田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『いちごブロンド』

2019-01-24 18:02:51 | 1950年代小型パンフレット
『いちごブロンド』(41)(1998.5.16.)



 “いちごブロンド”の髪の女性(リタ・ヘイワ―ス)に恋をした歯科医(ジェームズ・キャグニー)は、彼女にふられ、仕方なく別の女性(オリビア・デ・ハビランド)と結婚するが、いちごブロンドのことが忘れられない…。監督はラオール・ウォルシュ。

 憧れの女であるヘイワ―スが実は悪女であり、彼女にふられた腹いせに、半ば焼けになって結婚したデ・ハビランドが良妻だった、という逆説的な設定がこの映画の面白さの真骨頂であり、なかなかそこに気づかない主人公が、悲しくもおかしい男の愚かさを象徴する。思わず「いい加減に気づけよ」と言いたくなる。

 古き良きハリウッドのハートウォームコメディの一作。ギャングスターのイメージが強いキャグニーの別の面が見られるし、硬派監督のイメージが強いウォルシュにしても、珍しい一編と言えるのではないか。

ジェームズ・キャグニーのプロフィール↓


オリビア・デ・ハビランドのプロフィール↓


リタ・ヘイワ―スのプロフィール↓
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『幽霊と未亡人』

2019-01-24 12:06:57 | 1950年代小型パンフレット
『幽霊と未亡人』(47)(1997.2.3.)



 若く美しい未亡人ルーシー(ジーン・ティアニー)が海辺の一軒家に引っ越してくる。ところが、その家には、前の持ち主のグレッグ船長(レックス・ハリスン)の幽霊が出るのだ。だが、ルーシーは幽霊の脅しにも屈せず、一緒に暮らし始める。やがて2人は引かれ合うが…。監督はジョセフ・L・マンキーウィッツ。

 主人公の未亡人は絶世の美女ジーン・ティアニー! 相手役の幽霊船長は珍しく粗野なレックス・ハリスン。だが、粗野な中にも、時折品格を感じさせるところが彼の真骨頂。この、現実には決して結ばれないカップルのやり取りが、おかしくも切なく展開していく。恋敵役でジョージ・サンダースも登場する。

 いわば、この映画は『ある日どこかで』(80)の逆パターンの話だった。というよりも、『ある日どこかで』 がこの映画を大いに参考にしたのであろう。描かれた時代は異なるが、男女の設定を入れ替えると細部に共通点が多く、ラストシーンもそっくり。しかも、ヒロイン役のジェーン・シーモアは、この映画のティアニーをほうふつとさせるからだ。このあたり、あの映画の監督ヤノット・シュワルツに確かめてみたい気もするが。

 ただ『ある日どこかで』 と大きく違うのは、この映画では、2人の絆の構築が、一軒の家を媒介にして描かれる点だ。それ故、時の移り変わりが自然に描け、密度の濃い、深い恋愛劇として成立する。このあたり、またしてもマンキーウィッツのうまさにうならされた。所詮、こんな話は嘘なのだが、その嘘を、いかに夢も説得力もある話として見せるかが映画監督の腕の見せどころではないか。その点、この映画は満点に近いものがある。

ジーン・ティアニーのプロフィール↓


レックス・ハリスンのプロフィール↓


ジョージ・サンダースのプロフィール↓


All About おすすめ映画『ある日どこかで』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c0daf9574990b3b417ed4c1715b965ab  
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『先生のお気に入り』

2019-01-24 07:29:41 | 1950年代小型パンフレット
『先生のお気に入り』(58)(1992.6.20.)



 叩き上げの新聞記者ジム(クラーク・ゲイブル)が、上司からの命令で、市立大学で講演をすることになる。嫌がるジムだったが、担当の美人教授(ドリス・デイ)に惚れてしまい、生徒になりすまして学内に潜り込む。

 晩年のゲイブルはあまり作品に恵まれなかったと思っていたのだが、この映画はちょっと違った。いかにも叩き上げ、といった感じの新聞記者を見事に演じていたからである。しかも、相手役は不思議な色気のあるドリス・デイ。で、こちらが2人の恋愛模様をニヤニヤしながら見ていると、そこに、恋敵の教授役でギグ・ヤングが絡んでくるという具合だ。ジョージ・シートン監督の勘所を押さえた演出が効果を生み、落ち着いた感じの傑作コメディに仕上がっている。

 こうした叩き上げ対権威という図式は、ハリウッドのコメディ映画の常套手段であるが、その奥には、自由の国をうたいながら、権威や伝統に弱いという、“若い国アメリカ”の弱点が潜んでいるとも思える。それにしても、こうした能天気な楽しい映画の裏で赤狩りが行われていたとは信じ難いものがある。
 
クラーク・ゲイブルのプロフィール↓


ドリス・デイのプロフィール↓


ギグ・ヤングのプロフィール↓
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