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宮沢賢治著 「風の又三郎」(再)

2024年02月23日 17時27分14秒 | 読書記

2月23日、「今日は、何の日?」
未だに、瞬間的に出てこない類だが、
国民の祝日「天皇誕生日」である。
世の中は、三連休の初日。
当地、今日は、生憎の天候で、終日、霙(みぞれ)混じりの雨降りで、
真冬並みの寒さとなっている。
毎週金曜日は、定例の食料買い出しの運転手、
冬用ダウンを着込んで出掛けてきた。
午後は、もっぱらコタツムリ?、
「雨読」としたいところだったが、
図書館から借りていた本は、読み終わっており・・・。
通っている図書館は、毎年2月の中旬から下旬に掛けての2週間、蔵書の点検整理作業のため休館となるが、今年も今、その休館中で、次に借りられるのは、来週以降になるため、なんとなく手持ち無沙汰?、ふっと、書棚に並んでいる本の1冊、宮沢賢治著、「風の又三郎」(ポプラ社文庫)に目を止まった。
自分で買った記憶無く、息子達が置いていったものなのか、妻が実家から持ってきたものなのか、 定かではないが、かなり古くて、すでに、変色、腐食、綴じ部は崩れて、ページがバラバラになっている本だ。数年前に、大胆に本類を廃棄処分したことが有ったが、その際にも、子供の頃から愛着が有る、「宮沢賢治」、「風の又三郎」・・・、なんとなく残しておいたものだ。

宮沢賢治著 「風の又三郎」

本書には、表題作の「風の又三郎」の他、「雪渡り(ゆきわたり)」「とっこぺとら子」「ざしき童子(ぼっこ)のはなし」「よだかの星」「虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)」「なめとこ山のくま」の6作品が収録されている。

◯雪渡り
 その1 子ぎつね紺三郎
  雪がすっかり凍って大理石よりかたくなり、空も冷たいなめらかな青い石の板でできている
  らしいのです。

  「かた雪かんこ、しみ雪しんこ」
  お日様がまっ白に燃えてゆりのにおいをまきちらし、また雪をぎらぎら照らしました。
  木なんかみんなザラメをかけたように霜でぴかぴかしています。
  「かた雪かんこ、しみ雪しんこ」
  四郎とかん子とは小さな雪ぐつをはいてキックキックキック、野原に出ました。
  (後略)

  ※「雪渡り」=昭和20年代、30年代、子供の頃、北陸の山村では、
   「凍み渡り(しみわたり)」と、言っていたような気がする。


 その2 きつね小学校の幻燈会
  おとらぎつねのはなしは、どなたもよくご存じでしょう。おとらぎつねにも、いろいろ
  あったのでしょうか、私の知っているのは、「とっこべ、とら子」というのです。

  (中略)
  さて、むかし、とっこべとら子は大きな川の岸に住んでいて、夜、網打ち行った人から
  魚を盗ったり・・・。

  (後略

  ※岩手の伝承民話お書き改めた作品。

◯ざしき童子のはなし
  ぼくらの方のざしき童子のはなしです。
  (中略)
  どこかで ざわっさわっと ほうきの音が聞えます。
  (後略)

  ※岩手の伝承民話お書き改めた作品。

◯よだかの星
  よだかは 実にみにくい鳥です。顔は、ところどころ、みそをつけたようにまだらで。
  くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。

  (中略)
  そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
  今でもまだ燃えています。


◯虔十公園林
  敬虔十はいつもなわのおびをしめて、わらって森の中の畑の間をゆっくりあるいているの
  です。

  (中略)
  そして林は、虔十のいた時のとおり雨が降っては、すきとおる冷たいしずくをみじかい草に
  ポタリポタリと落とし、お日さまが輝いては、新しいきれいな空気をさわやかに
  はきだすのでした。


  ※みんなにバカにされていた虔十、
   賢治は、この作品の最後で、「まったく誰が賢くて誰が賢くないかは分らない」と、
   博士に言わせている。


◯なめとこ山のくま
  なめとこ山のくまのことならおもしろい。なめとこ山は大きな山だ。
  (中略)
  「おお小十郎、おまえを殺すつもりはなかった」。もうおれは死んだ、と小十郎は思った。
  ほんとうにそれらの大きな黒いものは、参(からすき)の星が天のまん中にきても、
  もっと西に傾いても、じっと化石したようにうごかなかった。


  ※くまとりの名人、淵沢小十郎は、熊をうたなくては暮していけない。
   熊と対峙する小十郎、悲しい物語だ。

◯風の又三郎
  どっどど どどうど どどうど どどう
  青いくるみも吹きとばせ
  すっぱいくゎりんも吹きとばせ
  どっどど どどうど どどうど どどう
  谷川の岸に小さな学校がありました。教室はたった一つでしたが、生徒は一年から六年まで
  みんなありました。

  (中略)
  「そうだなぃな。やっぱりあいづは風の又三郎だったな」
  嘉助が高く叫びました。
  (中略)
  風はまだやまず、窓ガラスは雨つぶのために曇りながら、まだがたがた鳴りました。

  ※教室がたった一つの小さな小学校に、一人の転校生、高田三郎がやってきた。
   村の子供達が、三郎を、伝説の風の子「又三郎」だと信じていく心の揺れ動きを、
   親しみ深く描いている作品。


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4 コメント

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葉室麟 (アナザン・スター)
2024-02-23 17:50:33
こんにちは。
図書館から通知下さった中に、
葉室麟さんの文庫本がありますの。
短編集です。

作品は、新刊が読めないと思っていました。
文庫なので、買っておいてもいいかなと。

いつも、応援や訪問有難うございます。
返信する
アナザン・スターさん、こんばんは、 (takezii)
2024-02-23 18:09:48
葉室麟著作品の短編集?
表題は?、
新刊なんですか?
国民年金頼りの老夫婦ですので、私の場合は、あきまでも、「図書購入費=0円」の暮らしで、新刊等も、図書館に入るのを待つしか有りませんが、チェックしておきたいと思います。
コメントいただき有難うございます。
返信する
題名 (アナザン・スター)
2024-02-23 18:54:36
ごめんなさい。
不疑・葉室麟短編傑作選 です。
不手際を致しました。
出版は、令和6年1月25日
角川文庫です。
返信する
アナザン・スターさん、有難うございます、 (takezii)
2024-02-23 19:40:49
早速、メモして置きました。
いずれ、読みたいと思っています。
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