5年ほど前から、でしょうか。
韓国社会では、「孝道契約書」というものが話題になっています。
そのままの意味で、親が子に財産を贈与する条件として、子の親孝行を契約として強制できるようにしておくことです。
『朝鮮日報』の「親孝行しろ、家をやるから」という記事(2018年11月17日)によると、「大手法律事務所の場合、財産の相続関連で法律事務所に相談に来た高齢者の3~4割は孝道契約書の作成を贈与の条件にしている」とされています。
「孝道」(親孝行)と「契約」という二つの言葉は、ある意味、真逆のものです。
親孝行をするか、しないかの問題ではありません。
するにしてもしないにしても、それは「契約」でどうにかするものではないからです。
契約するくらいなら、親と子である必要があるでしょうか。
単に「親孝行します」「親を扶養します」と書いただけでは、契約書としての、いわば法律的な効果は期待できません。
なぜなら、単に「親孝行します」だけでは、どこからどこまで親孝行なのかは確かではないからです。
そんな生ぬるい書き方では、いざという時に子を告訴して民事訴訟を起こすことができません。
「一ヶ月に小遣い(親の生活費)を◯万ウォンずつ差し上げます」「同じ家で扶養し、アンバン(もっともいい部屋)を親が使うようにします」「年◯回の旅行費用を出します」など細かく書かないといけません。
それでこそ契約を違反したか、しなかったかをハッキリ判定できます。
ここまで細かく書いてそのまま守ってもらうなんて、親と子の間でこんな契約が流行る国は韓国しかありません。