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出産する時、谷間の時。

2012年08月15日 | TICO ザンビア
ザンビアから田村です。

ザンビアに来て早3週間が過ぎようとしています
朝晩はとても冷え込む毎日です。
日本は猛暑の中、オリンピックの余韻がまだ続いているのでしょうか。

ザンビアの選手も7人オリンピックに出場したようですが、早々に敗退してしまい、盛り上がっている様子はなかったです

サッカー観戦好きのTICOドライバーのガバナーさんから、日本のサッカー女子は本当に強い!アメリカとすばらしい試合だった!
とお褒めのお言葉をもらいました
ザンビアに住むガバナーさんが、こうして日本のことを応援してくれることもとても嬉しかったです。


さて、先日もTICOの活動サイトであるモンボシのヘルスポストへ行ってきました。
毎日40人から50人の外来患者さんがヘルスポストへ診察を求めて訪れます。

そんな中、ある女性と少女を診察していたナースが、ヘルスワーカーに少女のHIVの迅速テストをするように指示しました。
お母さんに連れられて来たその女の子は、まだ6歳。6歳にしては体つきがとても小さかったです。

一つ目の迅速テストで陽性の反応が出たため、より感度の高い迅速テストを追加で行います。


お母さんはHIV感染者。

15分ほど待ち、結果は陽性。

ナースから母親へ結果が告げられます。
しかし、ヘルスポストでは簡易的なテストキットによるスクリーニングしかできません。治療はできないのです。
そのため、ナースがHIVの確定診断として必要なテスト(免疫機能の推測ができるCD4というリンパ球の数の測定や、血中のHIV-RNAウイルス量を測る検査)のできる上位の病院へ紹介状を書き、母親に持たせました。

ヘルスポストから上位病院へは、歩いて少なくとも2時間程度はかかる道のりです。                                                                

母親と彼女が病院へ行き、適切な投薬治療が受けられることを心から願います。


HIVの5歳未満の子供の90%が、母子垂直感染(HIV陽性の母親から妊娠中・分娩時・母乳を介した子供への感染)が原因です。
そして、この少女も垂直感染が原因ではないか、ということでした。



あらためて妊産婦の時期が特に見えにくい谷間の時期だと感じます。

子どもの予防接種や、体重計測の機会を利用する母親の数がある程度多いのに比べ、妊婦健診や産後健診といった出産のために保健に関わる母親が極端に少ないのが現状です。

妊婦健診に1度でも来れば必ずHIVのスクリーニングテストを受ける機会があるのに。。
そこでHIV陽性だとわかれば、抗レトロウイルス薬(ARV)の投与、子どもへの垂直感染の予防策をあらかじめ受ける機会が得られます。

私自身とてもショッキングで、この事実を受け止め今できることはなんだろうと。NO ACTION TALK ONLYではいけないですよね。
やはり、地域の人々による確かな知識の伝達と、お母さんたちが保健医療に関わることのできる機会がもっと増えるよう、
モンボシの地域の人々と関わって行くことだと思います。


ザンビア初投稿、少し硬い投稿になりましたが、今後もザンビアからお伝えしていきますね


文責:ザンビア事務所(田村)




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2 コメント

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厳しい現実なんですね (森井哲也)
2012-08-27 08:08:03
田村さん、

厳しい現実が伝わってきました。

でも、TALK も けっこう立派な
ひとつのACTIONでは?

って最近、思います。

大変なこと、多いでしょうが、
健闘をお祈りします。


 
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ありがとうございます。 (田村(ザンビア事務所))
2012-08-27 15:54:29
森井さん

コメントありがとうございます。

数字ではアフリカでのHIV感染率の高さは聞いてはいましたが、先進国ではほぼ防ぐことのできる母子感染を防ぎきれない現状には心が痛みます。

TALKもひとつのACTION。仰る通りですね!
活動サイトで住民ボランティアさん達と話をしていると、ACTIONの仕方や方法がわからないのではないかと感じることが多々あります。
ACTIONの道筋を一緒に作っていくことが大切だと感じています。
今後もブログでお伝えしていきますので、どうぞよろしくお願いします。
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