「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

自主規制はどこまでつづく?

2005-04-24 18:29:14 | Weblog
「マスコミ九条の会」が 予想を超えて支持されたのは 多くのひとがマスコミに不信を抱いている証拠です。
小森陽一さんにいわせれば (マスコミ九条の会は)「九条に関する『マスコミ110番』」ということになります。
責任は重大です。みなさんの協力を あらためてお願いします。

マスコミ不信は 今回の日中首脳会談報道についてもいえるでしょう。
中国の首相が「靖国 教科書については議論しない」といったことについて 「中国は議論を避けている」といった論調が目立ちますが ぼくにいわせれば 中国側は「理解していない連中と議論しても 疲れるだけだ」と匙を投げたとしか思えません。バカにされてしまっているのです。こんな男を総理大臣にしているわれわれが情けない。アジアの孤児への道を進んでいるようです。

ところで
井筒和幸監督の映画『パッチギ』が いま静かな話題をよんでいますが この映画をめぐってもメディアの自主規制が見えるのです。
この映画は 京都の府立高校の男子生徒と朝鮮高校の女子生徒の恋物語が主軸の作品ですが これが テレビや新聞に「嫌われている」のです。
配給会社によれば 「いま流行の韓流映画とは違う質の映画なので マスコミは腰がひけている」「拉致問題や強制連行問題があるためか」「主題歌に 発売禁止になった経緯がある『イムジン河』を使っているためか」ということです。

テレビや新聞に映画紹介の番組やページがありますが 優れた作品だからといって おいそれと扱ってはくれません。
自社が提携した映画作品は積極的に宣伝するのですが 意に沿わない作品からは目を逸らすのです。
キャンペーン依頼の作品を すべて紹介しろなどといっているのではありません。担当者の好き嫌いだってあるでしょう。
しかし 『パッチギ』の場合は様子が異なっているのです。
作品の中で 強制連行について語られる場面がありますが 「会社の方針では 強制連行はなかった ということになっているので この映画についての取材はできません」という新聞社があったといいます。

映画の宣伝にはテレビCMも活用されますが CM考査はパスしているのに あるキイ局と広告代理店がやってきて 「あのCMは流せない」と言ったそうです。
CMの内容は 映画の一場面に 映画評論家のオスギさんが絶賛するコメント付きのものです。
『パッチギ』のCMでは 主人公が「もし あたしと結婚したら 朝鮮人になれる?」という場面を使ったといいます。
この映画は このひと言のためにつくられたものだといってもいいだけに 内容変更は酷なことです。
このCMが放送されなかったのか 内容を変えて放送されたのか 結果は聞いていませんが
メディア側の自主規制は こんなところにも現れています。

歴史認識をめぐって メディアの姿勢はさらに問われることになるでしょう。
メディアの現場のひとたちと ことあるごとに話し合いましょう。
気が付いたことがあれば どんな小さなことでも発言しましょう。
なにかやらないことには はじまらないのです。