『エッフェル塔~創造者の愛~』(2023.3.6.オンライン試写)
ニューヨークの自由の女神像の骨組みを制作して名声を得たギュスターブ・エッフェル(ロマン・デュリス)は、あるパーティの席上で、大臣から3年後の1889年に開催されるパリ万国博覧会のシンボルモニュメント制作のコンクールへの参加を要請される。
初めは乗り気ではなかったエッフェルだが、友人で記者のレスタック(ピエール・ドゥラドンシャン)の妻アドリエンヌ(エマ・マッキー)から、作品を見てみたいと言われ、パリの真ん中に高さ300メートル、100パーセント鉄製の塔を造ると宣言する。実はアドリエンヌは、エッフェルにとっては忘れられない女性だったのだ。
エッフェル塔を設計した男を主人公に、塔が完成するまでの苦難の日々と、かつて別れた女性への思いを、創作を交えて描く。監督はマルタン・ブルブロン、音楽はアレクサンドル・デプラが担当。
エッフェル塔建設のスペクタクルとエッフェルとアドリエンヌとの許されない愛を、回想を交えながら並行して描いていくのだが、どちらも中途半端な感じがしたのは否めない。もっと塔が出来上がっていく様子が見たいのに、そこに挟まれる恋愛模様が邪魔をする。
例えば、これをハリウッドが描いたら、恋愛はほどほどにして塔建設のスペクタクルを重点的に描くのではないか。そこに過度な悲恋を入れ込むところが、良くも悪くも、いかにもフランス映画という気がした。
ただ、言葉ではなく目線で語る場面や、「女性を見るように塔を見る」というセリフなどが、フランス映画らしさを感じさせるとも思った。エッフェル塔の形はA、すなわちアドリエンヌを表すという解釈もロマンチックではある。マッキーのグラマーぶりにも驚かされた。
ロマン・デュリス『パパは奮闘中!』トークショー
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