TICOブログ

TICO最新情報をお届けします。

カウンセリングってなんだろう part3

2015年02月28日 | TICO ザンビア
皆様、こんにちは
TICOインターンの山崎です

前回の記事に引き続き
今回は、村でどのようなカウンセリングが行われているかお話しようと思います

カウンセリングは下記のような流れで行われています…

-先月から体重が増えていない、もしくは低体重の子どもを乳幼児カードから探す
-お母さんに、子どもの成長具合を知ってもらう
-診療所に行く必要がないかどうか問診する (熱や下痢など)
-子どもの食事環境を知る(お母さんが、子どもの年齢に応じて母乳や食事をあげられているか)
-子どもの年齢別の食事内容についてアドバイスする (離乳食など)
-お母さんとカウンセラーが、共に子どもの食事について話し合う(改善出来る事は何か、実行に移せる改善点なのか)
-カウンセリング内容を記録する (カウンセリングした子どもの成長を継続してみるため)

これら全てを抜けなく行い
お母さんから必要な情報が得られるように
お母さんに適切な栄養についてアドバイスが出来るように、現在カウンセラーは奮闘中です

また、
子どものおやつについて、お母さんが作れるものや村で収穫できるものを示した写真資料を使うことで、
お母さんとの会話を広げています

“家ではどんなおやつをあげていますか?”
“今、どんなものが収穫できていますか?”

など、子どもの食事環境を理解しようと一生懸命です

そして、
カウンセリングの要は、
カウンセラーとお母さんが子どもの食事について共に話し合い、改善出来るところを見出すことです


いかにカウンセラーが聞き役となり、
子どもの食生活や彼らを取り巻く生活環境を知ることができるか
子どもの食生活を改善するためにお母さんが実行できることを探せるか”がカウンセラーの腕の見せ所です

カウンセラーが一方的に指導や指示をするのではなく
お母さん目線でそれぞれ異なる生活環境を理解し、その中で行動に移せる案を出していくことが求められます


つい最近のカウンセリングでは、お母さんからこんな質問がありました

お母さん:そろそろ家のマンゴーも食べてしまって採れなくなってしまう。こどものおやつに何をあげたらいいですか?砂糖水はどうかと思っているんですが…

カウンセラー:そうですね…砂糖を買うのであれば、新鮮な果物や自然の食べ物を買ってあげてはどうですか?ビタミン等もとれますし。

お母さん:果物なら買えると思います。

カウンセラー:そうですね。来月、また健診でこどもさんに会わせて下さいね。

カウンセラ-とお母さんは、“砂糖はやや値がはるもの”ということを知っていました
またカウンセラーは、お母さんが砂糖を買うだけのお金がある事も会話の中から聞き取っていました
それなら、他の果物やさつまいもなど買う方が、程よい自然の甘さや栄養も摂れると考え提案したのです

(私は、なぜおやつに砂糖水が出てきたのかその時分かりませんでしたが、他のTICOスタッフに聞くと、
村では、砂糖をカラメル状に焦がし湯で割ってお茶として出すことがあるそうです) 

さて
去年の8月にカウンセリングスキル向上研修を終え、今はまだまだカウンセリングの基礎作りの段階です

しかし

このカウンセリングを通して、今まで子どもの食生活についてゆっくり話す機会が少なかったお母さん達が
正しい知識を持ち、実行できることを考える時間にしてくれれば良いなと思います

 
(自分の育児経験も話しながら、カウンセリングするフロリダさん)


(穏やかな物腰で、お母さんの話をいつも最後まで聞くマイクさん)

文責:ザンビア事務所(インターン山崎)

2月の地球人カレッジ♪

2015年02月23日 | 地球人カレッジ

*テーマ:「国内での国際協力を考える」
*日時:2月21日(土)19時~21時
*場所:さくらcafe *参加人数:17名
*発表者:多田 恒雄さん(アムネスティ・インターナショナル徳島グループ)
     アフマド エルマホーミーさん(徳島大学大学院生)



※画像をクリックすると拡大します。

2015年第一回目の地球人カレッジを、先日21日にさくらcafeにて開催しました♪


今回は、アムネスティ・インターナショナル徳島グループの多田 恒雄さんとエジプト出身のアフマド エルマホーミーさんをお迎えし、『アラブの春とアムネスティのかかわり』というテーマで、開催しました。

内容に入る前に一つ、みなさまに質問です。


◯◯の春と聞いて、どのような情景を思い浮かべますか?


せっかくなので、国語辞典をひいてみました。
新年、思春期、人生の中で勢いの盛んな時期etc...といった言葉が並びます。

他にも、をすると、よく「私にも春が来たのよ。」なんてことを言ったりもしますよね(笑)


しかしながら、今回のテーマにも入っている春という言葉は、'革命’とか、’抗議運動’という意味があります。
それは、 西洋では抗議運動のことを春と呼ぶ習慣があるからです。
アラブの春は英語のArab Springを訳した言葉だったのです。



それでは本題に移ります。 アラブの春は、2010年から2012年の間にアラブ諸国で起きた、政府への大規模な抗議運動のことを指します。

発端は、チュニジアで起きた、青年の焼身自殺でした
失業中の青年(ムハンマド・ブーアズィーズィーさん)が、路上で青果を売っていたところ(違法)、政府に取り締まりを受けてしまいました。
その後ブーアズィーズィーさんは、政府への抗議の意で、焼身自殺をはかってしまったのです。

ちなみに、違法とは言えども、その当時、食べ物を買うお金がなく、生きていくために隠れて路上販売をしている青年が沢山いたそうです。。。



ブーアズィーズィーさんが命を落とした事件の直後、彼の母親が、彼の焼死体を写した写真をフェイスブックに投稿し、政府への抗議の声が全国へと拡がりました。


イスラム教の教えでは、焼身自殺は2つの教えを破る行為にあたります。
タブー1:自殺
     (自爆テロはジハードと呼ばれ、聖戦とみなされるためタブーに該当しない)

タブー2:身体を焼く
     (来世に生まれ変わるか地獄へ行くかという判断がくだされる審判の日に、蘇ることができなくなる=神への侮辱)


抗議の声が拡がったのは、ブーアズィーズィーさんが、自ら上に挙げた2つのタブーを犯すことで、政府に抗議を起こしたからです。


抗議に賛同した若者たちは、インターネットを介してデモを起こすなどし、たった1ヶ月足らずでチュニジア政権が崩壊しました。
なんと、この抗議運動の参加者の約半分が30歳以下でした(今の日本では考えられません・・・)。


チュニジアの青年たちが政権を打倒したことを受け、周辺国は一気に反政府派が勢いづき、若い人を中心とした抗議運動が急激に拡大していきました。


そして、エジプト、イエメン、リビアの3国も、政変が起こったのです。


今回のスピーカー、エルマホーミーさんは、「(エジプト内で)抗議運動が起こった最初の日は、ただ驚いただけだった。2日目、3日目と爆発的に抗議運動が広がっていった。」と当時の状況を語っておられました。





23,30,33,42





みなさん、これらの数字は何を指しているでしょう?




答えは、独裁政権下に置かれていた期間です。


チュニジアは23年間、エジプト30年間、イエメン33年間、リビア42年間、それぞれ一つの政権に支配されていました。
何十年もの長い間独裁政権の下に暮らしていた市民が、政府への不満を抗議運動で示し、政権を打倒すること。これは、人として当たり前に起こす行為のようにも思えます。



しかし、重要なのは、政権が交代してからです。



ここからは、実際エジプト内でのできごとを、エルマホーミーさんのお話を中心に書かせていただきます。


エジプトでは、ムバラク元大統領が辞任した後、国民による公平な選挙により、新しくムルシ大統領が立ちました。
ムバラク政権時では、政府に対し、公に意見をすることができなかったり、抗議の声を挙げても、全く耳に入れてくれない状況でした。

エルマホーミーさんによると、「エジプトは天然資源が沢山あるのにもかかわらず、市民にはその恩恵がほとんどなかった」そうです。
さらに、沢山の市民が一週間の生活をまかなうのも大変な状況にありました。


一方、エジプト内で起きた革命(エジプト革命)後、ムルシ大統領率いるムルシ政権では、人々が自由に発言ができるようになりました。
テレビや新聞、ラジオなどのメディアでは、政府に対する不満をも、公に批判することができるようになったのです。
また、労働者の給料を上げたり、東日本大震災が起こった時には、国民から「助けに来て欲しい」との声を受け、実際に飛行機を出し、沢山のエジプト人が帰国しました。


しかしながら、事態は少しずつ悪い方向へと進んで行きます。


調べてみると、経済面、政治面、宗教に関する文化面など、情勢が悪化した要因は多岐に渡ります。
このブログでは、エルマホーミーさんがエジプト内部から感じた変化に焦点を当てることにします。


まず、エルマホーミーさんがお話してくださったのは、政府内の力関係を示すピラミッド。

頂点には大統領、その下に官僚が来ます(そして多分、その下に法的機関や警察が来るのかと。。)。
国民が参加した、エジプトでは初めての国民選挙でしたが、ピラミッドの頂点が代わっても、その下に居る官僚は以前と変わりません。
大統領の側近や新政策担当者が異なっても、話し合いの場に参加する人々は、以前と同様です。

その為、政府で働く役人は、政権が交代してからもムバラク政権時の安定を求め始め、大統領に対する反感を抱いていきました。
残念ながら、結果として役人達はボイコット運動を起こしてしまいました。

次第に国民からも、政府に対する不満が高まりました。
また、ムバラク政権下では、警察が国民を厳しく取り締まっていたことにより、反政府運動がある程度押さえつけられていましたが、ムルシ政権下で警察の力が弱まったことで、ムバラク政権を支持する国民による反政府デモが次第に大規模になってしまいました。

そして大変残念なことに、国民が起こすデモなどを抑止するため、政府は軍隊を出動させ、国民を力で押さえつけるようになりました。

その後情勢は急速に悪化し、選挙当選からわずか一年で、遂にムルシ政権は崩壊。
後に当時次第に力をつけていた軍隊のトップであったシシさんが、大統領を後任しました。

つまり、軍事政権になってしまったのです。

新しく大統領となったシシさんは、果たして国民を守れたのでしょうか?



シシ政権下での国内の状況を、エルマホーミーさんはこう語ります。

正直にお話すると、ムバラク政権時よりも、国内は混乱に陥り、国民の生活は苦しくなりました。
 あちこちで武力の衝突が起こり、本当に混沌としています。


先日、皆さんも御存知の通り、イスラム国(ISIS)が21人のエジプト人を拘束し、殺害する事件が起こりました。
 この事件を受け、エジプトはヨルダンに攻撃を開始しました。


ここにいる日本人の皆さんに質問があります。
 もし、仮に日本人が21人殺害されたら、殺害した人が居る国を攻撃しても良いのでしょうか?
 
 いけませんよね。


しかも、ヨルダンには200万人ものエジプト人が生活しています。
 自分の国民が傷つくかもしれないのに、どうして攻撃ができますか?


現在エジプトでは、ヨルダンとの戦争が始まろうとしています。いや、既に始まってしまいました。
 私は、とても悲しいです。


今回の地球人カレッジの参加者全員が、重いため息を吐き、国内のニュースで耳に入る情報の少なさに驚きました。




質疑応答の時間にこんな質問が出ました。
 Q:革命が起きて良かったと思いますか?
 エルマホーミーさんの答え:いいえ、思いません。ムルシ政権で少し人々の生活が良くなりましたが、今は政府に楯突くと、殺されるか、逮捕されるか、または怪我をするかです。海外メディアの情報は全てブロックされています。
 この状況下で、どうして「良かった」と言えますか?

 今、アラブの春で政権が代わった国々では、国内が混乱に包まれています。ちなみに、一番情勢が安定していると思われていたチュニジアでは、最近、革命前の政権に戻ったそうです。

 ピラミッドの頂点である大統領が代わっても、その下層が代わらないと何も変える事ができない。エジプトでは、ムルシ元大統領について来る人間が居ませんでした。下層のお役人は、ムバラク政権時の方が良いと考えたのです。自分たちの生活環境を維持したかったのです。                                          



先に、独裁政権に対する抗議運動は、人として当たり前の行為かもしれませんと、述べました。
しかし、抗議運動で政権が代わったにも関わらず、国内は混乱に陥り、その後のシシ政権では、人々は表現の自由さえも奪われてしまいました。


人権、という言葉がありますが、抗議運動も人の権利として国際的に守られるべきものと捉えられています。
このように、人権を脅かされ、海外へ逃げようとする難民が、後を絶ちません。



その人権を守る活動をされているのが、今回のもう一人のスピーカー、多田さんが所属されている、アムネスティインターナショナルです。

今回多田さんからは、表現の自由、アラブの春が起因となり発生した避難民のお話、武器の取引に関するお話がありました。


日本では、欲しい物がお金を出せば手に入ります。水も蛇口をひねったら出てきます。電気もスイッチ、トイレも水洗。
その日本に、シリアから難民がやってきました。


シリア紛争開始から2013年末までに、52名。


しかし、その52名全員に日本は受け入れを拒否しました。
シリアに帰国することで、銃弾で殺されてしまうかもしれないにもかかわらず。




その上、現在の日本政府は、武器の輸出さえも視野に入れています。


「豊かさ」とは一体何でしょうか?
また、アラブの春という抗議運動や、その後に起きた混乱はヒトゴトなのでしょうか?




日本は、選挙に行かない人が沢山居ます。
この『選挙』という多数決は、民主主義国家において、一人ひとりが国の形を決めていくお仕事ではないでしょうか。


原発にせよ、憲法改正や武器の輸出にせよ、今の国内の政治がどう動いているのかに無関心でいては、一部の上層部によってコントロールされる社会が近い将来訪れるのではないでしょうか。その時、大規模な抗議運動を起こしても、もう既に手遅れになってしまうかもしれません。

国内で何が起きているのかを見つめること、そして将来の我々の社会の形を考えること、この大切さが今回の地球人カレッジで感じられたのではないかと思います。


最後に、
自国で起きている問題を、包み隠さずにお話していただいたエルマホーミーさんに感謝を述べたいと思います。
ありがとうございました。






次回の地球人カレッジは、帰国直後のザンビア駐在員からの帰国報告です♪詳細はこちら・・・
お楽しみに




文責:事務局(柳下優美)





チサンバ郡総合的な農村母子保健を支える"地域力"強化事業 ~NHC編

2015年02月22日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所 瀬戸口です。


最近ふと、2014年4月から実施している母子保健プロジェクトについて
このブログで報告していなかった!と気づきました。。。
※プロジェクトの概要はこちらをご参照ください。


この母子保健プロジェクトの目的はずばり!


総合的な母子保健サービスを支える地域保健システムが持続的かつ有効に機能するための基盤が強化されること


・・・ですが、文字が多すぎて何のことだか分からないですよね。


ざっくり言うと、母子保健サービスを支えるシステムを強化します、ということです。

システム強化
それは関わる人々の能力を向上させることです。
ただし、あくまでも「システム」ですので、特定の個人に過度に依存するのではなく、
関わる人間が入れ替わっても、組織として機能し続けることが重要です。
「人づくり」のち「組織づくり」と言い換えられるかもしれません。


ザンビアで、母子保健サービスを支えている、「組織」とは具体的に何か?

いろんなレベルでいろんなアクターが関わってはいますが、
このプロジェクトで焦点を当てているのは次の3者。

- 郡保健局
- ヘルスポスト
- 住民保健委員会(Neighbourhood Health Committee: NHC)

です。

郡保健局とは、チサンバ「郡」で保健医療サービスに関わるお役所。
ヘルスポストとは、実際に住民に保健医療サービスを提供している公立診療所。
郡保健局の管理のもと、ヘルスポストは運営されています。

ただ、ヘルスポストだけでは予算も人でも限られていて、
地域に十分なサービスを提供することはできません。

そこで大事になってくるのがNHCと呼ばれる住民保健委員会の存在です。

例えば、このブログで何度も取り上げている出張健診(体重測定)。
2/7 ザンビアの子どもたちが健康に育つために
5/1 ザンビアの子どもたちが健康に育つために 2
8/23 カウンセリングってなんだろう?
1/15 カウンセリングってなんだろう part2

これは、ヘルスポストが地域に「出張」し、母子の「健診」を行うのですが、
地域での受け皿がNHCであり、NHCの協力なしにはこの出張健診もままなりません。
※他の記事で「ボランティア」と書かれることもありますが、それは「NHCの一員」とイコールです。

出張健診の内容はヘルスポストによって異なるようですが、
モンボシ地域では、
<こども(5歳未満児)向け
体重測定から体重増加不良児・低体重児へのカウンセリング、予防接種、健康教育
<おかあさん向け
妊婦健診、家族計画(避妊)、健康教育
と盛りだくさん。

子だくさんのザンビアでは、この1回に健診に来る子供の数は30人から130人。
でも、ヘルスポストから出張してくるスタッフはたった一人
NHCメンバーが、これらサービスの実施を手伝うことでようやく成り立っているわけです。


NHCの出番は出張健診だけではありません。
地域の健康を守るため、さまざまな機会で健康に関する知識向上(健康教育)活動を行っています。

・妊娠が分かったら、すみやかに健診へ。
・お産に向けて事前に準備をして、施設で安全に産もう。
・蚊帳の下で寝よう(マラリア予防)
・水は煮沸して飲もう。
・トイレの後や食事の前は手を洗おう。  などなど。

上の二つのメッセージは、ヘルスポストが提供するサービスへの需要喚起(受診促進)とも言えますね。
必要な人たちに必要なサービスを届けるためには、これも大事な活動。


でも、これほど大切な役割を担っているにもかかわらず、これらの活動に報酬はありません。
すべてが無償の活動です。

いまだに私自身、不思議に思うのですが、
自分の生活だって大変なはずなのに、地域のために無償で働く人々がそこにはいるのです。


だからこその問題があります。
・人の入れ替わりが激しい(無償ですから)
・なのに、新人教育(サービス提供に必要な知識と方法の伝達)が確立されていない
・よって、よくできる或いは経験豊富な人間の個人プレーによって支えられており、その人間が抜けると一気に崩れる。
・NHCの活動範囲は、ある程度固定化しているのに、やり方が定まっておらず無駄が多い。
・ルーチンをルーチンで回せない。


そもそも国がNHCの役割や機能を具体的に定義していない、という根本的な問題もありますが、
実際にNHCは活動をしているわけで、現実的なところからNHCが個人依存から抜け出し
組織として機能するように手助けをすることが、地域での母子保健サービスを提供するシステムの強化であり、
それは必要なサービスが必要な人たちに届くために不可欠な働きかけであると考えます。


ということで、このNHCを組織として強化していくこと、それが本プロジェクトの大きな柱です。
このプロジェクトにはあと2つ、大きな柱がありますがそれはまた後日。


ちなみに、NHCは国の保健医療制度に組み込まれた末端組織でモンボシに特異な組織ではありません。
(なのに国はNHCの役割や機能を具体的に定義していないのですね)

でもNHCのメンバーはヘルスポストや郡保健局が任命するのではなく、地域住民が選ぶ、ということになっています。
現実的に、広大なエリアをカバーするヘルスポストや郡保健局には選びようがないですし、
近所の人がどんな人かは、地域の人が一番知っているので、それは納得でしょうか。

ただ、地域住民がNHCの活動というものをきちんと理解していないと、とんちんかんな人事になってしまうのも事実。
例えば、文字の読み書きが出来ない人や、無償活動ということを理解していない人が選ばれてしまって、
NHCの活動が十分に行えないという話はよく聞きます。

なので、上で、
- 郡保健局
- ヘルスポスト
- 住民保健委員会(NHC)
の3者にこのプロジェクトの焦点は当たっている、と言いましたが、
「地域住民」のNHC理解度を上げていくことも、NHCの強化には不可欠な要素と言えます。


最後に、、、
このプロジェクトで謳っている「地域力」とは何か、についてお伝えして、今回の記事を締めくくりたいと思います。

英語ではCommunity Enpowerment:コミュニティ・エンパワーメント、と表現しています。


日本語でうまく解説しているウェブページを見つけられなかったのですが、
私が好きな定義は;
process of enabling communities to increase control over their lives
”コミュニティが自分たち自身の生活をよりコントロールできるようになっていくプロセス”
というものです。


自分たちの生活に影響を与える要素や決定を自分たちでコントロールできる度合いが増えていくこと、それがエンパワーメント。

これって、ザンビアとか途上国とかに限った話ではなくて、

自分たちの生活を、自分たちの手の中に取り戻していくこと
これは、今の日本でも大切なんじゃないかな、、
私たちは自分の人生にとっての大事な決断を、あまりに他人に預けすぎではないかしら。。。。なんてね。


このプロジェクトはNHCという地域に根付いた組織(人の集まり)を強くしていくことを通して、
地域住民が自らの健康を、自らの手で守っていけるようになることを最終的には目指しています。

それは決して、診療所に頼らない、ということではありません。
診療所が提供するサービスをただ疑問も持たず受けるだけ、という状態を抜け出すということです。
例えば、日本ではインフォームドコンセントとか、セカンドオピニオンがかなり当たり前の概念になってきましたね。


自分たちが生活を送る上で必要な知識と意識をもち、
変化が必要な場合は、その必要な変化を自ら起こせる自信と行動力を持つこと。


ちょっと野望的すぎるかなーと思いつつ、
でもそこが草の根で活動するNGOが目指す先だと私は信じています。


文責:ザンビア事務所(瀬戸口)