TICOブログ

TICO最新情報をお届けします。

2013春学生体験記inザンビア     

2013年04月25日 | 未分類
 2013年3月、IFMSA(国際医療保健連盟)に所属する学生がTICOが活動しているザンビアのモンボシの村で、
2泊3日のビレッジステイを行いました。
それぞれのメンバーから感想文が届きましたので、ご紹介させていただきます



浜松医科大学 中村佳夏さん

北海道大学 箱山昂汰さん

聖マリアンナ医科大学  岡村優真さん     

千葉大学  新 真大さん    

熊本大学  原 聖さん     

札幌医科大学 伊藤浩平さん

ザンビア人の里帰り

2013年04月25日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所 瀬戸口です。

ザンビア人の話と言えば、モンボシの村の人の話ばかりしていますが、
今回は、いつも私たちの活動を支えてくれている
TICOザンビア事務所スタッフの話をしたいと思います。
TICOザンビア事務所スタッフ紹介のページ

私たちの事務所は、モンボシ(中央州チボンボ郡)ではなく首都のルサカ(ルサカ州)にあります。
事務所に勤めているスタッフは皆、ルサカに住んでいますが、地方から出てきた人がほとんど。
日本でも東京などの大都市はそうですよね。

昨日から、スタッフの1人が有休を使って里帰りをしています。
彼の故郷は、なんとアンゴラとコンゴの国境沿い、カレン・ヒルの近くの村だそうです。

*クリックすると拡大します。

カレン・ヒルは、ザンビアの国名のもとになったザンベジ川の源流のある場所
首都のルサカを早朝5時に出て、翌日(!)の午前中に着くそうです。
交通費も大人ひとり片道180クワチャ(約3200円)と高額(日本人的感覚に直すと2万円くらい?)

遠いのとお金がかかるのとで、ルサカに出てきてから一度も里帰りをしていなかった彼が、
ようやく去年、上の子ども1人を連れて帰ることができ、両親(祖父母)は大変喜んだそうです。
このときで15年ぶりだと言っていました。

そして、今回は奥さんと下の子2人を連れての凱旋?!帰郷
家族なのに初めて対面する彼らの心中はいかばかりでしょう。

想像するだけで赤の他人ながら、なんだかとてもドキドキわくわく幸せな気持ちがします
あ、ちなみに子どもは親のひざに乗るので、交通費はかからないそうです。


さて、里帰りするときの手土産は、どういうものを持って行くんでしょう?
本人には聞きそびれてしまいましたが、他のスタッフに聞いてみると、

・砂糖
・調理油(サラダ油)
・食パン
・カペンタ(煮干し)や魚の干物

などなど、各家庭の事情もありますが、
一般的には村の生活で手に入りにくいものが期待されるようです。

しかし、一番の押さえどころは服
父親には、ジャケットやシャツ、スラックス、靴を
母親には、チテンゲ(ザンビアの伝統的な布)で仕立てたドレススーツを
お土産にするのが、最も喜ばれるんだとか。
頑張って働いて稼いでいることのアピールにもなるんでしょうね

経済的に厳しい家庭が多い中で、
TICOザンビアスタッフのように安定的な職を得られる人というのはまだまだ少数派です。
自分の家族だけでなく、親戚の学費や医療費の面倒を見ることが当然のように求められます。
それでも、自分の給料をやりくりして、家族と一緒に帰省できるようになったというのは本当にうれしいです。
交通費だけで720クワチャ(約13,000円)ですからね、
日本人的には7~8万円!いや~父ちゃん、がんばった!

お土産話がいまから楽しみです。


旅の無事を祈りつつ・・


文責:ザンビア事務所(瀬戸口)

ザンビアのイクメン

2013年04月19日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所から田村です

先日、子どもの成長促進委員のボランティアさん対象に栄養に関する座学と調理実習の研修を行いました

突然ですがみなさん。最近では巷でも一般的に使われている・・・

       「イクメン」

イクメンっていったいどんな人のことをいうのだ?!ご存知ですか?

調べてみたところ

「イクメン」という言葉を作りだしたNPO法人『イクメンクラブ』の「イクメンクラブ3カ条」にはこうあります。

(1)イクメンとは、「“育児を楽しめるカッコいい男”のことである」
(2)イクメンとは、「子どもたちを広く多様な世界へ誘いだす」
(3)イクメンとは、「妻への愛と心づかいも忘れない」

こんな旦那さんと結婚したいものだなぁ~          ←と妄想ばかりしてるんですけど

日本でも、男性が育児や家事を積極的に、かつ「楽しもう」という社会的風潮はほんの最近のこと。
こちらザンビアでは、まだまだ男性に比べて女性の発言力が弱いことは否めません。
女性の社会進出は目覚しいのですが、それもほんの一握りの人たち。
例えば、女性から男性に「お付き合いしたい」と告白することなどあり得ないと言います
日本も昔はそうだったんですよね・・・

TICOの活動するモンボシ地区はいわゆる農村地域。男性が家長として君臨し生活を支えています。
女性は家事子育てや農業を手伝うといった(もちろん大切な役割ですが)常にサポート的な位置づけです。

中には、妻が妊婦になっても妊婦健診の受診、施設分娩を好まない男性も多くいます。
家事や農業を手伝う人手が減ることを避けたいというのが大きな理由のようです。

日本では妊婦健診に14回行くことが推奨されていますが、ザンビアでは4回の推奨。
数少ない4回の受診でさえも行かない、行けない妊婦さんが数多くいるのです。

モンボシ地区で働くボランティアさんの半数近くは男性。
男性ボランティアさんから村人へ向け、お母さんや子どもの健康に男性はもっと関わろう!
というメッセージを積極的に発信しています。
調理実習でも、こんなほほえましい光景が見られました。


男性同士でエプロンを着せあっています。
ちなみに右側のボランティアさんのチテンゲ(ザンビアの伝統的な布)のプリント柄は「札束と硬貨!」
かわいいばかりじゃない、なんとも挑発的な柄のチテンゲもあるのですね~


男性も女性も楽しく、率先して参加しています。


これは、ザンビアの主食、「シマ」を作っているところ。
お餅を臼でつく&こねているシーンを連想してしまった私は純日本人です

日本であろうが、ザンビアであろうが夫の妻や子への愛は変わらないのでしょうが
妊婦さんにもやさしいすてきな「イクメン」が増えて欲しいものです~!!

文責:ザンビア事務所(田村)


子どもが熱を出したら・・・

2013年04月11日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所の瀬戸口です。

私たちの活動するモンボシ地区では大豆や落花生の収穫が始まりました

ただ、こちらの主食である白トウモロコシ(メイズ)は
3月早々に雨が降らなくなり、収穫前から枯れ始めているのが心配です。
去年から全国的な肥料不足も問題視され、取れ高が減ることが予想されていたところに、この日照り
今年は農民にとって厳しい一年になりそうです。

いつも明るくて楽しくて優しいモンボシの人たちですが、
他にも厳しい生活を送っているのが垣間見えるときがあります。

先日、とある祝日にたまたま用があって訪れたヘルスポスト(簡易診療所)
日本の一般的な医療機関と同様に、土・日・祝日はお休みです。

でも、何人か患者の姿が見えました。祝日と気づかず来てしまったのでしょう。
近所の人ならいいのですが、遠方の人なら、また歩いてきた距離を戻らねばなりません
その中にふと知り合いの顔を見つけました。

聞くと、3日前から子どもが熱を出し、マラリアではないかと疑っているとのこと。

気が遠くなりました。
というのも、その祝日は金曜日だったので、ヘルスポストで診療を受けようと思えば
さらに土日を待たなければならないのです。

なんでもっと早く来なかったの?と聞くと
忙しくて連れて来る暇がなかったとのこと。

近く(といっても歩いて40分くらい)の売店で薬を買うのは「高くて無理」と言います。

しかも、マラリアの疑いがあるのであれば、
検査キットで陽性か陰性を診断して、買うべき薬を判断せねばなりません。

でも、売店は薬局ではありません。
薬も小分け(1錠ずつ)にして売っているので、
医学的に必要な量ではなく、村人が買える量を売るだけです。

もしマラリアでないのに、マラリアの薬を飲んだり、
マラリアであっても守らなければならない服薬量や期間がまもられないと
いままでの薬が効かなくなったり、マラリアそのものが薬に強くなってしまうリスクがあります。

この人は「今日はとりあえず家に帰る」と言って帰って行きました(自転車で1時間弱)。


そして次の月曜日の夕方。
再び、その人にばったり会ったので、子どもを診療所に連れて行ったかどうか、聞くと
「連れて行っていない」というのです。

なんで?????

と聞くと

今日も開いてないんじゃないかと思って・・・

との答え。
うーんと唸ってしまいました。
※会ったのはその人の家がある村です。

長い距離をはるばる歩いてきたのに、診療所が閉まっていたらショックですよね。
しかも、ザンビアでは診療所は開いていても医療スタッフがいない(予告もなしにいなくなる)
というのは残念ながら日常茶飯事です。

となれば、ますます「(行きたいけど、遠いし)開いていなかったら・・・」という懸念は膨らみます。

せめて、電話で開いているかどうか、確認出来ればいいのですが、
村には電気がないので、携帯はなかなか充電できません。

なにか伝統的な通信手段で使えるものはないものかと聞いてみると、
葬式やお祭りの連絡は太鼓をたたくという風習があるそうですが、
これも朝夜の静かな時間帯で10キロくらい(日中は4-5キロ)しか音が届かないと言います。

それ以上の距離で、緊急の連絡をしたい場合は?とさらに質問すると

歩く

の一言。
もし持っているなら自転車でもバイクでもいいですが、
要は人間が行かねばならないようです。
緊急の連絡でない場合は、その方向へ行く人を見つけて言づてするんだそうです。


一つのエピソードをひも解いてみても、
その背景には様々な事象が絡み合っていて、一筋縄ではいきません。

おまけにこちらが問題だと思っていても、現地の関係者にとって問題でなければ
解決への一歩さえ踏み出すことはできません。

地域保健をめぐる状況を改善するには、まだまだ時間がかかるなと思った出来事でした。

ちなみにこの熱を出していた子は、後日薬を処方され、まだフラフラするそうですが
快方に向かっているそうです。

なんだか下の記事と対照的な記事になってしまいましたが、
こうやって一喜一憂しながら、現場は活動しています。

文責:瀬戸口(ザンビア事務所)

村のボランティアたちの奮闘。

2013年04月05日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所から田村です
ボランティアさんからうれしいニュースが届いたので、こちらでお伝えしたいと思います
先日、SMAGの活動を見学するため日々の活動の一環である妊産婦の家庭訪問に同行してきました
ヘルスポストのあるモンボシ村のお隣の村、ムプンドゥ村のSMAGに同行です

現在TICOは、地域住民と共にお母さんたちが安全に出産できる環境づくりを目指した妊産婦ケアプロジェクトをモンボシ地区で進めています。
地域の環境づくりの中心となり、村の健康を支えるため日々活動しているのが、
安全なお産支援のためのボランティアグループSMAG(Safe Motherhood Action Group:スマッグ)です。
自分の住む村のため、家族のため、熱い思いを持ってボランティアさんたちが日々奮闘しています!

SMAGに連れられて行った先の家では、農民たちが集い、集会を開いていました。男性たちが集会で話し合いをする傍らで女性たちはおしゃぺりに講じていたので、SMAGが2ヶ月の乳児がいる産婦に対しインタビューを始めました。

SMAGのエィブルさん(左男性)とアビゲールさん(左背中を向けた女性)、右に座っているのが産婦さんです

妊産婦訪問では、決まった項目に沿って相手から必要な情報を聞き、その都度不足している知識をSMAGとして見極めた上でアドバイスをしていきます。
たとえば妊婦健診には何度行ったのか(ザンビアでは4回以上の妊婦健診受診を推奨)なぜ妊婦健診が大切なのか、
どこで出産したのか、家族からの支援は十分にあるか、といった項目です。

この産婦さん、2ヶ月の元気な男の赤ちゃんを抱えて言いました。
「この子も家で生んだの。5人の子がいるけど、4人の今の旦那さんの子はみんな家で生んだわ」
と。
ここザンビアでは半数を超える妊婦が不衛生な環境で医療者ではない人の介助により自宅出産をし、多くの母子が危険にさらされています。
よくよく聞くと、児が娩出した後に胎盤が1時間程度出てこないという状態であったとのこと。
万が一胎盤が子宮に癒着しているようなことがあったのであれば大出血も予想され非常に危険な状況です。

なぜ自宅出産を選択したのか、SMAGが理由を聞いていきます。「旦那さんが近代医療を否定する宗派の信者なの」
ザンビアでは敬虔なキリスト教徒が多く、非常に信仰に厚い人が多いのは事実です。
近代医療を信用していない宗派(少数派ですが)が存在することは以前から耳にはしていましたが、実際当事者と話をするのは私も初めてでした。
旦那さんが集会に来ているということで旦那さんにもインタビュー。
強持ての表情をした旦那さんで、最初はたじろいだのですが、SMAGや、少し出しゃばってしまった私の話にもしっかりと耳を傾けてくれる、紳士的でいてどこか陽気な雰囲気のある印象の方でした。

宗教を否定することはできませんが、やはり母子の命のリスクについては説明せねばならないと思い、今回の妊娠出産で奥さんに起こり得たリスクや、ワクチン接種や体重計測等で子どもの成長を見守ることの大切さをお話しました。

結局旦那さんの反応は「神をしんじているからね、近代医療の薬物療法は信じられないよ」とかたくな。
しかし、このご夫婦は子どもをこれまでに4人亡くしているとのこと。
やはり自分の妻や子の命が危険にさらされていたことを聞いてたじろぎがあったように私には感じ取れました。

宗教が絡んでいたり、夫婦間でまだまだ男性優位な社会であることなど、家庭訪問は非常にプライベートな部分にも触れることがあるため、
細心の注意を払って行わなければなりません。
インタビュー後も私の中では・・・あの後奥さんは旦那さんに怒られていないだろうか、
村の中でSMAGに対して不評が流されたりしないだろうか、など頭からずっと離れませんでした。
しかし、後日ムプンドゥ村のSMAGから呼ばれ聞いた話は私の不安を一掃してくれました

なんと、SMAGたちはインタビューの後も粘り強く旦那さんに対して啓発を続けていました!!!!!
どうやら、半年ほど前に首都からムプンドゥ村に移り住んできたご夫婦だったようで、
先日の出来事が引き金になり旦那さんが毎月村でボランティアが実施している5歳以下の乳幼児対象の体重計測には
参加することを了承してくれたとのことでした

私も一安心
そして、SMAGと共に「一歩前進だね!」と気持ちを共有することができました。
もちろんこのようにうまくいくことばかりではありませんが、村のボランティアさんの奮闘を見守りながら少しずつではありますが前進していることを感じています

SMAGの奮闘ぶり、今後も引き続き目が離せません

文責:ザンビア事務所(田村)