ヤマトホールディングスは中国のインターネット通販大手の京東集団(JDドットコム)と組んで、日本企業がネット通販で販売する商品を中国全土に向けて配送するサービスを2018年中に始める。日中間のネット通販のインフラをつくり、先行する日本郵便に対抗する。日本のネット通販の中国展開を後押ししそうだ。
25日に京東と包括的な連携契約を結んだ。京東は中国のネット通販でアリババ集団に次ぐ2位。中国全土を網羅する配送網を持つ。
まず、ヤマトはネット通販を手掛ける日本企業に対して日本から中国全土に商品を送れるサービスを提供する。ヤマトが日本から中国までの輸送を手配し、中国内は京東の配送網を活用する。通関業務の分担は今後詰める。従来はヤマトが自前の配送を持つ上海と香港など一部地域にしか宅配できなかった。
ヤマトは中国人が日本の通販サイトで購入した商品を、日本から中国全土に送れるようになる。日本製の化粧品や食料品は中国で人気が高く、日本の大手企業は中国の通販サイトに出店して販売を伸ばしている。ヤマトと京東のサービスを使うことで、中国の通販サイトに進出していない日本の中小企業などでも、中国向けに商品を販売できるようになる。
ヤマトは京東の配送のサービス向上も支援する。保冷配送サービスの運用方法などを助言し、中国内でも配送の品質を保てるようにする。京東は日本の生鮮食品などを取り扱いやすくなり、ネット通販事業の拡大につなげる。
経済産業省によると、日本から中国向けのネット通販の市場規模は16年に前年比約3割増の1兆366億円。20年には1兆9053億円とほぼ倍増すると試算する。
人手不足で人件費が高騰する日本は宅配便事業の収益が厳しい。ヤマトは配送単価の高い海外向けの物流を成長分野と定める。従来は海外に現地法人を設けて自前の配送網を築いてきたが、現地企業との連携で海外展開を加速する方針に転換。1月にはタイの素材最大手サイアム・セメント・グループと組んで同国内で宅配便事業を始めた。
ただ、競争も激しい。日中間の輸送は国際郵便を手掛ける日本郵便のシェアが高い。10月には中国の宅配大手、申通快逓と連携して割安に配送できるサービスを開始。日本通運もアリババと物流分野で提携し、商品輸送や通関業務を一括で請け負う事業を展開している。×日経