『高瀬舟』(88)
罪人を遠島に送るため、京の高瀬川を下る舟に、喜助(岡田吉弘)という男が乗せられた。護送役の同心である羽田庄兵衛(前田吟)は、喜助に屈託がないことを不審に思い、訳を尋ねる。すると喜助は、極貧の生い立ちを語り、体が不自由になった弟が自殺に失敗し、苦しむ姿を見かねて殺したことを打ち明ける。果たして喜助の行為は殺人なのか…。
安楽死と貧困の問題を問う、森鴎外の原作を中編映画化。監督は工藤栄一、脚本は松山善三、製作・音楽は木下忠司。ナレーションは市原悦子。
どういう経緯で作られたものなのかは分からないが、必殺シリーズを手掛けたスタッフが参加し、東映京都撮影所で撮られたのだという。それ故、今の時代劇とは違って格調が高く、セットも立派。高校時代に読んだ原作をもう一度読んでみようかという気になった。