佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

新潟ユース合唱団2007について語る(その2)

2007年05月11日 23時42分38秒 | 合唱

 

 以前の記事の続きです。

 

 

・雨森文也先生を客演指揮にお招きした理由

 

 雨森文也先生は、一昨年の新潟での全国大会、

昨年の熊本と、CANTUS ANIMAEを指揮し、

立て続けに全国1位を獲得されており、

過去15回を越える金賞を受賞されています。

 

 私は、東京にいたとき、

この合唱団の最も初期、お世話になっておりました。

元来無愛想&人見知りな男で、雨森先生や団員の方々と

ものすごくコミュニケーションを取りたいと思いながら

上手く話せず、、、という感じでした。

 

 でも、練習は楽しみでした。

教会でのアカペラのアンサンブルは本当に楽しく、刺激的でした。

そして雨森先生の練習では、

合唱に対する熱い想いを強く感じました。

CAのサウンドは、アンサンブルを意識しつつも、

「何故歌うのか」「歌うこと」「表現すること」を

突き詰めた音が鳴っていました。

 

 で、新潟ユースですが、

昨年と違う形を、と思った時に、

これまで新潟の合唱団がほとんどしていない、

客演指揮者を招くこと、を考えました。

 

 数多いるどの合唱指揮者にオファーするか、

考えた結果、雨森先生に至った理由。

 

 まず、僕が東京のとき、

その練習に触れていたことがあります。

雨森先生の合唱にかける情熱を、

新潟ユースの団員に伝えたいと思いました。

 新潟の人は、元来大人しい傾向があると僕は思います。

昨年のサウンドに今年足したかったもの、

それが、「熱さ」であり、「表現への意欲」でした。

歌うことに心底向き合って欲しい、そういうことです。

たまたまCAの団員の方とその後繋がりがあって、

そういう経由で依頼し、お引き受けいただいたわけです。

 

 あと、日本語をしっかり歌えるようになってほしい、

ということです。

団を離れたあとも、雨森先生の演奏にたびたび接してきましたが、

とりわけ邦人作品の演奏について、

本当に素晴らしいと思っていました。

一言で言うと、日本語の歌わせ方です。

雨森先生からは、新潟ユースに対して、

選曲でそういった意図を示していただきました。

廣瀬量平の「海の詩」です。

「海はなかった」「海の匂い」などを含む、古典の名曲です。

この選曲については、団員へのアピールにおいて、

当初雨森先生と意見を交わしましたが、

私自身、雨森先生の意図を強く理解し、

団員と、この曲と、雨森先生の指導が、

これまでにない化学変化を起こすのではと、期待しています。

 

 あと、新潟にあまりゆかりのない人を招きたい、

そう思っていました。

具体的に名前を挙げて恐縮ですが、

新潟には結構、合唱指揮者が来ています。

合唱団「佐渡」や「弥彦」では、

田中信昭、栗山文昭、藤井宏樹、

新潟県の主催で行っていたアジアユース合唱団では、

田中信昭、松原千振、長谷川冴子、

いずれも日本を代表する合唱指揮者です。

そう考えた時、やっぱりこれまでと違うことをしたい、

そういう思いはありました。

で、日本は勿論、海外のコンクールで受賞歴があって、

現在もコンクールで金賞を受賞し、

多くの合唱団を指導されている、

そういう言わば「現役バリバリ」の指揮者、

で、新潟にこれまでゆかりが薄い人、

それが雨森先生でした。

新潟では、全国大会でりゅーとぴあに立たれましたが、

僕の知る限りでは、それ以外の新潟での記憶がなかったので。

 

 そんな諸々の理由から、

雨森先生にお願いしたわけです。

お引き受け頂いた事には、逆に大変な責任も感じています。

 

 

・その一方で考えたこと

 

 新潟という冠をつけているということは、

色々な理由がありますが、

新潟の合唱界に貢献したい、という想いが一番です。

つまり、新潟の合唱界に還元しないといけない。

そういった中で、

県外の力を積極的に利用することと、

県内の力も積極的に利用すること、

これを二本立てで、今後も行っていきたい、そう思っています。

で、昨年指揮をお願いした箕輪久夫先生に、

今年も継続して指導をお願いしました。

毎年メンバーが変わるという性質上、

変化と継続の両立が、重要になってきます。

で、客演という形での変化と、

顧問指揮者というかたちでの継続、

そういうスタンスをとったわけです。

県内外のあらゆる力をお借りして、

団員の諸々を育成すること、これは続けていきたい。

 

 

・新潟への貢献

 

 これは、非常に大きな課題です。

というのは、そもそもですが、

団員の掘り起こしということこそが最大の課題だからです。

 私が新潟で合唱活動をしていて強く感じたこと、

それは、若い人がいないという現実です。

簡単に書くと、

大学合唱団の意識や技術の育成、

高校・大学を卒業した団員たちの一般での継続、

になります。

というのも、

ユースのメンバーを大きく分けると二つ。

学生と一般になります。

で、学生はとりあえず現状いるので、そこへの働きかけを行う。

しかし、一般になると数が途端に減ります。

つまり、学生時代歌っていて、

今歌っていない一般が、実は結構いるのでは、ということです。

そういう人たちに、とりあえずユースという一時期だけでも

合唱に戻ってきて欲しい、そういう思いがあります。

勿論、学生や一般団体での継続があってのユースなので、

最終的にはこれらの団員が増えることが一番なのですが、

まずは、ユースをきっかけに、ということです。

そういう意味では、オーディションもないので、

ぜひ気軽に参加して欲しい、と思います。

 

 あと、今回から、

高校生も対象にしました。

つまり、一般に移ってからの掘り起こしとともに、

現在、学生団体で歌っている人たちが、

卒業したあともそのまま歌い続けて欲しい、

そういう気持ちを、学生のうちからユースで醸成したい、

そういう願いがあります。

団の普段の活動を超えて、

いろいろな人たちと一緒に歌い、音楽を創ることの刺激、

それを早くから味わって欲しいのです。

つまり、これも、両立ですね。

学生へのアプローチと、一般へのアプローチです。

 

 

・最後に厳しい現実も

 

 今年の活動を、昨年並みの活動内容にすることは、

僕は正直考えていませんでした。

新しいことを、刺激のあることを、と考えて、

こういう形に至りました。

ただ、一人でやっているわけではありません。

実行委員会を組織し、12名で動いています。

独善的にならない様に、ということです。

共感して頂いた方と一緒に進めています。

活動を何とか新潟へ広げていきたい思いです。

 

 しかし、今回の内容を見て、

尻込みする人がいるのも現実だと思います。

曲数や、練習回数、参加費など、

昨年とは大きく異なっています。

しかし、ここで声を大にして言いたいこと。

 

 

「迷っていたら、とりあえずやってみよう。

やってみてから考えよう」

 

 

 ということです。

 今回の試みは、ある意味冒険であり、試験的でもあります。

しかし、参加したいという気持ちが少しでもある方には、

可能な限りサポートします。

・参加費の分割納入

・音取りの補助

・練習会場への最寄駅からの送迎

などなど。

あと、短期間でないということは、絶対プラスになる。

月1~2回の練習は、普段の諸々の活動を損なわず、

その中で、練習や本番に向けて、

曲にじっくり向き合う時間が持てます。

音取りが苦手な人、スケジュールの微妙な人、など、

6月から11月までのスパンで取り組めば、きっと大丈夫です。

可能なサポートは、皆で行っていきます。

 

 長くなりましたね。

不安や現実の厳しさも分かった上での挑戦です。

とにかく、一緒に歌う仲間を増やしたい。

昨年参加した人も、

今年考えている人も、

ぜひ、一度一緒に歌いましょう!

絶対に多くのものを得られると思います。

今からでも遅くないです。

興味を持った方は、

このページから新潟ユースのHPへとんで下さい。

要項があります。

待っていますよ!