『パリタクシー』(2023.3.25.オンライン試写)
無愛想で不機嫌なタクシー運転手シャルル(ダニー・ブーン)は、金も休みもなく、免停寸前で、人生最大の危機に陥っていた。
そんな中シャルルは、老人ホームに入所する92歳のマドレーヌ(リーヌ・ルノー)をパリの反対側まで乗せることになる。ところが、マドレーヌは、次々と寄り道を依頼。そして寄り道をするたびに、マドレーヌの壮絶な過去が明らかになっていく。いつしかシャルルはマドレーヌに親しみを覚え始めるが…。
監督・脚本は『戦場のアリア』(05)のクリスチャン・カリオン。マドレーヌを演じたルノーはフランスの国民的シャンソン歌手だという。
「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」「アット・ラスト」「ディス・ビター・アース」といったスタンダードの使い方を見ると、なるほど『戦場のアリア』の監督の映画だと思わされた。
仏頂面のシャルルの表情が、マドレーヌと触れ合ううちに段々と柔和なものに変化していくのが見どころ。パリの名所巡りもできる、いわゆる“ちょっといい話”なのだが、ラストの処理がいささか唐突な感じがしたのが残念だった。
タクシーの運転手と乗客の交流を描いた映画はたくさんあるが、ジム・ジャームッシュ監督の『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)や濱口竜介監督の『偶然と想像』(21)の挿話が印象深い。
また、タクシーではないが、車の運転手と乗客の交流の話としては、『ドライビング Miss デイジー』(89)と『ドライブ・マイ・カー』(21)が思い出された。
『戦場のアリア』ポール・マッカートニーと映画
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