プリペイド式携帯電話、最低1400円で販売

　「住民登録番号は不要。お金さえ払えば携帯電話売ります。まず選んで下さい」

 

　今月25日、ソウル市鍾路区のある携帯電話販売店の前には「不法滞在者、多重債務者にも携帯電話を売ります」というプラカードが掲げられていた。店の前では、東南アジア出身とみられる1人の男性が携帯電話を選んでいた。

 

　店主のK氏（56）は「身分証明書などは一切不要。ここで携帯電話を買う人たちは、通常の手段で携帯電話を買えない人たちだから」と話した。一方、この店でプリペイド式携帯電話を購入したフィリピン人の不法滞在者（33）も「われわれも携帯電話が必要だが、ここで買えば身分がばれないから、都合がいい」と話した。

 

　ソウル市中心部に、プリペイド式携帯電話だけを専門に扱う店が増えている。プリペイド式携帯電話とは、通話料を先に払って使用する携帯電話で、主に短期間韓国に滞在する外国人や、携帯電話の基本料金などを節約しようという人たちが使用する。

 

　プリペイド式携帯電話を利用する場合、まず2万－30万ウォン（約1400－2万500円）を払って、流行が終わった古い携帯端末を購入した後、あらかじめ通話料を支払う。最近はスマートフォンも少なくない。本来、プリペイド式携帯電話も、申込書に購入者の個人情報を記載し、これを携帯電話会社に登録して使用しなければならない。ところが、これを守っている販売業者はほとんどいない。プリペイド式携帯電話を購入する人の大部分が、身分を明かすことができない不法滞在者や多重債務者だからだ。販売業者は、以前プリペイド式携帯電話を使用した外国人やホームレスの名義を使い、プリペイド式携帯電話を販売している。このため、携帯電話会社も販売業者を管理するすべがない。

 

　このため、プリペイド式携帯電話は犯罪にも利用されている。警察の関係者は「数台のプリペイド式携帯電話を使い回した場合、追跡が事実上不可能だ。プリペイド式携帯電話に対する管理・監督をより厳格に行う必要がある」と指摘した。