田中雄二の「映画の王様」

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「2018年映画ベスト5」転載

2019-01-08 18:01:08 | 映画の森
「KyodoWeekly」12月24日号から「2018年映画ベスト5」共同通信のニュースサイトに転載。
https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2019-01-08_1961240/



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『死の谷』

2019-01-08 12:26:08 | 1950年代小型パンフレット

『死の谷』(49)(2010.7.18.)



 ラオール・ウォルシュ監督作を再見。原題は「コロラド・テリトリー」。全体が乾いた感じの西部劇になっているのは、ウォルシュの演出法に加えて、コロラドというロケ地の影響もあるのだろうか。列車強盗、逃亡、仲間割れ、心中と西部劇的な要素がてんこ盛りだ。

 淀川長治先生にインタビューした際に「日本人は心中ものが好きだから、この映画はアメリカよりも日本で受けたのね」とおっしゃっていた。今ならもっと心理描写が前面に出てきてややこしくなるのではないか。

 乗馬シーンなど、ジョエル・マックリーの西部劇的な身のこなしの良さが目立つ。バージニア・メイヨが演じたコロラドは鉄火肌という表現がぴったりの役だが、最近はこの言葉もあまり使われなくなったなあ。

ジョエル・マックリーのプロフィール↓


バージニア・メイヨのプロフィール↓

パンフレット(50・国際出版社)の主な内容
解説/梗概/ラオウル・ウオルシュ監督/表紙のスタア ヴァージニア・メイヨ

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『手錠のまゝの脱獄』

2019-01-08 09:18:52 | 1950年代小型パンフレット
『手錠のまゝの脱獄』(58)(1996.6.3.)

 真夜中、囚人護送車が転落事故を起こす。事故のどさくさにまぎれて白人のジャクソン(トニー・カーティス)と黒人のカレン(シドニー・ポワチエ)が脱走するが、2人は手錠でつながれていた…。



 20数年ぶりの再見、しかもスタンリー・クレイマー監督お得意のメッセージ映画という印象が残っており、今更どうかとも思ったのだが、これが大間違い。今回見直してみて、当時、中学生だった自分には分からなかった、この映画が持つ深みを知り、メッセージ映画でありながら、単に逃亡、追跡劇として見ても抜群に面白いことに気付いた。手錠でつながれた2人が逃亡する、というこの映画の設定が、日本の『網走番外地』「キーハンター」に流用されたのもその証拠だろう。

 もちろん、メッセージと娯楽性がうまくかみ合えば、その相乗効果は絶大なのだが、バランスの取り方が難しい。その点、この映画は手本と言っても過言ではないほど見事なバランス感覚を持っている。特に、モノクロの画面の中で、まさに黒光りするような存在感を示すポワチエがたまらなく素敵だった。



 この映画についてもっと知りたくなって淀川長治先生のテレビ解説を採録した『日曜洋画劇場』を読んでみた。すると、ラストの保安官(セオドア・バイケル)の笑顔の秘密に始まって、妙に色っぽくて気になったカラ・ウィリアムズの経歴、脇役ロン・チャニーJrについて、そして劇中でポワチエが歌っていた曲のタイトル(「ロング・ゴーン」)まで、こちらが知りたいと思ったことが全て語られていた。

 放送当時にこの解説を聞いていたはずなのに、何も覚えていない。そう考えると、まだビデオがなかった時代の“語り”を記録したこの本は貴重だ。そして、自分がこんなふうに愚にもつかないことを書いているのは、大事なことを忘れないためでもあるのだ。

スタンリー・クレイマー


シドニー・ポワチエ


トニー・カーティス


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