「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

ハインリッヒの法則 

2005-04-30 10:45:04 | Weblog
JR福知山線の列車脱線事故
ひどい
被害者 遺族のやりきれない思いが ひしひしと伝わってくる。

スピードの出しすぎが主要な原因のようだ。
一時 23歳の運転手に全責任があるかのような報道になりかかったが 一転した。
JR西日本の会社の「政策」に注目されはじめたのだ。

列車の運行については 一秒単位で報告しなければならなかったという。
違反者には「日勤教育」というのが待っているという。
草むしりやペンキ塗り レポートなどだという。「いじめ」だという。
運転手のプレッシャーは大きかっただろう。10万円の賃下げになることもあるという。

国鉄民営化による 人減らし「合理化」が実施されてから 久しい。駅のホーム要員がいなくなったのも その頃である。
「駅構内に入ったら 自分の命は 自分で守れ」ということになった。

今回の事故で JR西日本労働組合は「声」を出しはじめた。
それがきっかけで メディアも事故の背景に迫りはじめた。
いいことである。
だが 遅きに失している。
命に関わった時 はじめて大きく報道される。この国の特徴である。
「誰かが死ななければ動かないのか」という怒りが繰り返されてきた。

小説『沈まぬ太陽』のなかに 「ハインリッヒの法則」(安全工学)というのがある。
折に触れて紹介しているが あらためて書く。
「一つの事故が発生した場合 その背景には インシデント(事故)には至らなかった300のイレギュラリティー(異常)があり その陰には数千に達する不安全行動と 不安全状態が存在する」
というものだ。
JR西日本には このイレギュラリティ-があった。
会社が気が付くはずがない そうしなければ競争に勝てないからだ。勝つためには 人の命なんかどうでもいいのである。結果 多大な損失をすることになる。
JR西日本は それでもまだ気がついていないようだ。
指摘するのは 利用者 国民であり 労働組合であり メディアである。

言いたいことは
これはJR西日本だけの問題ではない ということだ。
テレビはどうか 競争〈視聴率)に勝つことだけを優先していないか。権力の側の顔色しか見ていないのではないか。
新聞はどうか 同じである。そうとしか思えない。

そして ハインリッヒの法則と 憲法九条である。
戦後 ジャーナリズムは「戦争のために 再び ペンを マイクをカメラを持たない」と決意した。
日本人310万人 アジアの人2000万人の命を奪った太平洋戦争の片棒を担いだことへの反省である。
いま 九条を変えたいと言う。教育基本法も変えて 日本を戦争ができる国にしたいという動きが急である。ジャーナリズムは メディアは 声をあげなければならないが もどかしい。

福知山線の場合 死者107人 負傷者460人。
戦争ができる国になったらどうなるのだろうか。失われる人命は どのくらいの数になるのだろうか。
九条を変えさせないというたたかいは 世紀の「ハインリッヒの法則」である。


視聴者 読者は ジャーナリズムを当てにしなくなりはじめているが 5月3日の憲法記念日には 日比谷公会堂は超満員 第二会場も人があふれた。
九条を変えさせたらどうなるかを懸念している人達である。「ここで立ち上がらなければ大変なことにな
る」と考えている人達である。

ドでかい「ハインリッヒの法則」ではないか。
憲法記念日の前後 メディアはどのような報道をしたのだろうか。
感想を寄せ合いたい。

メーデー。民放・関東シニアの会は 「平和のために カメラをマイクを ペンをもとう」という横断幕でデモ行進に参加した。
横断幕を掲げればいいということではないが 放送関係者のなかに 「九条を変えさせてはならない」という思いを抱いている者がいるということをわかってほしい。
小さな横断幕ではあったが 大きな「声」にしていきたい。
よろしく ね。