者は124名

 9月は、参加者目標人数690名に対し、参加者が320名

 そして10月。参加者目標人数は9月同様690名でしたが、参加者は210名しかおらず、目標の3分の1にも及ばないという結果になっていました

 参加率の減少理由として考えられるのは、なんでしょうか

 大東さんの分析によると、大きく分けて4つの理由があります。

①時期の問題:農民が農作業で忙しい時期と重なってしまっていた。※TICOが支援活動を行っている地域に住む人々は、ほとんどが農民です。

②期間の問題:活動期間として定めた75日は、農業で忙しい村人にとっては長すぎた。途中から飽きがきてしまった。

③お金の問題:日当が支払われないことで、参加するモチベーションが下がった。

④外部者の関わり方の問題:村人との接し方について、相手の文化への配慮が足りなかった。

 

 この反省点を受けて、第二回のザンビア渡航へ向け、道普請人さんは作戦を練られました上記に挙げた4つの課題への対策は・・・

①→農作業をカレンダーに反映し、農民が比較的忙しくない時期に工期を設定!2015年6月初旬〜6月末まで。

②→工期を3週間に。

③→作業員を20名とし、一日20K(日本円で約400円。2015年6月当初。)を日当として支払うことにしました。また、工事に参加する村をマケニ村、ルピア村、ムエンバ村、シブワト村の4か村に。※最終的に、シブワト村は作業員として参加しないことになりました。

④→とにかく笑わせて、コミュニケーションを図る。相手を飽きさせない工夫をする。ポラロイドカメラで写真を撮ったり、作業チーム分けに色の違うバンダナを渡したり、村別で作業日を設定するなどの工夫をしました。

 

 結果、参加者は目標の220名に対し201名が来て、工期は3週間を見積もっていましたが、たったの14日間工事完了となりました

 6月29日は、盛大な完工式典が行われ、拍手喝采でプロジェクトが終了しました

 

 素晴らしいです言葉と文化が違う人々と一緒に何かを作り上げることは、言葉で表す以上の難しさがあります。

 私は、実際に大東さんがお仕事をされているところを拝見しました。

 いつも村人を笑わせている姿が印象的でした。作業員はいつもニコニコとして、「ゆうま!ゆうま!」と兄弟のように頼っていました。

 ザンビアで働き初めて8ヶ月。未熟すぎて、大東さんには到底およびませんが、大東さんのように現地にあったコミュニケーション能力をつけていきたいと思っています。

 

大東さんが報告された中で、作業員の仕事の好き嫌いについての調査が面白かったので、ご紹介します。

仕事の面白さを、<極め楽しい><楽しい><つまらない><極めてつまらない>の4段階に分けて、仕事の好き嫌いをヒアリング。

 ↓↓↓ヒアリング結果↓↓↓  

  極めて楽しい:コンクリート打設、石積み作業、左官作業(橋の表面整備)

  楽しい:丸太カット、鉄筋作業、鉄筋運搬、丸太運搬

  つまらない:コンクリート練り、型枠作り

  極めてつまらない:石運び、砂運び、水くみ、除草、コンクリート運搬

 

<楽しい項目>に入っている鉄筋の運搬や丸太の運搬と<極めてつまらない項目>に入っている石運びや砂運びなどは、一体何が違うのだろう??と思いませんか

→これ、実は"特別感"なんです<極めてつまらない項目>に入っている運搬系の作業は、子どもの時に散々やらされてきた仕事らしく、もう飽き飽きとしているというのが理由でした。そう言われると納得です。

 

さて、このマケニームエンバ橋が完成し、様々なところから喜びの声が挙がっています。 

 農家の人は「野菜が売りに行けるようになる」と喜ばれ、

 学校の先生は「生徒の通知票を教育局に取りに行けるようになる」「給料を取りに行けるようになる」と喜ばれ、

 お酒が大好きな村人は、「ルピア村へ飲みに行けるようになった」と・・・笑

 

   チサンバ郡農業局、畜産局、保健局、教育局の職員からも、未だに感謝の言葉が寄せられます。

 

この橋が、この地域に与えた影響は、私達が思っている以上にとても大きいものなのかもしれません。

 

 

 

         『道をつくる。』

 

 

 

この尊さを、身にしみて感じるプロジェクトでした。

関わっていただいた全ての関係者の方とご支援いただいた全ての支援者の方へ感謝申し上げます。

 

 

 

文責:柳下(ザンビア事務所)