2月23日、「今日は、何の日?」
未だに、瞬間的に出てこない類だが、
国民の祝日「天皇誕生日」である。
世の中は、三連休の初日。
当地、今日は、生憎の天候で、終日、霙(みぞれ)混じりの雨降りで、
真冬並みの寒さとなっている。
毎週金曜日は、定例の食料買い出しの運転手、
冬用ダウンを着込んで出掛けてきた。
午後は、もっぱらコタツムリ?、
「雨読」としたいところだったが、
図書館から借りていた本は、読み終わっており・・・。
通っている図書館は、毎年2月の中旬から下旬に掛けての2週間、蔵書の点検整理作業のため休館となるが、今年も今、その休館中で、次に借りられるのは、来週以降になるため、なんとなく手持ち無沙汰?、ふっと、書棚に並んでいる本の1冊、宮沢賢治著、「風の又三郎」(ポプラ社文庫)に目を止まった。
自分で買った記憶無く、息子達が置いていったものなのか、妻が実家から持ってきたものなのか、 定かではないが、かなり古くて、すでに、変色、腐食、綴じ部は崩れて、ページがバラバラになっている本だ。数年前に、大胆に本類を廃棄処分したことが有ったが、その際にも、子供の頃から愛着が有る、「宮沢賢治」、「風の又三郎」・・・、なんとなく残しておいたものだ。
宮沢賢治著 「風の又三郎」
本書には、表題作の「風の又三郎」の他、「雪渡り(ゆきわたり)」「とっこぺとら子」「ざしき童子(ぼっこ)のはなし」「よだかの星」「虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)」「なめとこ山のくま」の6作品が収録されている。
◯雪渡り
その1 子ぎつね紺三郎
雪がすっかり凍って大理石よりかたくなり、空も冷たいなめらかな青い石の板でできている
らしいのです。
「かた雪かんこ、しみ雪しんこ」
お日様がまっ白に燃えてゆりのにおいをまきちらし、また雪をぎらぎら照らしました。
木なんかみんなザラメをかけたように霜でぴかぴかしています。
「かた雪かんこ、しみ雪しんこ」
四郎とかん子とは小さな雪ぐつをはいてキックキックキック、野原に出ました。
(後略)
※「雪渡り」=昭和20年代、30年代、子供の頃、北陸の山村では、
「凍み渡り(しみわたり)」と、言っていたような気がする。
その2 きつね小学校の幻燈会
おとらぎつねのはなしは、どなたもよくご存じでしょう。おとらぎつねにも、いろいろ
あったのでしょうか、私の知っているのは、「とっこべ、とら子」というのです。
(中略)
さて、むかし、とっこべとら子は大きな川の岸に住んでいて、夜、網打ち行った人から
魚を盗ったり・・・。
(後略)
※岩手の伝承民話お書き改めた作品。
◯ざしき童子のはなし
ぼくらの方のざしき童子のはなしです。
(中略)
どこかで ざわっさわっと ほうきの音が聞えます。
(後略)
※岩手の伝承民話お書き改めた作品。
◯よだかの星
よだかは 実にみにくい鳥です。顔は、ところどころ、みそをつけたようにまだらで。
くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。
(中略)
そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えています。
◯虔十公園林
敬虔十はいつもなわのおびをしめて、わらって森の中の畑の間をゆっくりあるいているの
です。
(中略)
そして林は、虔十のいた時のとおり雨が降っては、すきとおる冷たいしずくをみじかい草に
ポタリポタリと落とし、お日さまが輝いては、新しいきれいな空気をさわやかに
はきだすのでした。
※みんなにバカにされていた虔十、
賢治は、この作品の最後で、「まったく誰が賢くて誰が賢くないかは分らない」と、
博士に言わせている。
◯なめとこ山のくま
なめとこ山のくまのことならおもしろい。なめとこ山は大きな山だ。
(中略)
「おお小十郎、おまえを殺すつもりはなかった」。もうおれは死んだ、と小十郎は思った。
ほんとうにそれらの大きな黒いものは、参(からすき)の星が天のまん中にきても、
もっと西に傾いても、じっと化石したようにうごかなかった。
※くまとりの名人、淵沢小十郎は、熊をうたなくては暮していけない。
熊と対峙する小十郎、悲しい物語だ。
◯風の又三郎
どっどど どどうど どどうど どどう
青いくるみも吹きとばせ
すっぱいくゎりんも吹きとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう
谷川の岸に小さな学校がありました。教室はたった一つでしたが、生徒は一年から六年まで
みんなありました。
(中略)
「そうだなぃな。やっぱりあいづは風の又三郎だったな」
嘉助が高く叫びました。
(中略)
風はまだやまず、窓ガラスは雨つぶのために曇りながら、まだがたがた鳴りました。
※教室がたった一つの小さな小学校に、一人の転校生、高田三郎がやってきた。
村の子供達が、三郎を、伝説の風の子「又三郎」だと信じていく心の揺れ動きを、
親しみ深く描いている作品。
振り返り記事
「星めぐりの歌」
👇
こちら
図書館から通知下さった中に、
葉室麟さんの文庫本がありますの。
短編集です。
作品は、新刊が読めないと思っていました。
文庫なので、買っておいてもいいかなと。
いつも、応援や訪問有難うございます。
表題は?、
新刊なんですか?
国民年金頼りの老夫婦ですので、私の場合は、あきまでも、「図書購入費=0円」の暮らしで、新刊等も、図書館に入るのを待つしか有りませんが、チェックしておきたいと思います。
コメントいただき有難うございます。
不疑・葉室麟短編傑作選 です。
不手際を致しました。
出版は、令和6年1月25日
角川文庫です。
いずれ、読みたいと思っています。