ご報告が遅くなりましたが、カンボジア事務所で実施しているJICA草の根技術協力事業「プノンペン市西部地区の低所得者層の人々の命を守るセーフティーネット強化事業」に基づく救急対応ガイドラインが完成し、全国配布が終了いたしました。
このガイドラインは、診療所レベルで必要な救急対応能力を身につけるべく、高度な資機材をできるだけ使用せずに傷病者に対して救急処理を実施し、症状に応じて次レベルの医療機関へ転送を迅速に行うことを目的としたクメール語版救急対応ガイドラインです。全体が25章で構成され、外傷や感電、水難事故、喉に物を詰まらせた患者の対応、心臓発作などの応急手当の方法が記載されています。
ガイドラインの配布先については当初からの計画にあった、Operational District (保健行政区), Referral Hospital(転送病院), Health Center(診療所)に加え、保健省側から要望のあった、各州の警察局も対象としました。これは、保健省が今年度、警察交通課や警察医務官を対象とした初期救急対応トレーニングを行っていることと、彼ら事故の際、第一対応者となり応急処置が求められるため、その能力向上を見込み配布しました。
全国配布は、執筆を担当したテクニカルワーキンググループメンバー2名1組が全国20州4特別市をまわり冊子を届けるとともに、各州担当者へガイドラインの作成目的や活用方法、州内での配布についての説明及び各地域のおける現状についての聞き取り調査や今後の活動方針(今年度や次年度以降のトレーニング実施計画等)について意見交換をするガイダンス形式で進められました。我々も実施状況を確認するため5州同行しました。(コンポントム州、プレイベン州、コンポンチャム州、カンダール州、スバイリエン州)
そのうちコンポントム州では、ガイドラインを使用した州内の医療従事者を対象の初期救急トレーニングを行う計画があり、その際に州内の対象機関へは一斉に配布する計画だというお話でした。対応した州保健局長は、「平易な表現を用い、写真が多く使われており大変わかりやすい。多くの人に活用してもらうためぜひ増刷してほしい。また今後、数年毎に改訂版を出してはどうか。」という意見があり、このガイドラインに対する関係者の期待は大きいと感じました。
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カンダール州保健局にて
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コンポントム州保健局前でTWGメンバーら
文責:TICOカンボジア事務所(下地)