ザ☆シュビドゥヴァーズの日記

中都会の片隅で活動する8~10人組コーラスグループ、ザ☆シュビドゥヴァーズの日常。
あと告知とか色々。

カラオケのキー設定について

2014-05-03 23:37:35 | ヨン様
こんばんは、ヨン様です。


カラオケで異性のヴォーカル曲を歌う際に、原曲キーで歌って異様に高い(あるいは低い)と感じたことはありませんか?
今回はそんな問題に対する解決法をご提案いたします。
(たまには音楽団体らしいまともな記事を書こう・・・。)


①一般的な傾向

女性と男性の音域の差というのは、だいたい一オクターブくらいと思われています。
たしかに、声楽的にはだいたいそれであたっています。
しかし、実はポピュラー音楽においてはほとんどあたっていないのです。

では、実際に男女ヴォーカル曲でどれくらいの音域が使われやすいのかというと、

女性:真ん中のド~その一オクターブ上のド
男性:真ん中のドから五度低いファ~その一オクターブ上のファ

このくらいになっていて(注:統計をとったわけではありません!)、きれいなオクターブではなくおよそ五度のずれがあります。
これだけズレがあるわけですから、原曲キーのまま歌うと、女性が男性曲を歌う場合は下のファ(場合によってはその下)まで歌うことになり、「低すぎて歌いにくい」という事態が起こってきますし、男性が女性曲を歌う場合は上のドまで出さなければいけないので「高すぎる」ということになってきます。
なお、男性の場合女性曲を一オクターブ下で歌うことでなんとか男性の音域に収めることが出来ますが、最高音がドだと、低い声の持ち主以外はやや歌いにくいでしょう。
シュビのベースたるエスさんのような人であれば、原曲キーの女性曲を一オクターブ下げて歌うことが多いみたいですね。
セカンド・テノールの私にとって女性曲を原曲キーで歌うのはけっこう大変です。


②解決策=「±5」

上記のように、男女のヴォーカル曲はきれいに一オクターブの差があるわけではありません。
なので、原曲キーのまま歌ってしまうと「低すぎる」あるいは「高すぎる」といった事態が発生するのです。
では、どのようにこの問題を解決すればいいのでしょうか?
この音域の問題を解決するのが、ずばり後に紹介する「±5」です。
この「±5」がどんなものであるか、この後詳しく見ていきましょう。

カラオケのキー設定では、±1されるごとに半音(短二度ないし増一度)移調されます。
さきほど紹介したように、男女のヴォーカル曲にはおよそ五度の差があるわけですから、単純に考えれば「±7」という設定をすれば五度のズレを埋めることができるはずです。
しかし、ここで直面するのがキー設定の仕様の問題です。
カラオケのキー設定の限度は、多くの場合±6までです。
すると、「±7」というのは、理屈の上では考えやすいのですが、現実的にはほとんど使用できない解決方法ということになってしまうのです。

では、どのようにこの問題を解決すればいいのでしょうか?
そこで登場するのが「±5」です。
「±5」は、度数で言うと四度。
このままでは、四度上または下に移調されるだけで、五度のズレを補正できないように思われるでしょう。
しかし、四度音程は転回することで五度音程になります。
つまり、「±5」の移調をした上で、オクターブ下または上を歌えば、実質的に上下五度移調したことになるわけです。

すると、解決策としては次のようにするのがセオリーと言うことになります。

女性が男性曲を歌う場合:-5に設定し、一オクターブ上を歌う(実質五度上げて歌うことになる)
男性が女性曲を歌う場合:+5に設定し、一オクターブ下を歌う(実質五度下げて歌うことになる)

これでおおかたの曲は歌いやすくなるはずです。
「±5」がキー設定の鉄則だと言うことがおわかりいただけると思います。


③補足

・なぜ「±5」なのか
先ほど書いたように、五度の音程を調整するには「±5」の調整がベストです。
しかし、ここで「じゃあなぜ±6ではいけないのか?±6から半音しか変わらないじゃないか」という疑問がわきます。
結論から言って、音域的な面だけで言えば「±6」でもまったく問題ありません。
ではなぜ「±5」に強くこだわるのかというと、理論的に都合がいいからです。
「±6」というのは、度数で言うと「減五度(増四度)」。
つまり、「±6」で移調をすると、もっとも調性的に遠隔な位置にある調に移ってしまうことになり、もとの調と共通する音が七音中なんと一つになってしまうのです(!)。
それに対し、「±5」であれば、移調先は属調または下属調で、今度は逆にもとの調と共通する音が七音中六つもあります。
楽譜上で言うと、「±5」の場合はシャープかフラットが調号に一つ増えるだけで済むのに対し、「±6」の場合はシャープかフラットが六つもつくことになります。
これだけ共通する音が少ないと、かなり曲の印象が変わってしまう可能性があります。
したがって、「±6」よりも「±5」のほうが妥当だと考えられるのです。

・個々の楽曲による音域の差
①に書いた男女ヴォーカル曲の音域は、話を進めやすくするためのミスリードの側面もあり、もっと正確には男女ともにもう少し上下に広い音域を持っています。
多少広い音域である分には「±5」という調整法の大きな障害になりませんが、極端に音域が広い場合、あるいは、音域の範囲がかなり逸脱している場合には問題が生じてきます。
たとえば女性ヴォーカル曲で上のミを出すような場合、「±5」の補正をすると、最高音はラになります。
人によってはこれでも問題でありませんが、バリトンくらいの音域の方にはかなりたいへんな音です。
また、女性ヴォーカル曲で、ほぼ①に書いた男性の音域をもっているような曲もあります(たとえば、和田アキ子、中島みゆき、山本リンダなどの楽曲は、かない低い音域であることが多い)。
こういった場合は、補正をすると低くなりすぎてしまうので注意が必要です。
男性ヴォーカル曲の場合にも松崎しげるなどの高い音域を持つ歌手の楽曲を歌う際は、同様の配慮が必要になってきます。


さて、ここまでカラオケのキー設定として「±5」という方策を紹介してまいりました。
もちろん、「原曲キーでないと音がとれない」という人、あるいは絶対音感の人は、キーをいじってしまうとかえって歌いにくくなるということもあるでしょう。
しかし、慣れてしまえば自分が得意な音域で歌えるにこしたことはないわけです。
そういった人でも、今まで音域の問題を抱えていた場合は、ぜひ±5の設定を試してみてください。


それでは!

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