1996年にアメリカで開始された三井物産の、機関車、車両リースは、途中、ジーメンスの車両リース事業買収なども含め、ロシアに到達した、世界では最大,GEに次ぐ?
三井物産、ロシアで鉄道車両リース事業に参画
2012.1.18 17:32
三井物産は18日、ロシアの新興財閥アイシーティーグループ(モスクワ市、ICT)と共同で、ロシアで鉄道車両リース事業に参画すると発表した。3月末にもモスクワ市内にICTと合弁会社を設立し、4月から事業を開始する。同国では貨物輸送に占める鉄道の輸送シェアが85%と高い。加えて、石炭や鉄鉱石など資源分野の貨物輸送が伸びており、今後も鉄道車両リースの需要拡大が見込めると判断した。
合弁会社の資本金は明らかにしていないが、両社が折半で出資する。事業開始当初の資産規模は貨車約1000両にあたる1億ドル(約77億円)。3年後をめどに5倍の5億ドルに増やす計画だ。ロシアにはトヨタ自動車や日産自動車など日系自動車メーカーの進出が相次いでおり、今後、増加が見込まれる自動車輸送の取り込みも目指す。
三井物産は1996年から米国で鉄道車両リース事業に参入。その後、欧州とブラジルでも展開している。これらの地域合計で保有する車両は機関車270両、貨車1万7000両にものぼり、国内の大手商社として最大規模。
アメリカから始まった三井物産の鉄道車両リースビジネス。ヨーロッパに進出したのと同じ2004年には、ブラジルにも新会社をつくった。ブラジルでは大豆や鉱物資源の輸出が盛んになってきており、また「環境にやさしい」ということもあり、アメリカやヨーロッパと同様に、鉄道輸送の需要が拡大。それに連動して鉄道車両リースも増えている。ブラジルではこれまで、たくさんのブッサン人たちが輸出などのビジネスを手がけてきたから、取引相手の会社からの信頼度も抜群だ。こうした実績をベースにして、リースビジネスを大きく成長させたいと、野瀬さんは考えている。
そして、胸に秘めた、もう一つの夢。それは、アメリカ、ヨーロッパ、ブラジルにつくった会社の外国人スタッフたちと一緒に、新しい国で鉄道車両リースビジネスを立ち上げることだ。「日本人のつくった会社だから、大事なことは全部、日本人が決める」という発想はない。MRCやMRCEの80名を超える外国人スタッフ全員が、会社を支える大切な仲間だ。野瀬さんは「彼らと共に苦労し、共にやりがいを感じ、共に喜びを味わいたい」と意欲に燃えている。未来ゆきの貨物列車には、ブッサン人の夢がぎっしりと積み込まれている。
こうした鉄道貨物輸送の需要を背景に、1996年、当社は北米貨車リース事業会社MRC(Mitsui Rail Capital)社を設立。商社ならではの金融、物流、情報技術の各分野を融合した、他に類のない総合的な鉄道オペレーティングリース事業を展開している。契約期間、貨車メンテナンス、列車スケジュール管理、出荷・在庫計画までも含む、各顧客のニーズに合わせてカスタマイズされた付加価値の高い鉄道リースサービスで他社との差別化を図り、貨車50両から始まったMRCは現在約1万両を保有、今後数年間で2万両規模に増やす予定だ。
鉄道車両リースで、EUの環境と産業に貢献する
2000年頃より、加盟国内での鉄道自由化政策を展開しているEUでは、需要増加に伴い民間の鉄道貨物会社が次々に誕生した。それに伴い、鉄道車両リースに対するニーズはどんどん高まっている。そこで三井物産では、アメリカで培った鉄道車両リース事業の実績とノウハウを活かし、新たな事業展開に向けて2004年にMitsui Rail Capital Europe B.V(以下、MRCE)を設立。現在はミュンヘンなどに拠点を構え、約70名の社員が在籍している。2006年にはドイツ・シーメンス社から鉄道車両リース会社を買収。リース・保守・運行管理の先進サービスを提供する会社として、高い市場シェアを誇る。
近年、鉄道輸送は効率性と環境保全の観点からますます注目が高まりつつあり、EUではCO2排出量をトラック輸送対比で8分の1にする鉄道輸送の活性化を推進している。MRCEは現地の鉄道会社や荷主と多数の取引を結ぶほか、EUの政策金融機関である欧州投資銀行から融資を受けるなど現地での評価は高い。また、リース会社でありながら欧州鉄道事業者団体・CER *に加盟するなど、地域に根ざした活動を展開している。
今後も現地企業との交流や地域貢献への姿勢を崩すことなく、三井グループの名を世界に発信するとともに、さらなる飛躍が期待されている事業分野だ。