田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『六番目の男』

2019-01-09 12:49:15 | 1950年代小型パンフレット
『六番目の男』(55)(2008.7.28.西部劇研究会)



 先日のプレ上映会に引き続き、西部劇研究会主催の上映会へ。今回は、先ごろ亡くなったリチャード・ウィドマーク主演、ジョン・スタージェス監督の『六番目の男』。見逃していただけに楽しみにしていた。

 この映画の原題は「BACKLASH(反発、反動、もつれた糸とでも訳すのか)」。その名の通り、ミステリー仕立ての西部劇だが、巧みに撃ち合いを入れ込んだ見事なアクション、ロケを多用したロードムービーとしての面白さなど、ジョン・スタージェスらしいきひきびとした硬派の演出が随所に施されている。

 この映画の上映時間はおよそ1時間半。内容を入れ込み過ぎて整理がつかなくなり、ただ長くなるだけの最近の映画とは大違いだ。また、今回見たのは、テレビ放送時の吹き替え版だったが、プロジェクターを使った大きな画面で見るとそれなりに映える。やはり映画は大画面といい音で見なければダメだ。

 ウィドマークが出演した西部劇の私的ベストスリーは、これまでは『ゴーストタウンの決斗』(58)『ワーロック』(59)『アラモ』(60)だったのだが、いずれもロバート・テイラー、ヘンリー・フォンダ、ジョン・ウェインという大スターとの共演で、ウィドマークとしてはいささか損な役回りだった。その点、この映画はまさに西部劇スターとしてのウィドマークの面目躍如の1作。ガンプレー、馬の乗り方など、彼の身のこなしのカッコ良さを堪能することができたし、相手役のドナ・リードもなかなか良かった。

リチャード・ウィドマークのプロフィール↓


ドナ・リードのプロフィール↓


ジョン・スタージェスのプロフィール↓



 
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『ソローキンの見た桜』

2019-01-09 09:02:08 | 新作映画を見てみた
 日露戦争下、松山に実在したロシア兵捕虜収容所を舞台に、日本人の看護師ゆい(阿部純子)と、ロシアの将校ソローキン(ロデオン・ガリュチェンコ)の許されない愛を描く。基は史実とフィクションを融合させたラジオドラマで、惹句は「日露戦争時代のロミオとジュリエット」。



 監督・脚本の井上雅貴は、アレクサンドル・ソクーロフ監督の『太陽』(05)にスタッフとして参加し、ロシアで映画修業。先に自主映画の『レミニセンティア』(16)監督でデビューを果たした。また、この映画で収容所の所長を演じたイッセー尾形は『太陽』で昭和天皇を演じた。ロシア通の彼らが中心にいることが、この映画の強みだ。

 井上監督とは『レミニセンティア』上映の際に少し話をした。あの映画は、奥さんのイリーナさんがプロデュースし、娘の美麗奈ちゃんが重要な役で出演していた。いわば、ロシアを舞台に“家内制手工業”で作られた映画だったのだが、そこからこの映画のことを考えると、何だか旧知の人が出世したのを目の当たりにしたような気がしてうれしくなった。

 これは、デビュー作『フルートベール駅で』(13)の日本公開を前に、小さな試写室で少し話をしたライアン・クーグラーが、その後手掛けた『クリード チャンプを継ぐ男』(15)『ブラックパンサー』(18)を見た時の感覚に通じるものがある。

『レミニセンティア』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a2c6aee503d2791fdd5ab660086cda4b
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『怒りの河』

2019-01-09 07:27:54 | 1950年代小型パンフレット
『怒りの河』(52)(2008.9.18.)



 ジェームズ・スチュワート+アンソニー・マンが『ウィンチェスター銃'73』(50)に続いて撮った西部劇を再見。いわゆるオレゴン・トレイルの幌馬車を題材にしたロードムービーで、スチュワートが開拓団の道案内を演じる。タイトル通りに山河を舞台にしたロケーションが多用され、効果を発揮している。アーサー・ケネディの悪役ぶりが光る。

 蒸気船の船長と相棒の黒人のユーモラスなやり取りから、ジョン・フォードの『周遊する蒸気船』(35)を思い出した。もっとも、アンソニー・マンの西部劇はジョン・スタージェスなどと比べるとちょっとアクションに切れがない気がするのだが…。ところで、この映画のヒロインを演じたジュリー・アダムスは『大アマゾンの半魚人』(54)のヒロイン役の方が印象深い。



ジェームズ・スチュワートのプロフィール↓


アーサー・ケネディのプロフィール↓



アンソニー・マンのプロフィール↓


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