TICOブログ

TICO最新情報をお届けします。

5月の地球人カレッジ

2014年05月24日 | 地球人カレッジ
*テーマ:「農業技術支援活動ともろもろ話~東南アジアからアフリカまで~」
*日時:5月18日(日)17時~19時
*場所:さくらcafe 
*参加人数:17名
*発表者:小林勉さん(農業専門家)


今回は農業専門家である小林勉さんを講師に招き、農業支援活動についてお話していただきました



小林さんはザンビア、ラオス、カンボジアで活動されており、いろいろなエピソードを交えながらお話してくださいました。
たとえば、ザンビアでは塩の代わりにスパイスを使用する機会が増えており、これが血圧低下につながっていくのでは、というお話や、
ラオスでは山が多いので農業をしても町に運べず、山菜をとって食べていることが多いといったお話など聞かせてもらいました


農家が現金収入を増やすための支援を行っているんだそうですが、
「現金収入を求めすぎると不幸になるが、少なすぎても不幸になる」
という言葉がとても印象的でした。
自分たちが食べていく分はなんとかなるのでしょうが、現在の貨幣社会ではやっぱりある程度の現金収入は必要です。
収入を得ながら農村部で暮らしていくための支援は必要ですよね


小規模な地産地消をして、環境に配慮しながら持続可能な農業を目指していくことが大切なのだそうです
農薬を使いすぎない、環境に配慮した農業という点においては、途上国も日本も必要なことですよね

都市は豊かで農村は貧しいという構図が成り立ってしまい、都市への人口流出が進んでしまっていますが、
農村部の生活の質の向上と、農家の人々のステータスの向上が必要なのだと教えていただきました

日本でも農家の人口の減少が問題となっていますが、農業の奥深さ、面白さが多くの人に伝わればいいなぁと思いました


文責:事務局(出浦)

みんな大好きチブワントゥ!

2014年05月22日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所の瀬戸口です。

朝晩冷えるようになりましたが、日中は暑くてたまらず
温度変化が体にこたえます。



さて、先日も村に出かけていたのですが、

お母さんがなにやら枝のようなものををたたいているのを発見。





すぐとなりでは、娘も同じ作業中。





この子、高校生で、先週から学校が始まっているはずなのですが、
学校までの交通費が捻出できておらず、いまだ家事手伝い中。


学期が始まる日に登校できる子どもたちは、それほど多数派ではありません。
学費等の工面が間に合わない他に、いまは収穫時期で忙しいことも理由の一つです。




・・と話が逸れました。




実は、彼女たちが叩いているのは、枝ではなく「ムンコヨ」と呼ばれる木の根っこ。






何回かたたくと、表面の皮が取れ、やわらかくなります。






このナマのまま使ってもよし、3日間くらい乾かすと1年以上もつそうです。



さあ、これ、何に使うんでしょうか。







私たちが活動している地域にはトンガ族と呼ばれる人が多くいます。
彼らの主食はメイズと呼ばれる白トウモロコシなのですが、
それを使った、"チブワントゥ"という発酵飲料を作るときにこのムンコヨが欠かせません。





この根っこを一晩、水に浸してエキス?を染み出させ、
粗く挽いたトウモロコシで作った薄いおかゆのようなものにその水を入れると完成。



なぜ、ムンコヨを入れるのか?



彼らが言うには、ムンコヨを入れると甘くなるんだそうです。



チブワントゥは手軽なエネルギー補給に向いており、畑仕事のお伴にもって行くことが多いようですし、
村でお祝い事や集まりがあると、ドラム缶いっぱいに作られ、参加者に振舞われます。



▲このドラム、全部チブワントゥ!!!!


お客さんが来た時には、砂糖をさらに加えて提供されることが多いのですが、
私は砂糖を入れず、ほのかな甘みと酸味を楽しむのが好きで、
さらに言うと出来たての温かいものを飲むのが大好きです。


とはいえ、独特の風味があるため、最初の数回は正直なところ我慢して飲んでいました。
が、ある日からものすごくやみつきに・・・
いまや村に行くたびに誰か出してくれないかなぁと思ってしまう意地汚さです・・


他の部族、例えばベンバ族も同じくムンコヨを使った発酵飲料を作りますが、
彼らはメイズを細かく精製し(トンガ族は粗挽き)、また焦がしながら作るため、
見た目はやや黄色く、味わいは全く異なります。


また、製品化された「マヘウ」と呼ばれるものもあります。
マヘウという名前はジンバブエから来たのだと教えてくれた人がいましたが、
飲んだ感じはチブワントゥよりもっとドロっとしていて飲むヨーグルトっぽいですね。



マーケットで、乾燥させた根っこは何度も見たことがあったのですが、
製造段階(笑)を目撃して、興奮してしまい、
何枚も写真を激写して、おかあさんに笑われてしまいました。

そして、ムンコヨに気を取られ過ぎて、
この家を訪ねた本題をすっかりそっちのけにしてしまい
お父さんに呆れられました。




ほんとは、左端にいるお父さんと活動の打合せに来たんでした。。。。



うーん、チブワントゥ、好きだなぁ・・


文責:ザンビア事務所(瀬戸口)

5月14日 徳島大学国際協力論

2014年05月15日 | 地球市民教育
みなさん、こんにちは5月よりTICOでインターンをしております出浦綾夏です


5月14日に徳島大学で行われた国際協力論についてご報告いたします

今回は東京から 特定非営利活動法人 ACE 岩附由香さんが講師として来てくださいました
HPはこちらから

ACEは児童労働の問題について取り組んでいるNPOです。
みなさん、児童労働って知っていますか?
義務教育を妨げる労働や、法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働のことで、世界には約1億6800万人の子どもが児童労働をさせられているそうです。
これは日本の人口よりも多い数で、世界の子どもの9人に1人が児童労働をしていることになります。

この問題を解決するために、ACEのみなさんはインドのコットン畑とガーナのカカオ畑で働く子どもたちを危険な労働から守り、教育の機会を与えている活動をしています
現地の支援団体と協力しながら、1軒1軒おうちを周り、自分の子ども両親と話し合いながら解決策を見つけていったり、家庭が収入を向上させるトレーニングをするそうです。
その結果、児童労働をさせられる子どもが減り、学校へ通えるようになったというお話を伺うことができました

教育の機会があるということは、人生の可能性が広がるということなんだなと感じます
日本は中学校までは義務教育なので、学校へ行くことが当たり前の感覚ですが、それって本当に恵まれてることなんだなぁと思いました
夢や希望、未来の可能性というのは生きる上でとても大切なことですよね。


さて、どうして児童労働が起こるのでしょう??
岩附さんの問いに、みんな考え込んでしまいました。

もちろん、貧困という要因があります。
しかし、児童労働は単に家庭の貧しさだけの問題ではないんです。
両親のなかに、子どもは学校に行かなくてはならない、という意識が低いんだそうです。
女の子は教育を受けなくていいとか、学校へ行っても意味が無いというような、教育に対する優先度の低さが子どもの労働に繋がっているんです。
親が教育の大切さについての意識が根付いていなければ、行動の変化は難しいですよね。

また、途上国だけの問題ではないと岩附さんはおっしゃいました。
なぜなら、児童労働によって成り立つビジネスが存在するからです。
企業は値段の安い物を売るために、人件費を抑えようとします。その結果、不当な賃金で子どもを働かせます。
需要と供給が一致してしまい、児童労働が起こってしまうのだ、と教えてくれました。

つまり、私たちが値段だけをみて商品を買うことが、児童労働へと繋がっているんです。

児童労働≠遠い国の子どもたちの問題
だったんですね


では、私たちにできることはなんでしょうか??
まずは児童労働の現状について知ること。世界にはこんな問題があるんだなと興味を持つことで、見え方って変わってくるんだと思います
きっと知ることから全ては始まるんだと思います。
そしてその問題をお友達と話したり、周りに伝えてみること。周囲と話すことで新しい発見があったりいろんな人がその問題について知ることができます

さらに、自分が買う商品を値段以外で選んでみること。
フェアトレードと言われている、生産者に正当な賃金が支払われて作られている商品を購入することで、生産者の生活が守られます。
何か物を買う時には、その物が作られる背景を見て買うようにしたいなと思いました

寄付をしたり、現地に行ってみるというのはちょっとハードルが高い。
日本にいながらでも、学生でも、ちょっとしたことで国際協力っていうのはできるんだなと教えてもらいました


岩附さんのエネルギーあふれるお話に、とっても勉強になった90分でした





文責:事務局(出浦)

4月の地球人カレッジ

2014年05月12日 | 地球人カレッジ
*テーマ:「ザンビア駐在を終えて、今みなさんと共有したいこと 」

*日時:4月25日(金) 19:00~21:30
*参加人数:22人(発表者、ネットでの参加者含む)
*場所:さくらcafe
*発表者:田村幸根さん (元特定非営利活動法人TICO ザンビア保健医療専門家)



今回は、この4月初旬までTICOザンビア事務所で、保健医療専門家として赴任していた田村幸根さんから
これまでの経験や今、思うことについて話していただきました

ザンビアに赴任したのは、2012年7月それまでは、東京都の離島で保健師として働いたそうです
日本でもザンビアでも、保健師として活動する中で、その地域を理解するためには、
見るだけではなく、話をして初めて分かるものなんだそうです
やはり、コミュニケーションは本当に重要なんですねー

日本の離島でも、ザンビアの村でも、人々は密な関係であり時には煩わしく感じることもあるけれど、
良いも悪いも支え合いの中で暮らしがあるとのこと
へき地医療(離島医療)と国際保健は共通点していると言われてるのも納得です

また、動画配信中にステキなコメントを頂きましたので、ご紹介させていただきます。

田村さん、ザンビア・モンボシでの活動、お疲れ様でした。
小さな村でも関係者の利害関係が存在する中、ご苦労も多かったことと思います。
新プロジェクトも日本で研修を得たアイビーさんとTICOの皆さん、そして地域の人が
力を合わせて、近い将来、ザンビアの人たちが自走できるよう祈っています。


以下、田村さんからのメッセージです。

メッセージありがとうございました。そして、いつもご支援くださり本当にありがとうございます。
私のザンビア駐在はとても短い期間でしたが、ザンビアでの妊産婦保健プロジェクト、またアイビー看護師の日本受け入れと、
未熟ながらに多くの経験をさせていただきました。
仰るとおり、うまくいかないことも多々ありながら、関係者と共にザンビアはモンボシのためにと真摯に向き合って活動させて
もらえたことに本当に感謝しています。

モンボシの住民たちの健康に対する意識もTICOが介入した2007年のころとは比べ物にならないくらいに向上してきているよう
に思います。
そうした意識や活動を今後は「組織化」していくことで、その場限りでなく継続したものになっていくようにと、私が去った
後も、ザンビアでは日々走り続けています。
今後も、TICOらしく、顔の見える支援を続けていってほしいと思っています。
最後にもう一度、心からありがとございます。 田村

今後の田村さんのさらなる活躍を祈念したいと思います

文責:事務局(近森)

ザンビアの子どもたちが健康に育つために 2

2014年05月01日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所の瀬戸口です。

先日の記事で、寒い寒いと書きましたが、
それから一転して、暑い日が続いています。
先週の金曜日は、夜中から昼ごろまで大雨が降り、
まるで雨季が戻ってきたみたいだね、と話していました。



さて、2月に同じタイトルで子どもたちがすこやかに成長していくための試みを、
モンボシの人たちと見学に行ったときのことを書きました。



本日は、その後の様子についてお知らせしたいと思います。

見学にいったメンバーとの話し合いで、
単に体重を測定するだけではなく、そこから低体重児を見つけ出し、
状態改善のため栄養等に関するカウンセリングを実施することの重要性が提起されました。

そこで、まずは見学したメンバーがいる地域から試してみよう、
ということで3月から試験的にこの仕組みを導入しています。

体重測定は地域毎に月に1回実施されているので、今月で2回目。

どんな様子かなぁ~、と見て来ました。





到着すると、すでに多くの子どもを連れたお母さんが集まっていました。
この日はなんと130人の子どもの体重を測ったのです。

たくさんの人手が見込めるため、これは、商売のチャンス!と店を出している人もいます。



しかもこの売り子のお母さんは、最後に避妊用のホルモン注射を受けており、
つまりはこの出張健診を受けにきた患者の一人でもあったのです。

うーん、うまいことやるなぁ、と感心。

出張健診では、子どもの体重測定だけでなく、
妊婦健診や家族計画のサービスも実施しており、地域の一大イベント。


とはいえ、メインは子どもの成長を把握するための体重測定です。
130人の子どもを10人のボランティアが、役割を分担しながらさばいて行きます。


まずは体重を測ります。




2人がかりで数字を読みとっているのがおもしろい。
○○キロだよな、と互いで確認し合っています。



次に、体重を記録します。



記録用のカードには、成長曲線が描かれており、
それを目安に子どもたちが順調に育っているかを確認します。




そしてこの成長曲線から大きく外れた子や、
前回と比べて体重の伸びが芳しくない子たちは、
カウンセリングコーナーへ送られます。





これらと同時に、健康に関する啓発教育も実施されます。
今回のお題は「マラリア」でした。





1歳未満の子どもに対しては予防接種も実施されます。



わが子が注射を受けるとき、怖がって目を閉じているお母さんもいましたねー。


細かい部分は、まだまだ試行錯誤中ですが、
体重測定については明確に役割分担がされており、
体重測定からカウンセリング、予防接種までの流れについても
きちんと守られており、かなりのハイレベルでした


前回の体重測定でひっかかった低体重の子について、
家までいって状態を確認していたボランティアさんは、
その子の体重が徐々に増えているということを、
やや興奮気味に報告してくれました。

その子が回復しているのもうれしいことですが、
ボランティアさんが、自分の仕事にやりがいを感じていることの方が
ずっとうれしく感じました。


とてもよいスタートを切れていることが確認でき
また同時に改善点もいろいろ見えてきた出張となりました。


文責:ザンビア事務所(瀬戸口)