カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

イル テゾーロ

2012年09月06日 | 京都
「味覚の、目覚め。」

2階に在ること、それが当初、この店のメリットでもデメリットでもある。
だが、広いとも狭いともつかないその急で独特な雰囲気の階段を登り、扉を開けて一度訪問したその後は、おそらくそのことは誰にとっても大きなメリットととなること、請け合いである。

外からはおおよそ窺い知ることのできないその2階の窓から、ちょっとこっそり見下ろす三条通りというのは、車両一方通行それゆえに、歩く人の絶えることのない賑やかな通りである。
遠からず近からず、道行く大勢の人々を心行くまで観察できる、そんな楽しみというのも、実際この店舗あってこそ、この立地ならではのもの、そう言い得えるメリットであることに、違いない。

シンプルで落ち着いてはいるものの、過度の気取りのないその店内は、どんな客層をも受け入れる包容力を感じさせ、且つ、自然と姿勢を正したくなるようなシックな雰囲気でもあり、しっとりと好感が持てる。

そして、ランチのメニュウには、単品のアラカルトは存在しないようで、それはやはり調理の都合によるものだろう。

数種類のパスタ・ランチしかメニュウにないことに、当初、物足りなさを感じはしたけれど、実際そのパスタを戴いてみて、充分なその料理の内容にむしろ納得し、夜のアラカルトに対する期待が膨らむ成り行きであった。

オイル・ベースと聞いていたトマト・ソースのパスタ、その、具材としてはかなり大きなスズキの切り身、聞かずに食べてそれが何という魚なのか、その種類が判る程に博識はないにせよ、これはかなり魚らしさが主張している、ちょっとめずらしいくらいに強い風味のパスタである。
さらに、はっきりとした形状を保ったままの沢山のケイパーが、噛み締めると奥歯で弾け、その酸っぱさが味覚に立体感を与えるその不思議。
休日に朝食抜きで出掛けて来て、まだはっきりとは目覚めていなかった寝覚めの身体が、その味覚によって、今まさに呼び起こされた、そんな格好である。

豚のラグー・ソースの手打ちパスタも、ミンチというにはかなりの大きさで、癖のある風味の肉塊が惜しげもなく其処此処に埋もれている。

おそらくはこのシェフの意図、その思う壺なのであろうが、これだけのパスタを戴いて、夜のアラカルトに興味の湧かないわけはない。
さて、いつその時が来るだろうか、少し涼しくなってから、是非その機会を窺ってみたい。

イル テゾーロイタリアン / 烏丸御池駅京都市役所前駅烏丸駅
昼総合点★★★★ 4.0