ザンビア事務所から田村です
ボランティアさんからうれしいニュースが届いたので、こちらでお伝えしたいと思います
先日、SMAGの活動を見学するため日々の活動の一環である妊産婦の家庭訪問
に同行してきました
ヘルスポストのあるモンボシ村のお隣の村、ムプンドゥ村のSMAGに同行です
現在TICOは、地域住民と共にお母さんたちが安全に出産できる環境づくりを目指した
妊産婦ケアプロジェクトをモンボシ地区で進めています。
地域の環境づくりの中心となり、村の健康を支えるため日々活動しているのが、
安全なお産支援のためのボランティアグループ
SMAG(Safe Motherhood Action Group:
スマッグ)です。
自分の住む村のため、家族のため、熱い思いを持ってボランティアさんたちが日々奮闘しています!
SMAGに連れられて行った先の家では、農民たちが集い、集会を開いていました。男性たちが集会で話し合いをする傍らで女性たちはおしゃぺりに講じていたので、SMAGが2ヶ月の乳児がいる産婦に対しインタビューを始めました。
SMAGのエィブルさん(左男性)とアビゲールさん(左背中を向けた女性)、右に座っているのが産婦さんです
妊産婦訪問では、決まった項目に沿って相手から必要な情報を聞き、その都度不足している知識をSMAGとして見極めた上でアドバイスをしていきます。
たとえば
妊婦健診には何度行ったのか(ザンビアでは4回以上の妊婦健診受診を推奨)なぜ妊婦健診が大切なのか、
どこで出産したのか、家族からの支援は十分にあるか、といった項目です。
この産婦さん、2ヶ月の元気な男の赤ちゃんを抱えて言いました。
「この子も家で生んだの。5人の子がいるけど、4人の今の旦那さんの子はみんな家で生んだわ」と。
ここザンビアでは半数を超える妊婦が不衛生な環境で医療者ではない人の介助により自宅出産をし、多くの母子が危険にさらされています。
よくよく聞くと、児が娩出した後に胎盤が1時間程度出てこないという状態であったとのこと。
万が一胎盤が子宮に癒着しているようなことがあったのであれば大出血も予想され非常に危険な状況です。
なぜ自宅出産を選択したのか、SMAGが理由を聞いていきます。
「旦那さんが近代医療を否定する宗派の信者なの」
ザンビアでは敬虔なキリスト教徒が多く、非常に信仰に厚い人が多いのは事実です。
近代医療を信用していない宗派(少数派ですが)が存在することは以前から耳にはしていましたが、実際当事者と話をするのは私も初めてでした。
旦那さんが集会に来ているということで旦那さんにもインタビュー。
強持ての表情をした旦那さんで、最初はたじろいだのですが、SMAGや、少し出しゃばってしまった私の話にもしっかりと耳を傾けてくれる、紳士的でいてどこか陽気な雰囲気のある印象の方でした。
宗教を否定することはできませんが、やはり母子の命のリスクについては説明せねばならないと思い、今回の妊娠出産で奥さんに起こり得たリスクや、ワクチン接種や体重計測等で子どもの成長を見守ることの大切さをお話しました。
結局旦那さんの反応は
「神をしんじているからね、近代医療の薬物療法は信じられないよ」とかたくな。
しかし、このご夫婦は子どもをこれまでに4人亡くしているとのこと。
やはり自分の妻や子の命が危険にさらされていたことを聞いてたじろぎがあったように私には感じ取れました。
宗教が絡んでいたり、夫婦間でまだまだ男性優位な社会であることなど、家庭訪問は非常にプライベートな部分にも触れることがあるため、
細心の注意を払って行わなければなりません。
インタビュー後も私の中では・・・あの後奥さんは旦那さんに怒られていないだろうか、
村の中でSMAGに対して不評が流されたりしないだろうか、など頭からずっと離れませんでした。
しかし、後日ムプンドゥ村のSMAGから呼ばれ聞いた話は私の不安を一掃してくれました
なんと、SMAGたちはインタビューの後も粘り強く旦那さんに対して啓発を続けていました!!!!!
どうやら、半年ほど前に首都からムプンドゥ村に移り住んできたご夫婦だったようで、
先日の出来事が引き金になり旦那さんが毎月村でボランティアが実施している5歳以下の乳幼児対象の体重計測には
参加することを了承してくれたとのことでした
私も一安心
そして、SMAGと共に
「一歩前進だね!」と気持ちを共有することができました。
もちろんこのようにうまくいくことばかりではありませんが、村のボランティアさんの奮闘を見守りながら少しずつではありますが前進していることを感じています
SMAGの奮闘ぶり、今後も引き続き目が離せません
文責:ザンビア事務所(田村)