スティーブン・スピルバーグ監督の『フェイブルマンズ』は試写で見たのだが、主人公のサミーが、デビッド・リンチ扮するジョン・フォードと対面するラストシーンについてはかん口令が敷かれていた。
あのシーンこそがこの映画の核なのに、それが語れないとなると、どうしても奥歯に物が挟まったような物言いになり、悔しい思いをしていたのだが、公開されてからほぼ10日がたったので、そろそろ記してもいいかと思う。
実は、あのシーンは実話で、ピーター・ボグダノビッチ監督のドキュメンタリー映画『映像の巨人 ジョン・フォード/DIRECTED BY JOHN FORD』(71・06)の中で、スピルバーグ自身が証言している。
先にそれを見ていたので、『フェイブルマンズ』での再現シーンには、なるほどこの話をラストに持ってきたのかと思い、ぞくぞくさせられたのだ。
考えたら、『フェイブルマンズ』の途中にはフォード監督の『リバティ・バランスを射った男』(62)が映り、サミーが作る西部劇のバックには『荒野の七人』(60)の音楽が使われていた。西部劇ファンの一人としては、そういう場面も楽しかった。
『映像の巨人 ジョン・フォード/DIRECTED BY JOHN FORD』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/74bf8937964f85eb17613a63f16affa7
【ほぼ週刊映画コラム】『フェイブルマンズ』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5c817da29b031865f11fd7193c403bba