「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

思い出した評論家の言葉

2006-03-30 14:06:22 | Weblog
1965年 放送中止になった日本テレビのドキュメンタリー番組『南ベトナム海兵大隊戦記』を観る会がありました。
場所は川崎市市民ミュージアム
3月28日13時から
主催はミュージアムと民放シニアの会
協力 メディア総合研究所 日本ジャーナリスト会議神奈川支部。
   日本ベトナム友好協会川崎支部も協力してくれました。
ウイークデーの午後だったし 武蔵小杉からバスという条件でしたが 90人も参加してくれました。

このドキュメンタリーは 「ノンフィクション劇場」という枠で放送されたものです。
3部構成でしたが 1部が放送された途端 当時の内閣官房長官からの電話一本で 2部 3部が放送中止になったのです。
この日は 「総集編」としてまとめられたものの上映でしたが 肝心の 海兵大隊の兵士が「切り落した少年の首を放り投げる」場面は入っていません。どうやら日本テレビが出さなかったようです。
元日本テレビ報道局の河野慎二さんの報告で カメラマンは石川文洋さんだったことがわかりました。
元TBS報道局の諌山 修さんが 「ハノイからの証言」報道がきっかけで降板させられた田 英夫さんのことなど 当時の放送中止事件について報告しました。
ぼくも発言をもとめられました。予定外だったのですよ。民放シニアの会の会長なものだから きっと司会(ミュージアムの学芸員濱崎さん)が気を遣ったのですかね。そんな必要はないのにね。
テレビの「フレームアップ」(視聴者の目を反らせる)について話しました。サッチー ミッチー騒動(1999年)のとき 日の丸、君が代法がアッという間に国会を通過してしまったこと。タマちゃん 白装束集団報道のとき 有事法が特別委員会で強行採決されたこと(2003年)など いつも喋っていることです。
またかと思った人もいるでしょうね。

上映されたものは もちろん白黒ですが 戦争の残虐性の一端を伝えています。

プロデューサーは牛山純一さん(故人)です。「ぎゅうちゃん」と呼ばれていましたね。
この番組が放送されたとき 「これで 日本のドキュメンタリー番組は終わった」といった評論家がいました。
「生首を放り投げる」場面の残酷さが 「ドキュメンタリー番組の自滅を招いた」というのです。
日本人は 残酷なのが嫌いなのでしょうか。事実をありのままに伝えるのを嫌うのでしょうか。いまもそうなのでしょうか。

外国の報道を見ていますと 残酷と思われる映像がたくさんあります。
文化の違い などと一言で片付けられるものではないとおもうのです。
「残酷」は わたしたちの周りにゴマンとあります。憲法 基地 社会保障など いまや「日本残酷列島」です。
直視しなければなりません。目をそむけてはなりません。

『南ベトナム・・・』のときの評論家の言葉を思い出し いまの日本のメディアの状況に想いを巡らせながら 武蔵小杉の駅前で(夕方7時までは半額という)ビールを飲んだのです。ジョッキで三杯 ビールをこんなに飲んだのははじめてです。